駒澤塾:中学受験の算数・理科

中学受験の算数・理科を中心に書いて行きます。駒澤が旧字体なのは検索をしやすくするためです。

解く速さを上げるには

これまでも何度か書いた「問題を解く速さ」の話です。 たとえば組み分けテストや模試で「時間不足で解けたはずの問題を失点することが多い」という悩みが有る場合、受験学年の小6ならば早めに「解く速さ」を意識した対策を始めるべきと考えます。 

 

低学年では、じっくり考えさせて答えを出すまで粘らせるという訓練も大切ですが、その癖を残ったままにしておくと苦労することになります。 「解く速さ」は合格点を勝ち取る柱の一本です。 

 

では「解く速さ」を上げるために何をすれば良いか? 

すぐに実施できるのは、これまで時間に制限を設けていなかった宿題の演習に目標時間を決めるとか、全問を解き終わるまでの時間をページごとに記入するなどの「所要時間の可視化」の実施です。

今日は更に具体的な対策を考えるために「問題を解く」とはどのような行動なのか考えてみました。 

 

算数や理科の計算問題などの演習で、問題を解き始めた時の鉛筆の動きを観察すると、生徒の学力レベルによって違いを感じます。 

高学力の生徒は問題を読み始めたとたんに鉛筆が動き始める者が多いです。 問題文の中から必要な数値を抜き書きし、状況図や整理表など情報を整理し、そのまま一気に解答を得る計算手順へ流れ込みます。 紙の上で整理をしなくても頭の中で処理をしてしまえる問題の場合は、しばらく鉛筆が動き出しませんが、それでも設問を読み終わったくらいのタイミングで鉛筆が動き出し一気に解答まで至ります。 

一方、解けないか解けてもぎりぎりレベルの生徒の場合、鉛筆が動きません。 問題を読み、腕を組んで考え込み、もう一度問題を読み直し、すこし考えてようやく紙に何かを書き始めます。 読みながら問題文に下線を入れる生徒も居ますが、その下線はポイントが絞れてなく無駄に線を引いているだけという状況をよく見ます。 

 

この二つの違いは何によって生まれるのでしょう? 解く能力の高い生徒の場合、問題を読み進めている最中にはもう頭の中の「解放の引き出し」を開くことが出来ているのだと考えます。 引き出しの中の解法が使えそうなら一気に解答まで行きますし、途中で別の方針に切り替えた場合にも鉛筆が止まることはありません。 解法を記憶から引き出す速さがすごく早いです。 

 

 

それでは、解法を即座に引き出せるようにするにはどうすれば良いのでしょうか。  ここからが今日の本題です。

 

問題を解けるようになる、というのはスポーツの習得と似ていると思います。

★ 外部刺激に対する即座の反応である

★ 未経験の行動を取れるようになる訓練である

★ 様々なパターンへの対応が必要とされる

 

実際に目標の達成までどのような段階があるのか、比較してみましょう。

【問題が解けるようになるには】

1:これまで知らなかった解法を修得し、

2:それを正確に実行できるまで繰り返し

3:様々な問題に出会うことで応用動作を習得し

4:入試本番で設問に適した解法を即座に使うこと。

 

【なにかスポーツを習得するには】

1:これまで経験の無い体の動きを修得し

2:それを正確に実行できるまで繰り返し

3:様々な状況に出会うことで応用動作を習得し

4:実戦本番で状況に適した対応を即座に取れること。

 

なにかのスポーツを習得する際、上達へは2つの道がありますね。

『素振り一万回』 と 『習うより慣れよ』 です。

ゴルフで例えれば、スクールに入ってティーチングプロに習いながらスイングの基本を固めてからコースに出るか、いきなりコースに出てしまい毎日1ラウンド回ることを何週間か続けることで打てるようになってしまうか、という感じです。 

 

もちろん、それらのどちらか一方だけではなく、適度に『習う』と『慣れる』を混ぜながら上達していく訳ですが、こうやって分類してみるとそれぞれの特徴に当てはまる学習塾が思い浮かびませんか?

 

「解く速さ」を上げたい時に何をするか、処方箋は生徒一人一人の状況によって千差万別ですが、通わせている学習塾がどのような特徴なのかも考えに入れるとヒントが得られると思います。 

『素振り一万回』系ならばコース上でのスロープレイを解消するための練習。

『習うより慣れよ』系ならば自己流のスイングを改善するための知識の伝授など。

 

今回の視点で過去の書き込みを見直してみると、以下の記事は『素振り一万回』系への対策事例になると思いました。

komazawajuku.hatenablog.com

 

また、『習うより慣れよ』系の場合は、以下の記事で書いた「解法の単元を体系的に示して頭を整理させること」と、「弱点マップの提示」が対策そのものや、対策立案への検討材料になると考えます。

komazawajuku.hatenablog.com

 

 

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