凸レンズについての問題は中学入試で頻出ですが、身近に見られる光の屈折と言えば虹かなぁ。 虹ですよね。 虹です! と言う訳で、中学入試で出題された虹の話です。
中学入試でちょっとコアな問題が出る場合、基本的なパターンとしては「知らない事柄について、その解説を読み、学習した知識を元にして、設問に解答する」という構成になっています。
虹に関する出題を、手元の過去問データから検索してみたところ、解説抜きでいきなり設問のある場合もありました。 それは「虹が出る方向」です。
こんな感じで出題されています。
【問題】 慶應中等部2019年
台風が明け方に通り過ぎぎ、太陽が東の空に昇ったころに虹が見えました。 虹が見えた方角を次の1~4の中から選びなさい。
1 東 2 西 3 南 4 北
他にも芝中学、立教女学院2009年などで、「虹が出来るのは太陽の反対側」ということを知っている前提での出題がありました。
一方、攻玉社、豊島岡女子、立教女学院2019年などでは水滴の中の光の進路が図で示されていて、それが大きなヒントになっている形で出題されています。
【問題】 立教女学院2019年
空にかかる虹が見えるしくみは、図のように、太陽の光が水滴の中で反射することで見えます。 Rさんが、ある日の夕方、空にかかる虹を見ました。 虹の見えた方角として最も適切なものを、次のア~エから1つ選び、記号で答えなさい。
ア 東側 イ 西側 ウ 南側 エ 北側
立教女学院で同じ問題が10年後に出題されて、後の回では考えるヒントが付与されているというのは、暗示的です。
虹とは、太陽光の中に含まれる各色の成分が、その色による屈折率の違いで分離されることで起きる現象です。
万有引力の法則で有名なニュートンは、色により屈折率が異なることをプリズムを使って実験しています。 この実験については法政大学中や広尾学園が出題しています。
【問題】 広尾学園 2013年 医進・サイエンス回
光の進み方について、あとの問いに答えなさい。
問1 次の文中の空らん( A ) ~ ( C )にあてはまる、もっとも適当な語句を下のア~キから1つずつ選び、記号で答えなさい。 ただし、空らん( A )~ ( C )にはそれぞれ別の語句が入ります。
太陽の光を小さな穴のあいた板を用いて細い光線にして、これをプリズムに通すと虹(にじ)ができます。
「万有引力の法則」で有名な科学者であるニュートンは、これは「プリズムが太陽の光に色を加えている」のではなく、「太陽の光はいくつかの色の光が合わさってできている」と考え、図1のように、①の部分に( A )を、②の部分に( B )を置いて再び光を集める実験で説明しようとしました。
③の部分の紙に、太陽の光と同じ( C )の光がうつれば、一度いくつかの色に分かれた太陽の光がもう一度1つになったといえます。
ア:プリズム イ:凸レンズ ウ:凹レンズ エ:反射鏡
オ:青色 カ:白色 キ:赤色
【解説】
① 光の進んでいる方向に注目します。
放射状に進んでいた光が収束するように向きを変えています。
よって①は イ:凸レンズ
② 説明文の以下の部分に注目します。
『一度いくつかの色に分かれた太陽の光がもう一度1つになったと』
よって②は ア:プリズム
③ 太陽の光と同じ色に戻れば良いわけです。
よって③は カ:白色
まとめ
中学受験において虹に関する知識は、「太陽の反対側にできる」ということが暗記必須だと感じました。
その先の、屈折率の差を光の進み方の図上で考える問題は、急に難度が上がります。
良く出来た入試問題は、問題そのものが最良の学習教材だったりしますが、白百合の2010年と2016年や、攻玉社の2017年第2回の入試問題がそれに該当していました。
白百合の過去問は四谷大塚さんの過去問データベースにも収録されています。