塾から出された宿題が終わらない!というのは多くのご家庭で共通する悩みです。
この悩みを解決するためには「そもそも宿題って何?」という基本を確認しましょう。
宿題はテストではありません。 宿題は学習すべき知識を見つけるための道具です。
塾によって出される宿題の量や、塾の自習室が利用できるかなど、けっこう差がありますが、限られた時間の中で終わらないという悩みは、どの塾の生徒からも数多く聞きます。
だいぶ前のことですが、とある集団塾で教えていた頃に強烈な体験をしました。
転塾して来て、担当したばかりの生徒でした。
その生徒が月曜の授業でひどく疲れた顔をしていたので、理由を尋ねたところ・・・
きのう、一日中、塾の宿題をやってた。
朝ごはん食べてすぐからだから、9時くらいから、夜の9時頃まで。
ううん、算数だけ。
ううん、出された宿題だけ。
お母さんが、言ったの。
授業をちゃんと聞いてたら、ぜんぶ解けるはずでしょ、って。
だから、解けるまで席を立っちゃだめって。
答え合わせだけしてあげるから、解けたら言いなさい、って。
解説は見せてもらえなかった。
バツだったら解き直し、そればっかりやってた。
何度も、何度も。
すみません。 宿題、終わっていません。
その晩、すぐに保護者様に電話しました。
小学校や、学習塾でも低学年のうちなら、授業で持ち帰った知識で宿題はほぼ出来ます。
しかし、受験勉強の4年生以降になると、それは無理です。
数十分間の授業で与えられるのは、知識の幹になる基本まで、です。
そこに知識を増やして行くのが、宿題です。
宿題は、テストではありません。
宿題の目的は、既に覚えた知識と、まだ覚えていない知識を切り分けることです。
まだ覚えていない知識を見つけて、それを覚える。
そして覚えた知識のまわりに関連した知識を増やして行く、それが宿題の目的です。
ですから、
宿題は手早くやらせてください。
パッパッパッと演習をさせ、すぐに解答を見させて、自分で丸付けをさせてください。
たいせつなのは、間違えた所、書けなかった所、そこをしっかりと学ぶことです。
これを、トレーニング、基本問題、練習問題と繰り返すことで必須知識を覚えて行きます。
重要な知識は、この繰り返しの中で何回も登場します。
重要な知識を軸にして知識の幅を広げられるように、一連の演習をさせてください。
その保護者様はすぐにやり方を変えてくれました。
その生徒は希望の学校に合格しました。
これが「学習すべき知識を見つける道具」としての宿題の姿です。
更に細かく見てみましょう。
宿題の具体的な進め方には、様々なバリエーションがあります。
☆ いつ、やるか? 授業の翌日か、数日たった頃か。
(放っておくと、授業のある日に下校してからバタバタと・・・)
☆ 見直しで見るのは解答・解説の解説か、テキストの該当する箇所か。
☆ 宿題に対して再度の演習をさせるか(二月の勝者の上杉陸斗君のように)
☆ どこでやらせるか。(食卓? 子供部屋? 自習室?)
☆ 塾のクラスの人数は?(先生による宿題の内容チェックに影響)
☆ 質問への対応は誰が?(親? 塾の先生? 家庭教師?)
これらのバリエーションに対する「唯一の正解」はありません。
具体的なやらせ方で、宿題の効果は大きく変わります。
何がベストかは、それぞれの生徒の状況によって変わります。
悩むことが有ったら、塾の先生に相談しましょう。