駒澤塾:中学受験の算数・理科

中学受験の算数・理科を中心に書いて行きます。駒澤が旧字体なのは検索をしやすくするためです。

偏差値について:2

偏差値に関する話の続きです。 昨日は【偏差値とは特定の母集団の中での相対的な位置である】ということを書きました。 今日は【たかが偏差値、されど偏差値】の話を具体的な数字を挙げて書きます。

 

 【たかが偏差値】

模試の偏差値の値は2や3くらいは平気で変動します。 特に1科目だけの偏差値だけを見ると、苦手の単元が出たというだけで5以上も変わってしまいます。

国語で論説文が出た。

社会の歴史で現代史が出た。

理科の物理で電熱線が出た。 などなど

算数でも中学受験で学ぶ数十個の単元のうち、一回の模試で出題されるのは十個前後、全体の数分の1です。 ひとつひとつの配点が大きいので、苦手単元が出たりケアレスミスで取りこぼすと偏差値は大きく変動します。 

具体的な数字で見てみましょう。

 

四谷大塚の2015年(平成27年)の第1回合不合判定テスト算数の数字を挙げます。

解答欄は25個で1問6点の均等配点、150点満点で男子の平均が72.3点、女子の平均が63.2点でした。 つまり男子は25問のうち12個、女子は10.5個の得点が出来ればほぼ平均、偏差値50が取れる難易度でした。

正解が12個というのは、大問1から大問4までの15個のうち3個で失点しても取れる個数です。 大問2の(8)だけは正答率が男子15%、女子10%なので捨てるとしても、大問4までの範囲だけを解いて、その中で失点を2つしても大丈夫ってことです。 

 

この12個の正解が取れる解答力を持つ子で考えて見ます。

大問1から大問4までで取れなかった苦手を克服する、ケアレスミスを減らす、あるいは大問5以降の(1)の中から解ける問題を見つけて正解する、などで正解が3個増えたら? 点数は72点から90点になるわけで、

男子の場合、算数の偏差値は49から55になります。

女子の場合、53から59になります。 難関校が狙えます。

逆に苦手単元やケアレスミスで正解が3個減ったら? 男子は43、女子は46です。

 

四科目全体の偏差値では運・不運の影響はずっと薄まりますが、それでも得意単元の有無や体調などの影響で2や3は普通に変動します。 たかが偏差値です。 回ごとの変動に一喜一憂しすぎてはいけません。

 

 

【されど偏差値】

その1:上がり下がりの傾向は重要な情報で、同レベルの受験生から置いて行かれているというサインです。

その2:回ごとの変動があまりに激しい場合、極端に苦手な単元が残っているサインです。

その3:偏差値の値をまるで無視して受験スケジュールを組んだら?

叱ると褒める - 駒澤塾:中学受験の算数・理科 では軽く触れただけの「その3:」について書きます。

 

まず、偏差値の表をご準備ください。 (下の図は四谷大塚の2018年12月の模試の男子80%偏差値の表の1枚目です。 例として挙げました。)

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お子様自身の偏差値の高さに水平な線を定規で引いてください。

その偏差値の5つ上と5つ下に水平線を定規で引いてください。

この上下幅10の窓が受験スコープです。 そこに見える学校が検討の対象となる学校名であると私は考えます。 一回この受験スコープを書き込んだら、それを偏差値で3とか5くらい上に動かしてみてください。 スコープ内に見える学校が大きく変わるので驚くと思います。

 

下のグラフは学校側から見た受験生の偏差値と合不合の理論値をあらわしたグラフです。

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引用元:市進学園のコラム「そうだったのか!中学受験 第7話 偏差値のはなし(つづき)

 

私が提案するように80%合格率の学校を基軸に考えて、それの5つ上をチャレンジ校、5つ下をおさえ校として考えるのは安全サイドに振り過ぎに見えるかも知れません。 しかし中学受験をするのはまだ12年しか人生経験の無い子供です。 中学受験はやり直しのきかない一回勝負です。 大手の学習塾の中に「合格率50%なら迷わずGo!です。」という指導をしている所があると聞きますが、それで『塾としての合格実績』は出るかも知れませんが、その塾の全敗率(書くのも嫌な言葉です)がどのくらいの数字なのか気になるところです。

 

もうひとつ加えると、受験スコープはあくまで受験相談において志望校を絞り込んで行く提案でのガイドラインです。 受験の直前期に生徒本人の目の力を見て、スコープのずっと上の受験をお勧めしたことも有りますし、12月の模試の80%偏差値から10以上高い学校も合格させて来ました。

成否を大きく左右するのは直前期の本人の気持ちです。 これをベストにもっていく対応と、短期間に成績を上げる対応は「北風と太陽」でトレード・オフの関係になることも多いのですが、その話は長くなるので別の機会に書いて行きます。

 

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