豆電球を複雑につないだ回路の問題を、正方形を並べた面積図で解くという技です。 並列や直列が複雑に混ざり合った回路で、つなげ方が複雑でであればあるほど、効果を発揮する解法です。
私はこの解き方を10年以上前に先輩の講師から教わりました。
それ以来、「一子相伝」の秘密のワザ的に生徒に教えて来たのですが、多くのサイトで紹介されるようになりましたので、今はもう受験テクニックとしては秘法ではなくなりました。
ちょっとおもしろい解き方ですので、公開してしまいます。
ネットでの紹介例としては、たとえは中学受験ドクターさんのこれ。
中身は見ていませんが、タイトルから考えてこれもそうだと思います。
さて、それでは豆電球を面積図で解く手順の解説です。
なるべくシンプルに書きます。
<下準備>
生徒が電気について苦手で、解こうとする問題が複雑な場合には下準備として整理作業をしておくと効果が有ります。
(出題された回路がシンプルなら、これらの下準備はしなくて大丈夫です。)
下準備は2つあります。
下準備その1;赤鉛筆青鉛筆の技
下準備その2;トポロジーの技
下準備の目標は問題で提示された回路図を、一般的によく見る回路図にすることです。
さて、回路図から面積図に加工して問題を解く手順を説明します。
まず、概略の手順を書きます。
手順A:豆電球のつながれた配置で正方形を並べて、全体が長方形になるようにする。
手順B:最も小さな正方形の一辺を1として、それぞれの正方形の辺の長さを比で表す。
手順C:長方形の横幅を比の値で表し、回路にかかっている電圧をその比の値で割る。
手順D:それぞれの正方形のたて方向の比の値に相当するのがそこを流れる電流の大きさ。
それではそれぞれの手順の詳細です。
手順A:正方形を並べて、全体を長方形にする
いくつかのパターンで例示します。
大切なのは、すきまを空けずに正方形を並べ、全体を凸凹の無い長方形にすることです。
大きさが小さくなる正方形から順番に並べて行くのがコツです。
手順B:小さい方から正方形の辺の長さを整理する
一番小さな正方形の一辺を1として、次々に辺の長さを計算して行きます。
辺の長さには分数も登場することもあります。
手順C:電圧を長方形の横幅で割る
正方形の辺の長さを合計して、長方形の横幅を比の値で求めます。
長方形の下に電圧を書いて、比の値「1」に相当する数値を割り算で求めます。
今回の例では、電池一個の電圧を1⃣で表しています。
手順D:縦の辺の比に相当する数字が電流!
それぞれの正方形の縦方向の比の値に相当する数値がそこに流れる電流の値です!
計算は、これでおしまい。
和分の積も、電流と抵抗を行き来しての計算も不要です!
ちなみに、下準備で例に使った回路の場合、こんな電流の値になります。
10個の豆電球が直列・並列入り混じったこの回路の各部を流れる電流が、1分間で計算できてしまいます。
実際の入試問題を面積図で解いた事例は、改めて記事にします。
とりあえず今日は、こんな問題を出しておきます。
【問題】
図のように乾電池1個と豆電球1個をつないだ回路に流れる電流を1としたときに、
乾電池1個と豆電球4個全部を使って、次のような電流が乾電池から流れ出すつなぎ方の回路図を書きなさい。
解答は、明日公開します。
2021-05-31:公開しました。