駒澤塾:中学受験の算数・理科

中学受験の算数・理科を中心に書いて行きます。駒澤が旧字体なのは検索をしやすくするためです。

偏差値について:3:高校受験と中学受験

偏差値については2回で区切りをつけるつもりだったのですが、急遽、追加します。 今回は中学受験と、高校受験の比較について、です。

 

きっかけは2月13日の記事『二月の勝者④【ネタばれ無し】』にリンクを頂いたことです。 (はてなブログのシステムから「言及されました」というお堅~い表現で通知が届いて少し驚きましたが、要は同じブログ内でのリンクの通知でした。)  リンク、ありがとうございます。

 

kiratto-life.hateblo.jp

そのブログを読ませて頂きましたら、二月の勝者・第4巻を読まれて高校受験(公立高校受験)のネガティブな側面に戸惑いとご懸念を感じられているご様子。 なにしろこの巻の第33講の中で黒木教室長に 「高校受験? 大っ嫌いです。」と言わさせるくらいの断言モードですので、ご懸念を感じられるのも当然と思います。

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今日の記事はそのご懸念への材料提供のつもりで書きます。 (回答という言葉は使いません。 受験は「正解」の無い問題であり、受験生の数と同じだけの「最善解」が有る問題ですから。)

 

私は中学受験が大好きです。 でも高校受験を否定はしません。 高校受験への切り替えをお勧めする場合も有りました。 たとえば早生まれで発育がゆっくり目の男子生徒の場合などで。

 

小4から小6の生徒を見ていると、女子と男子の精神的な発育の差を感じます。 それに加えて早生まれだと送ってきた人生の長さが数パーセントも不利になる訳です。 心の成長を期待して高校受験を狙うという作戦は当然あります。 実際、小6では四谷大塚の偏差値で40に届かなかった生徒が高校受験で慶應系に合格した例などを見て来ました。

もちろん、早生まれの男子全員が高校受験向きとは言いません。 個体差や後天的な環境の影響の方が大きいです。 私自身、男子で1月下旬生まれで中2までずっとクラスで一番のチビでしたけれど、中学受験で御三家に合格しました。

 

女子の場合は少し状況が異なります。 女子の場合は、高校受験だと受験できる私立の学校が少なくなる、ということを考えなければなりません。 ある学校の方は「高校での募集をやめるのは、6年という期間をかけてしっかりと育成をしたいから。」とおっしゃってました。 

聖心女子学園では小・中・高の12年間をデザインしなおして4+4+4のカリキュラムにした関係で数年前にいわゆる中学入試そのものが無くなりました。 中学入試に近い入学のチャンスは小学校5年生に相当するタイミングでの編入24名です。 学園の案内を見ると、その目的が明確に書かれています。

『中学入学のタイミングではなく、セカンドステージがはじまる5年生から入学することにより、ゆとりを持って8年間の一貫教育が受けられるようになります。』

まさに育成が目的ということですね。 6年でも足りないので8年かけてお育てしますという宣言です。

 

さて、高校受験の話に戻します。 二月の勝者の中で黒木教室長のセリフの前に数ページを使って桂先生が高校入試のマイナス面として列挙する事の一つが「内申書」です。 ・・・ですが、内申書にはネガティブの面ばかりでは無いと思います。 普通の生活をしていれば、(多少の対策は必要にせよ)それなりの評価は稼げますから、その持ち点の分、一発勝負の怖さが減る訳です。

中学受験は本番のテストで点数をクリアさえすれば合格できます。 明解で気持ちいいです。 私も中学受験が大好きです。 でも・・・

1月の下旬にインフルエンザを発症した生徒、学校への思いが強すぎて試験中に吐いてしまい保健室受験になって平静さを失ってしまった生徒、そして今年の女子学院の受験生。

日能研が女子学院で大幅増 - 駒澤塾:中学受験の算数・理科

一発勝負ゆえの怖さをたくさん経験して来ました。

内申書の点数への織り込みには、ポジティブな面もあります。

 

内申書が影響するのは主に都立高校ですから、私立高校についても見てみましょう。

同じ学校で中学と高校の両方の入試が有る場合、どちらが入り易いのでしょう? 

 

まずは「偏差値」の観点。

二月の勝者の第3講で、三浦佑星君のお母さんがお父さんとの会話の中で、こんなセリフを口にしています。

  「しかも高校から入ろうと思うと、偏差値が15も上がっちゃうの」

たしかに中学入試での学校偏差値と高校入試での数字を見比べると、大きく異なっています。 四谷大塚の80%偏差値と進学研究会の進研Vもぎ偏差値を比べてみました。 たとえば青陵ですと四谷が2月1日午前で46ですが、Vもぎの2月12日は62です。 偏差値そのものは16上がっています。

でも、一昨日の私のブログを読んだ方は、お母さんの勘違いにすぐ気付きますよね。 

『母集団が違~う』

中学受験の偏差値を計算する母集団は6年生全体の数分の一ですが、高校受験の母集団は中学受験組がごっそり居なくなった後のほぼ全員です。 平均値の位置が大きく違いますから、そこからの相対的なポジションを示す偏差値の分布も大きく異なり、その結果、特定の学校に合格可能かどうかを示す偏差値の値も変わって来る訳です。 

 

まずい、今日の記事、すでに2000文字を超えた。 はしょりモードでまとめます。

 

中学受験と高校受験の「難易度」の違い。

算数と数学は「難しさ」というより「質」が違うと思います。 学習塾、保護者、家庭教師など、どのような学習環境を与えられるかということも、どちらの受験が有利かという判断に大きな影響を与えると思います。 私の感覚としては、中学受験の方が学習環境の影響が強く出ると思います。 指導する人のスキルが、生徒の成績に大きく影響するということです。

 

中学受験の「質」について書いた記事です。

komazawajuku.hatenablog.com

その結果、高校受験の数学は大学受験の経験者がその活用の形で教えられますが、中学受験の算数は方程式で教えるのはやめた方が良いです。 中学受験の算数は、それ用の解法で解いた方が速いし、間違いも見つけやすいし、判りやすいし、楽だからです。 それを書いたのが、これです。

komazawajuku.hatenablog.com

 

気楽に書き始めてしまったのですが、語りたいことがあふれて止まらなくなってしまいました。

 

中学と高校の両方で募集をする学校で、高校から入学する場合に考えたい要素があと一つ有ったのですが、これは稿を分けさせて頂いていつか書くことにします。 

その記事のキーワードは、「先取り」です。

 

 

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