視交叉(しこうさ)という目のはたらきが有ります。 知識そのものは高校の生物で学ぶ、つまり大学入試で必要になるものです。 中学入試にそのまま出ることはありませんが、昨今の流行、「説明文を読ませて関連知識を問う」という形式の入試で出題される可能性は有ります。 そしてそれ以上に『効率的に学習を進めるための重要なヒント』が隠れていましたので、まとめてみました。
視交叉(しこうさ)というのは目と脳を結ぶ神経が交叉して、右目で見た映像が左脳に送られ、左目で見た映像が右脳に送られるというはたらきの名称です。
ヒトの場合は更に複雑で、目の網膜が2つの部分に分かれていて、両眼で見た映像が複雑に組み合わされて脳に送られています。 (下図を参照) これを半交叉といいます。
ある人が左側に正六角形を六等分した図、右側に「尋」という漢字を置いて、それらを見ています。
目は水晶体という凸レンズで網膜というスクリーン上に倒立実像を写すしくみですから、右に置いた「尋」という漢字は左右逆になって右目の内側と左目の外側の網膜に像を作ります。
ヒトでは、それらの像がどちらも左の脳に送られて処理されます。 もし立体物なら2つの像の差から、見ている物までの距離や大きさが判断されます。 これが立体視の仕組みですね。 このはたらきを半交叉と呼びます。
半交叉が有るなら、全交叉とは?
オタマジャクシからカエルへの変化をたどると全交叉が理解しやすいです。
オタマジャクシはとても弱い存在ですから、広い範囲の敵を発見するために目は頭の両側に付いています。 この時には目と脳をつなぐ神経は完全に交叉していて、例えば右目で見た像は左脳で処理されます。 この状態が全交叉です。
成体のカエルでは目が顔の正面に移動して来ます。 獲物を捕まえるために立体視が必要になるからです。 このオタマジャクシからカエルへの変態の過程で、外側に位置する網膜から同じ側の脳につながる視神経が出現するのです。 立体視というのは瞬時に2つの目から届いた映像の差を把握しなければならないので、脳で処理する場所を一つにしてしまった方が有利だからです。 かくして半交叉のしくみが形成されました。
半交叉のしくみに関連した出題は、脳につながる神経の途中を切断した場合に視野はどのように変化して見えるかという物が多いのですが、これは大学入試の問題になるので紹介は略します。
それよりも、
半交叉の説明図で正六角形を六等分した図と「尋」という漢字を用いた段階で、今日の記事のタイトルと合わせて気付いた方もおられると思いますが・・・
左に置いた図形は「右脳」で処理しています。
右に置いた漢字は「左脳」で処理しています。
そうです! 右脳と左脳の得手不得手を上手に使いこなそうという話はずいぶん前から言われていますが、漢字や単語などの文字情報は右に置き、図形やグラフなどの映像情報は左に置くだけで左右の脳を最大限に働かせることができるのです!
いかがでしょう?
学習の進め方に革命的な変革をもたらすと思いませんか?
ま、エイプリルフールの嘘なんですけど。