駒澤塾:中学受験の算数・理科

中学受験の算数・理科を中心に書いて行きます。駒澤が旧字体なのは検索をしやすくするためです。

上手な暗記法:情報の冗長化

暗記を楽にやりたいというのは受験生の誰もが思う願いですね。 

今日は、情報のサイズを大きくして(情報の冗長化)覚えましょうという話です。

 生物の神経組織や脳のつくりは、進化と共に拡大されて来ました。

乱暴な表現をすれば

小脳:生命活動の根幹をつかさどる

中脳:より複雑な動きを実現する

大脳:記憶とか原始的な感情をつかさどる

そして

大脳新皮質:合理的で分析的な思考や、言語機能をつかさどる。(wikipedia)

 

我々を含め進化したほ乳類ではこの大脳新皮質が覚えたり考えたりする訳ですが、この器官は厚さが2ミリほどしかないので脳全体に占める割合はごく一部しかないのです。

【脱線開始】

子供の頃「万国びっくりショー」っていう番組がありました。そこに出演したひとりのおじさん、なんと数千桁の数字をあっという間に暗記してしまう。暗記するだけでなくて「1800桁目から逆の順番で」などと言うリクエストにもさらっと対応してました。

この人が用いていた暗記法が無味乾燥な数字の並びを景色に置き換えてしまうという方法でした。

逆の順番で数字を言えと求められたら、その景色を後ろ向きに歩くイメージで思い出すだけ。

言葉を持たぬ動物も、エサの得られる場所とか危険な敵の居る場所といったアナログな景色は学習できる訳で、数字を景色に置き換えて覚えるってのは体積の大きな大脳を大脳新皮質と連動させた記憶法ではないかと考えています。

【脱線終了】

教科書や受験参考書でもこの大脳を活用した記憶法は取り込まれています。歴史上の人物の肖像画、理科教科書のカラー写真といったアナログ情報、そして年表や水溶液の性質を表にしたものなども情報同士の関係を位置情報として追加したものだと言えると思います。ドラゴン桜でも知識を<樹形図>のかたちにして覚えるテクニックが紹介されていましたね。

 知識を覚えるときにそれ単独ではなく、むしろ余分な情報を付け加えることで覚えやすくするという方法はとても有効です。覚える作業の段階では情報量が増えることでコストが増加しますが、余計とも思える情報を紐付けておくことで「思い出す」時のアクセスルートを増やす訳です。コンピュータシステムやインフラ設備などで安全性を高めるために予備ルートを作っておくのを冗長化(じょうちょうか)と呼びますが、いわば「情報の冗長化」による「暗記→取り出しプロセス」全体の性能向上策と言えるでしょう。

 

具体的な勉強方法にブレークダウンします。

勉強の際に単にテキストを黙読するのではなく音読しなさいというのは、視覚から来る文字情報に加えて「声に出す」という筋肉の動きと耳から戻ってくる自分の声の情報が脳を刺激することを期待しての勉強法です。

勉強ノートを作ることは更に有効な方法ですが、単に知識をノートにまとめるだけではなく、演習やテストで解けなかった部分にマークを付けたり追加で覚えたいと思った知識を書き加えるなど「ノートを育てる」という作業ができると万全です。

小6で、通っている塾が「全単元の見直し」という期間をとっている場合は、その時期に作るノートは受験当日までの宝物になり得ます。既に覚えたことは簡単めに、追加として登場した知識はしっかりめに、自分の手でノートの紙面に配置して、そこに志望校の過去問演習で得た知見を書き加えることが出来れば、オーダーメイドの最高の参考書になりますから。

 

ノート作りで気をつけなければならないのは手段が目的になってしまうことです。低学年で時間に余裕があり書き方も下手なうちは「教科書になるようなノートを作りなさい」という指示は正解ですが、高学年になって慣れて来ても馬鹿丁寧にノートを飾り立てて満足しているようなら是正の指導が必須です。

 

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