駒澤塾:中学受験の算数・理科

中学受験の算数・理科を中心に書いて行きます。駒澤が旧字体なのは検索をしやすくするためです。

星座早見を学ぶコツ

星座早見は苦手意識を持つ生徒がけっこういますが、その原因が「何を覚えれば良いのか分からない」ということが多いです。 何を覚えれば良いか、ポイントを書きます。 

  実は「星座早見がわからない」と言って来る生徒の多くが、そもそも天球の動きをわかっていません。 

 

という訳で、まずは透明半球を(正しい書き順で)2分で書けるようになりましょう。 

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 その上で、星座早見に関して頭に入れておきたいポイントは次の3つです。 

・回転、中心は北極星、反時計回り

・星座盤を地平盤が隠している

・見たい方角を下にして持つ

 

中堅校以上になると「2か月後に同じ夜空が見えるのは何時か?」という問題が出るようになりますので、日周運動は24時間、年周運動は12ヶ月で360度を割り算した数字を使えるようになっておけば、ほとんどの問題は解けるはずです。 

 

 例題は獨協中学 2013年(平成25年)第1回入試の大問3・問1 です。

【問題】

星座早見を用いてある日の東京の星空のようすを調べてみることにしました。 日時を調整したら図のようになりました。 なお,この星座早見は東京の緯度・経度に合わせてつくられています。

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問1 図をみて次の各問に答えなさい。
(1)図のA・B・C・Dには東・西・南・北のいずれかの方位が入ります。AとBにあてはまる方位を答えなさい。 

(2)星座早見は2枚の円盤を回転させて日時を調整します。 その円盤の中心には星Xがあります。 星Xの名前は何ですか。 


(3)北の空を観察するとき,どの部分を下に向けて星座早見を空にかざしますか。 図のA・B・C・Dから選ぴ記号で答えなさい。 


(4)この星座早見の日時として正しいものを(ア)~(エ)から1つ選ぴ記号で答えなさい。
(ア)1月14日0時ころ
(イ)10月23日18時ころ
(ウ)11月30日22時ころ
(エ)12月2日20時ころ

 

(5)この星座早見からわかるこの日時の東京の空のようすとして,まちがっているものを(ア)~(エ)から1つ選び記号で答えなさい。 
(ア)北の空にカシオペア座が見える。
(イ)東の空にオリオン座が見える。
(ウ)真上(天頂)に星Xが見える。
(エ)真上(天頂)付近に秋の四辺形が見える。

 

(6)星座早見にはふつう太陽や月はかかれていません。この他に,同じ理由でかかれていない星を(ア)~(オ)から2つ選び記号で答えなさい。

(ア)ベテルギウス
(イ)土星
(ウ)すばる(プレアデス星団)
(エ)アンタレス
(オ)流星

 

【解説】

(1)方位

Aを間違える生徒は少ないです。 Aは  北 

Bはポイントの『回転、中心は北極星、反時計回り』を使います。

太陽も、月も、恒星も、星Xを中心に反時計回りにまわる訳ですから、星座早見に印刷された星々も、Dから出て、Bに沈む動きをします。 

  よって、星が沈む場所のBは  西  

(2)星Xを間違える生徒は少ないです。   北極星  

(3)これも間違える生徒は少ないです。 

  北の空を観察する時に下に向けるのは   A  

(4)時刻を優先して、対応する日付を調べてみれば解けます。

  0時 → 10月初旬

  18時 → 1月初旬

  22時 → 11月初旬

  20時 → 12月初旬

  よって正解は    (エ)12月2日20時ころ  

(5)出題者の意図としては、(4)の答え「12月初旬の午後8時ころ」から、夜空に見える星座とその方角を考えさせたかったのかな?

でも、透明半球を正しく書ける生徒ならすぐにわかります。

   間違っている選択肢は  (ウ)真上(天頂)に星Xが見える。  

 (6)私が天体の授業をするとき、かならず最初に恒星・惑星・衛星という呼び名の意味を話します。

参照:目黒星美、世田谷、早中:太陽・月・地球の三球儀 - 駒澤塾:中学受験の算数・理科

受験参考書に無い知識の話を「脱線」と見て嫌った保護者様もかって居られたのですが・・・ 

この問題、恒星が「つねなるほし」つまり明るさも位置も変わらない星のことだと身に付いていれば間違えようが無いはず。 

問題文で「太陽や月はかかれていません」と「同じ理由で」という記述が軽いトラップになっていますが、星座盤に書かれているのが恒星と、恒星の集団である星団だけだとわかっていれば正解はおのずと出て来ます。 

  書かれていないのは   (イ)土星  と   (オ)流星  

 

今回の入試問題を使って、もう一問。

【問題】

星座早見には、恒星や星座の書かれた星座盤の上に、その一部だけを見せる為に楕円形の窓の開いた紙が乗っています。 

この窓の開いた紙は、現実では夜空の半分を隠している地平線の役目をしているので地平盤と呼ばれます。 

さて、今回の例題の図を参考にして、時刻の目盛りは星座盤と地平盤のどちらに印刷されているか、答えなさい。

 

【解説】

これも今回のポイントの『回転、中心は北極星、反時計回り』を使います。 

どこか適当な日付、たとえば11月15日を基準にして時刻の目盛りを見てみましょう。 

もし時刻の目盛りが星座盤に書かれていたら、とうぜん反時計回りに回転するはずですが・・・ あれ? そうすると11月15日の目盛りに対応する時刻が、21時、20時、19時の逆向きになってしまいます。 

つまり時間と共に反時計回りに動くのは日付の目盛りの方なのです。 これなら21時、22時、23時と、正しく時間が変わって行きます。 

よって、時刻の目盛りが印刷されているのは  地平盤  の方です。 

 

今回の問題では、日付の目盛りが内側、時刻の目盛りが外側ですが、これが逆になっているものもあります。 例えば四谷大塚の予習シリーズ小5上では日付が外側、時刻が内側になっています。 

つまり、星座早見の目盛りについて、丸覚えは良い方法ではないということです。 

仕組みで覚えましょう! ポイントは『回転、中心は北極星、反時計回り』です。 

 

また、学習するときには必ず星座早見の現物を手に持って、動きを試しながらやりましょう。 100均ショップでも運が良いと手に入ります。 私はダイソーで購入しました。 紙製の簡単なつくりですが、印刷されている恒星や星座の数が少なく、シンプルでむしろ使いやすいです。 

 

 

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