立体図形で正答率が男子9.0%,女子5.8%の問題への攻略法です。
4月7日の四谷大塚合不合判定テスト算数、大問6の(3) 展開図を組み立ててできる立体の体積を求める問題です。
これは解き方の基本を身に付ければ正解できます。
失点するのは勿体無いです。
まずは問題を見てみましょう。
【問題】
(3)右の図はある立体の展開図で,正方形1個と正三角形4個の組み合わせです。
また,正方形の面の対角線の長さは6cmです。
この展開図を組み立てた立体の体積は何㎤ですか。
ご覧のようにシンプルな問題です。
でも、それゆえに解くための取っ掛かりがどこにあるのか、見つけにくかったかも。
大問6の枝番(3)は難度が高いことが多いので、手をつけなかった生徒も多かったのかも知れませんが。
この「どこから手をつければ良いのかわからない」は、図形問題に関する悩みとしてよく聞きます。
と言うことは、
「どこから手をつければ良いか」を覚えてしまえば、動き始められる訳です。
「どこから手をつければ良いか」とは「図形問題を解くパターン」です。
解くパターンがいくつくらい有るのか、学習中の生徒にはわかりません。
ゴールの見えない努力は、とてもとても疲れるはずです。
という訳で、「図形問題を解くパターン」のリストアップ作業をしました。
図形問題を解くたびに、どんな知識を使って解いたかメモを今も取っています。
最近は新しい項目が追加されることがほとんど無くなりました。
現時点で、図形問題の必須知識はたったの40個です。
都道府県の数よりも少ない訳です。
それらの知識が即答レベルで覚えてしまえば、図形問題の最初の一手になります。
今回の問題で用いる知識は次の4個です。
・正方形を見たら菱形の面積を疑え
・三角形の面積は直角を探せ。無ければ作れ。
・同じ長さ全てに見やすい記号を書き込め
・合同は2辺1角、1辺2角、3辺
それではこれらの知識を使って問題を解く・・・前に
解法の知識以前に必須となる、展開図から立体を想像する「感覚」の話。
この感覚は育てられます。
方法は簡単で、実際に組み立ててみることです。
生徒に見せるために作ったのが、これです。
写真を見るだけ、図を書いてみるだけ、では得られない感覚です。
今すぐ100均に工作用ボール紙を買いに行きましょう。
それでは「図形問題を解くパターン」を使って解いてみましょう。
・正方形を見たら菱形の面積を疑え
正方形は四角錐の底面ですから、まず正方形の土地を確保します。
菱形の面積の式で、対角線の長さから底面積が求められます。
6cm × 6cm ÷ 2 = 18㎠
・三角形の面積は直角を探せ。無ければ作れ
もとは平面図形に使う解法です。
三角形の面積で底辺と高さはかならず直角になりますから、それを探します。
立体図形においても、高さはかならず底面に対して直角(垂直)になります。
そこで正方形の中央に垂直な心柱を立ててみます。
その長さが四角錐の高さです。 これがわかれば解答を出せると気付けます。
・同じ長さ全てに見やすい記号を書き込め
・合同は2辺1角、1辺2角、3辺
四角錐の高さをどうやって求めるか、ここがポイントですね。
正方形と正三角形の辺の長さは全て同じですから、見やすい印を全てに書きます。
三角形PACと 三角形BACは 辺ACを共通に使う二等辺三角形です。
「3辺が等しい三角形は合同」に気付けば高さが対角線の半分 3cm だとわかります。
18㎠ × 3cm ÷ 3 = 18㎤
こうやってタネあかしを見れば簡単な問題と感じるはず。
ですが正解を出すためには、見取り図をある程度まで正確に書くことが必須です。
見取り図をきれいに書くには練習が必要です。
見取り図を書くときに使える方眼紙をこの記事で紹介しています。
2020−03−04:立体感覚育成用の『原稿用紙』
【展開図は習得が必須】
立体図形の学習では「立方体の切断」が多く扱われます。
Sapixの教材でも切断の問題が夏期には毎回載ってます。
立体図形の学習に関して、以前より割り振りに疑問を持っていました。
そこで、どのような入試問題が出ているのか、調べてみました。
わかったことは、展開図とその応用の問題がたくさん出ていることでした。
参考記事:2020−05−25:立方体の切断:実際の入試問題では
今回の四谷大塚合不合判定テスト、展開図にフォーカスを当てた良い出題だったと思います。
まだ余裕の有る時期に、展開図を実際に作ってみて感覚を養っておくことをお勧めします。