中学受験における偏差値って何なのか、簡単に説明できますか。
その偏差値の値が高い学校って、他の学校とどこが違うのでしょうか。
志望校のイメージを固めるためにも考えてみる価値は有ると思います。
受験生は全受験生中の位置を、偏差値という数値で得ます。
学校の偏差値とは、その学校に合格するために必要な受験生の学力を示す数値です。
偏差値が高い学校とは、多くの受験生が入学したいと希望する学校です。
皆が入学をしたがる = 良い学校 ・・・と、思われがちです。
ですが「山高きが故に尊からず」 今日はそんな話です。
まず、偏差値の話。
くわしい話は、この記事で書きました。
合格を勝ち取りたい学校が、四谷大塚の80%偏差値で55だったとします。
これは過去の統計的な実績として、模試での偏差値が55だった受験生のうち、10人に8人が合格したということです。
受験生がそれより5高い偏差値60を取れていれぼ、よほどのミスをしないかぎり合格するでしょう。
50前後だと合格の可能性は半々の50%前後、ギャンブルな受験になります。
受験生は自分の偏差値が高い値であれば「自由に」学校を選べます。
偏差値が足りなければ、受験しても合格は難しいことになります。
人は手に入らない物をあこがれの対象として「良いもの」と感じます。
無意識のうちに生まれて来る「あこがれ」には要注意です。
偏差値の高い学校とは、多くの入学希望者が集まる学校です。
ですが、それが「本人にとっての良い学校」であるとは限らないです。
実は、学習塾の先生もこの誤解に陥りがちです。
「この偏差値でしたら、あと5上の学校を狙えますよ。」というセリフは頻出です。
これまでに本人の偏差値よりはるかに上の学校に合格させた事が何度も有ります。
はたしてそれは「本人にとっての正解」であったのか、疑問に思ったことも。
学校が送って来たドリルを見て、まだ入学式の前なのに登校拒否になったり。
良い学校とは? 生徒本人にとって良い学校とは何なのでしょう?
世の中にはさまざまな指標があります。
・受験シーズンに必ず雑誌で特集されるのが「東大合格者の人数』
・学習塾の学校情報の本には「有名校への合格者数実績表」
・学校の発表する「GMARCHへの推薦合格者数」
これらの数字が志望校を検討する際に参照されます。
とてもシンプルで、学校の魅力を検討する時に使いやすい数字です。
それらの数字は明確な「事実」です。
ですが、それらの数字に隠れた裏の数字は知ることが難しいです。
・合格実績数に重複してるカウントは?
・少数の優等生が稼いだ合格者数では?
・特別進学クラスだけを特訓した成果では?
・入学者の人数と卒業者の人数の差は?
ほんとうは、それらの裏の数字と合わせることで初めて学校の魅力が判断できるはず。
最後の数字は怖いですよ。「中学受験をわらう」というブログで「深海魚の放流」と表現されている数字です。
これから志望校を考えるにあたって、たいせつなのは生徒本人にとってベストな選択になること。
その選択をするのは保護者様です。
「○○ちゃんは、どこを受けたいの?」という質問は、「あこがれ校・チャレンジ校」以外に対しては尋ねるべきでないと私は考えています。
本命校やおさえ校は、大人が主導権を握って選択すべきです。
その上で、「合格を勝ち取らせるための手段として」それらの学校へのあこがれを持てるようにデザインしてあげるのが大人の仕事だと考えています。
さて、それではどうやってベストの学校を選んでやるか。
ポジティブな数字データはいくらでも手に入ります。
でも本当に知りたいネガティブな数字は入手が困難です。
「勘」と「感覚」を活かすための工夫がたいせつになります。
その学校に通学している姿を想像してみる。
姿を想像してみるための材料を集めましょう。
学校や生徒の姿を自分の目で見ましょう。
そのための時間は、まだまだたっぷり有ります。
具体的な校名が絞られて来るのは9月以降の4回の模擬試験を受けながらです。
模擬試験の志望校に書いた学校を受けなければならない規則なんか有りません。
でも、早めに志望校を明確にしましょうと勧められる場合が有ります。
その目的は、生徒と学校の偏差値の隔離を数値で見るためです。
指導する側として「どこまで無理をさせねばならないか」という見積もりをするためです。
学校を知るための工夫については、この記事で書きました。
山高きが故に貴からず
雄大な姿にはあこがれを感じます
でもそれが自分にとって名山であるとは限りません