思考力型とか適性検査型とか自己表現型といった入試が激増しています。
思考力の重視って何でしょう?
なぜ、こんなに新しいコースが増えているのでしょう?
今後、これらの形式の入試は続いて行くのでしょうか?
中学入試において、新コースの新設が目立ちます。
すさまじい勢いで新種(新コース)が登場して来ています。
まるでカンブリア紀の生命進化の大爆発のようです。
激増する新コースに関して、風邪薬の名前をタイトルにした記事で書きました。
2023-02-06;新ルルAゴールドDXアルファ
この記事で書いたように、最近の新コースは名称だけでは内容がわかりません。
もちろん、算数単科、英語特化型などのように明確な名称のコースも有ります。
しかし新コースの大部分は出題の内容が想像できない名称です。
ものすごい暴論を言えば、それらのコースの名称から感じるのはこういうこと。
「国際的な視点を持ち自己の表現力に優れているけれど知識の暗記量には自信が無い人が粘りと考察力で運が良ければ合格できるかもしれない」コースなのかなって。
ここからは「適性検査型」に話をしぼって考えてみます。
このコースを受けようとする受験生は二種類あると考えます。
・早期から都立一貫校の準備をすすめて来た生徒の併願校
・自身の偏差値より上の学校をワンチャンスねらいの生徒
私立中学で適性検査型入試が増えるのは、早期から都立一貫校を目標に受験準備をしている受験生にとっては嬉しい話です。
10年くらい前だと都立一貫校をメインに準備して来た受験生の「2月3日午前」以外の併願校は悩みの種でした。
当時の適性検査型の準備は、算数に関して言えばこんなイメージでした。
・学習する範囲としては予習シリーズの5年生上下巻(当時)まで。
・ただし場合の数と推論、数の性質に関しては難関校レベルまで習得。
【補注】学習する範囲としては予習シリーズの全面改定で現在は異なります。
都立桜修館でニュートン算が出ましたし、上記のイメージは昔のものです。
出題される範囲は狭いですが、同時に入学希望者の多い厳しい入試です。
2023年度の都立桜修館の四谷大塚80パーセント偏差値を見ると男子61、女子63です。
これは広尾学園(2月1日 男子61、女子64)の偏差値に相当します。
つまり、出題されるのは限られた範囲、しかし合格できるのは四谷大塚の合不合判定テストで偏差値60を超えるレベルの生徒ということです。
そのような状況は昔も同じでした。
そのことから、都立一貫校を目標としている生徒の併願校の相談は迷いました。
偏差値の数字だけを見て「つりあう」ように見える学校を受験するとなると、予習シリーズの5年生上下巻(当時)までの勉強では足りませんから。
その意味で適性検査型の入試を取り入れる学校が増えるのは嬉しいことです。
なのですが、
残念なことに新コースを導入しているのは中堅校クラスまでです。
難関校クラスでのコース導入がもっと増えると良いのですが、新コースの導入校名を見ると難関校の校名は見当たりません。
そのことから、どうしても感じることがあります。
それら新コース導入の主要目的が「合格できそう感の醸成」ではないかと。
実際、6年生の冬が近くなった頃に適性検査型の受験に対する相談を受けた先生は多いのではないでしょうか?
「一般入試だと○○中学ですが、ワンチャンスをねらって△△中学の適性検査型を受けるのはどうでしょうか?」
これが現時点での新コース群の実態だと感じます。
合格を確保した上でのワンチャンス狙いなら、これも「有り」だと思います。
その意味で入学希望者の間口を広げたいという学校側の意図は成功しています。
適性検査型に代表される新しい選考基準が正解であったか否か、そろそろ見えて来る頃です。
新型入試で入学した生徒の大学受験結果が事例として積み上がりつつありますから。
さて、数年前から導入した学校の進学実績はどのようになっているのでしょう?
興味のあるところです。
生命はその進化の過程において膨大な絶滅を経験して来ています。
多様性を思いっきり拡げておき、環境の変化に対して一部でも生き残れば良いという戦略です。
コロナ禍で中学入試の志願者数は増えましたが、少子化による市場規模縮小は基本基調です。
その中での多様性の拡張への試みが、新型入試の爆発的な導入増加だと思います。
それに対して受験生はどう対応するか?
長くなりましたので稿を分けます。