昨日の記事では、宿題を活用してテキストの中から絶対必須の知識を洗い出すことを提案しました。 具体的にいつ、何をするかは通っている学習塾が復習型なのか予習型なのかによって変わって来ます。
学習塾の復習型と予習型については、この記事で書きました。
同じ予習シリーズというテキストを使っていても、早稲田アカデミーは復習型、四谷大塚は予習型で授業が進みます。
【復習型の塾の場合】
・生徒が新しい知識と出逢うのは基本的に授業の場です。
・授業では覚えるべき知識が生徒のレベルに応じて示されます。
・小5以降、授業時間の制限のため教わるのは軸になる知識だけです。
・その知識の軸に関連知識を足して行くのが、宿題の演習です。
今回の記事で提案したいのは、この宿題の演習のやり方です。
宿題の答え合わせはマルバツを付けるだけではなく「直し」と呼ばれる正解の書き込みまでするように指示されているはずです。
この、答え合わせのやり方を変えてみませんか?
宿題をする手間は増えますが、その手間以上の効果が得られます。
提案するのは、答え合わせに問題集に添付の解答解説を使わないという方法です。
丸つけ時に解答解説を使わずに、予習シリーズの中から探すのです。
その時に見つけた答えの箇所に昨日お見せしたような下線を引くのです。
たしかに手間はかかりますが、メリットがあります。
・自分専用のテキストを育てられる
・関連した知識が自然に目に飛び込んで来る
・記憶に大脳新皮質だけでなく大脳を活用できる
暗記を無味乾燥な言葉や数値でするのでなく、意識的に画像と共に「情報の冗長化」を使って覚えるという方法を、ここで書きました。
2018-05-04 上手な記憶法:情報の冗長化
その記事ではノートに書いてまとめようという提案をしていますが、今回のテキストに下線を引いていくというのは、それよりも手間が少ない方法です。
通っている塾が復習型の場合、このように宿題の答え合わせのやり方を変えるだけでレベルに応じた絶対必須の知識を洗い出すことができます。
【予習型の塾の場合】
予習型の塾の場合には、テキストを事前に学んでから授業に参加することを求められます。
つまり「全部を暗記しなくても良い」と言われても、その時点で自分にとって必須な知識を選び出すという作業は難しいわけです。
この方式の塾では「自分が覚えなければならない知識」を選び出すのではなく、「まだ自分が覚えられてない知識」を洗い出すことをお勧めします。
つまり下線を引くという対応は、演習で正解できなかった知識にマークするという作業になります。
このような勉強のやり方を提案します。
・授業前の予習は全部の知識を完璧に覚えようとは、しない。
・テキストのどこに何が書いてあるか、それを重視して頭に入れる。
・授業中の演習や、先生が言った重要ポイントに即座に下線を書き込む。
・テストなどで失点した知識にも、下線を引いていく。
できなかった知識だけに下線を引く分、手間は減ります。
まだ覚えていない知識に下線を引くという方法は、以前にも過去問演習時にやることを提案しています。
2018-07-01 入試寸前まで一冊の参考書を育てよう
6年生後半での過去問演習には次のような特徴があります。
・ひととおりの勉強が済んでいる。
・未習得の知識を効率的に確認して行きたい。
予習型の塾での授業と同じですから、同じ対応が使えるわけです。
復習型の塾であっても、宿題を使って必須知識を洗い出して行く方法が取れない塾もあります。
それはSapixです。
教材が授業のたびに配られるプリントですから、下線を引いて育てようとしても、冊子の形のテキストそのものがありません。
コアプラスは? という質問が出ると思いますが、このテキストは基本知識を身につけ終わった生徒が関連知識を含めての再確認に使うものだと感じます。
したがって今回の主題の「絶対必須の基本知識」の選び出しには使いづらいです。
2022-01-17 陽樹と陰樹、参考書の比較
なぜ、後から見直しに使えるテキストが無いのか?
サピックスは、授業ごとに毎回仕上げられる学力の生徒を前提としたカリキュラムを組んでいるからだと考えます。
つまりサピックスの想定している生徒は、絞り込む必要がない子、だと思います。
このサピックスの思い切りの良さと明解さ、私は好きです。
人数でいえば多数派となるトップレベル以外の生徒は、どのように学習を進めれば良いのかという工夫が必要ですけれど。