<地学><天体>の3弾目、<三球儀>の問題です。 取り上げる過去問は<目黒星美><世田谷><早稲田中>です。 今回の解法ノウハウで月の満ち欠けだけでなく金星の満ち欠け・見える方向・時刻の問題や、季節ごとに見える星座の時刻と方向を考える問題まで解けるようになります。
まずは次の図をご覧ください。 どちらも<三球儀>を使った問題でほぼ同じ構図ですが、ひとつ大きな違いがあります。
2つの図の違いはすぐにわかりますね。 影を書いてあるかどうかです。 <三球儀>の問題は影が書いてあるだけでグっと正答率が上がるのです。 と言うことは・・・影が書き込まれていない問題の図に自分で影を書き込むのが正解を見つけるコツってことですね。
それを含めて<三球儀>のコツは3つ有ります。
1: 太陽の反対側に影を書き込む
2: 自転と公転の向きを矢印で書き込む
3: <方位のT字>を書き込む
それでは3つのコツを使った問題の例ですが、早稲田中 2013年(平成25年)の理科:大問1にオリジナルの設問を追加してみました。
【問題】
金星は図1のように、太陽と地球の間の起動を、地球と同じ向きに公転している。 図2は、太陽と金星、地球の位置関係を示したものである。 地球から見て太陽と金星の位置関係が変化することから、金星は月と同じように満ち欠けをしている。 以下の問いに答えよ。
問1 金星について述べた文として誤っているものを選び、記号で答えよ。
ア 真夜中の南の空高くに観測できるときがある。
イ 自ら光っているのではなく、太陽の光を反射している。
ウ 水星に次いで2番目に太陽に近い惑星である。
エ 数か月後には星座との位置関係が変わって見える。
問2 図2中の 1→2→3→4 と金星が位置を変えていくときに、金星の大きさと形の変化を示した図として最も適したものを選び、記号で答えよ。
追加の設問 図2の4の位置に金星があるとき、太陽を隠すなどの特別なくふうをしなくても肉眼で金星を観測できるのは、一日のうちでいつ頃、どの方角か。
【解説】
まず、3つのコツを書き込んだ図を載せます。 って言うか、この図を見たら知識問題の問1以外は解説が不要かも?
問1
選択肢のイとウはあきらかに「正しい」ので最初に外すとして、エはなまじ知識があると「数か月後には」の「には」に引っかかるかも? 数か月も待たなくても翌日には動いてるじゃん?って。実際、天球上での惑星の位置ってびっくりするくらい動くこともあります。 でも、かなりの期間動かないように見える時もあるので、「数か月後には」というのは正しい表現です。 まさに惑星とは「惑う星(まどうほし)」、立ち止まったり、戻ったり、走り出したり。
という訳で、答えは ア 真夜中の南の空高くに観測できるときがある です。
ちなみに星の分類は音読みだけでなく訓読みもいっしょに覚えると、思い出しやすくなると思います。
恒星 : 恒なる星(つねなるほし) 明るさも色も位置関係も変わらない。
惑星 : 惑う星(まどうほし) 天球の上を立ち止まったり、戻ったり、走り出したり。
衛星 : 衛る星(まもるほし) 惑星の周りを衛兵のようにぐるぐる回っている。
問2
影を書き込んだ図を見ながら、金星が遠くにあるほど小さく見えるということと、影で塗られていない白い部分がどのように見えるか考えればすぐに正解はわかります。
イ
追加の設問
<方位のT字> 観測地点が北半球なら地球の公転面の延長上にある星座が正面に来た時は「南の空」に見えるはずです。 だからT字の縦の線は南の方向です。
次にT字の横棒の向きを判定します。 まずは観測地点の時刻を考えます。 地球に書き込んだ影と自転の方向から真昼・夕暮れ・真夜中・夜明けなどの時刻が分かります。 上の図では夜から昼に変わる点ですから夜明けですね。 夜明けに太陽が地平線から昇るということは、自分がその向きに進むから見えて来るのですから、上向きの横棒が東です。
という訳で、4の位置にある金星が見えるのは
時刻 : 朝(明け方) 方向 : 東の方向
この<地球に影><自転で時刻><方位のT字>に加えて<公転で季節>も考えて書き込みをすれば<季節により見える星座>の問題も解けます。
「夕暮れに、東の空に△△座が見える季節は?」といった問題は難関校レベルですが、図への書き込みをしっかりやれば解けるようになれるはずです。