駒澤塾:中学受験の算数・理科

中学受験の算数・理科を中心に書いて行きます。駒澤が旧字体なのは検索をしやすくするためです。

中学入試の変化:講師希望者のスマホ書式

某家庭教師のマッチングサイトで講師側の自己紹介画面を見て驚きました。 

改行を本来の位置でしている人は、90名見た中でわずか4名だけでした。 

あとは全て20文字か、それ以下の文字数で改行を入れていました。 

このようなコマ切れの書式を私はスマホ書式と呼んでいます。 

 

2月3日朝の入試会場で、校門前の入試応援が完全にゼロ人だったことに驚きました。 
新型コロナ禍の影響だけでなく、何か中学受験そのものが大きく変わっている気がする。 
そんな思いで記事を思いつくままに書き進めています。 

 

ここまで2本の記事を書きました。 
★ 学習塾のカリキュラム (無駄に難化してはいないか) 
★ 学校側の爆発的な新コース導入(今後の予想と対策) 

今日は教える側、つまり講師(希望者)について考えた話です。 

 

きっかけは、家庭教師のマッチングサイトから受けた衝撃でした。 
冒頭に書いたように、講師側の自己紹介文のほとんどが改行だらけのコマ切れ状態でした。 
そこで、三画面(90人)分の自己紹介文に目を通して、4種類に分けてみました。 
【文章や段落で正しく改行】   4名 
【句読点の位置で短く改行】 7名 
【20文字前後で短く改行】 71名 
【短く改行し、更に無駄に何行も改行】8名 
下の2つ、90名中79名の文章がコマ切れの書式でした。 

 

上から二つ目の【句読点の位置で短く改行】、これは良いと思います。 
もともと日本には短く区切る美しい書式、五七五七七などが有りましたから。


 

ですが、

9割近い人が文章をプチプチと切断するように改行を入れています。 
おそらく書いた人の意図は、スマホなどの小さい画面で見やすいように、でしょう。 
けれど私には、これらの文章に自己中心さ、このブログで良く登場する「プロダクト・アウト」な姿勢を感じてしまいます。 

 

そんな事は気にする必要は無いとか、細かく改行した方が見やすいとか、うるさい事を言うなという意見もあると思います。 
以下の記事は、スマホ書式に違和感を持つ人に読んで頂ければ満足です。 

 

それでは始めます。 

 

家庭教師という他人に教える生業をしようとする人がスマホ書式を使う事に覚える危惧は大きく二つあります。 
一つ目は、読者の環境を想定しない自己中心的な姿勢です。 
二つ目は「スマホ書式が読みやすい」と感じる感覚そのものです。 

 

【文章を表示する仕組みについて】

ネット上の文章は、スマホタブレット、パソコンなど、さまざまな画面で読まれます。 
快適に文書を読むための仕組みに、HTMLという規格があります。 
HTMLとはハイパー・テキスト・マークアップ・ランゲージ の頭文字です。 
詳しい話はこの記事をご覧ください。 
2023-06-30:はてなブログはEnterで段落になる 

komazawajuku.hatenablog.com

上の記事の中でもふれている「スマホ書式」を表題にした記事がこれです。 
2023-05-28:スマホ書式? 

komazawajuku.hatenablog.com

 

今日のテーマ、受験指導をする講師がスマホ書式を使うのはなぜでしょう?
おそらく、「読み手が読みやすいように」と考えた結果だと思います。 
ですが、その思いは自己中心的であると言わざるを得ません。 
なぜなら、考慮しているのが自分の持っている端末だけ、だからです。 
おそらくご自身の端末では見やすいのでしょうが、想像力が足りないと感じます。 

 

その想像力の不足は指導の際にも表れるのではないでしょうか。 
受験生の指導方法に唯一の正解など無い、
最適な指導法は生徒の数と同じだけ存在する。 
このブログで繰り返し書いて来たことです。 
良かれと思って採用した指導法が生徒の特性と食い違っていたら?・・・悲劇です。 
たかが文章の書式ですが、そこには情報の送り手側の基本姿勢が表れている気がします。 

 

スマホ書式は読みやすいか?】

これは特に、最後の【短く改行し、更に無駄に何行も改行】 に関係する話です。 
もっとも極端な自己紹介文を調べてみました。 
たった504文字の文書を、
単語を断ち切りながら分割し、
90行もの空白行を無駄にはさんで、
全部で115行ものエリアを使っていました。 

 

これはもう文章ではありません。 
目に飛び込んでくるのはキーワードの羅列だけです。 
しかも20文字で機械的に改行しているので、さきほどの分類の中の【句読点の位置で改行】と違って、キーワードそのものが二つの行に分かれていたりします。 

 

そのような書式を読みやすいと感じる人もいると理解はしています。 
キーワードの羅列=結論の列挙 
シンプルに情報だけを得られる「タイパ」の良い文章ですよね。 

 

んな訳、ねーわな。 

 

昔の話を思い出しました。 
昔も昔、まだスマートホンが登場する前の携帯電話の時代です。 
高校の同窓会で大学の先生をしている友人から聞いて、びっくりした話です。 

「教え子の中に、レポートを携帯電話のメールで送ってくる者がいる。 
 そういうレポートのほとんどは文章がめちゃくちゃ。 
 それっぽい用語は並んでいるけど、ほんの数行で記述が矛盾してたりする。」 
さもありなむ。 

 

 

【今日のまとめ】

たかが文章の書式の話です。 

ですが、9割の人が文章をプチプチと切断するように改行を入れている現状。 

日常の小さな風景から中学受験の変化を考えるシリーズの中で、個人的にはかなり「怖い」と感じる回になりました。 

相手の状況を想定せず、タイパ重視で単純明快なキーワードを中心にコミュニケーションを進める学習指導者が激増中・・・これって怖くないですか? 

 

 

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