ひんぱんに「中学入試の問題難化に対応し・・・」というフレーズを見ます。
中学入試の問題はほんとうに難化しているのでしょうか?
塾からの説明をうのみにするのは危険だと思います。 今日はそんな話です。
最近、学習塾の発行するテキストは、のきなみ「記載量の増大」と「カリキュラムの前倒し」された改編がされています。
そしてその理由は「中学入試の問題難化に対応し・・・」です。
本当?
本当に中学入試の問題はテキストの全面改定を要するほど難化しているのでしょうか?
コロナ禍の際に公立校の対応のにぶさが広く知られ、私立中高一貫校の受験生が増えました。
受験生が増えれば倍率も上がります。
多くの学校で合格がむずかしくなりました。
ですが、倍率上昇に呼応して問題の難度は急激に上がったでしょうか?
学校側が「受験生が増える。たいへんだ。問題をうんと難しくせねば。」って大変更をしたでしょうか?
有り得ないですよね。
入試問題が難化したと塾側が言う根拠のもう一つは、新傾向の出題です。
たしかに、これまでに無かった問題が出題されているのは毎年見受けられます。
たとえば、最近の出題では「バイオーム」が頭に浮かびます。
そして、それらがテキストに追加されて行きます。
中学入試の出題が難化しましたと言われるとき、志願者数の増加と新傾向の問題が今年も塾の受験報告会で話されると思います。
しかし中学校の入試問題に急激な難化は無いです。
合格点がすこし上がっただけです。
新傾向の出題はたしかに毎年登場します。
でもそれは、補足教材を作成すれば良いはずです。
テキストを全面改訂してカリキュラムに折り込むほどの大変化は起きていません。
まとめると、多くの学習塾のテキストは必要以上に難化していると感じています。
そして、各塾のテキスト難化の目的は「Sapixに追いつけ、追いこせ」だと思います。
以前の記事で書きましたが、私はSapixのカリキュラム体系が好きです。
最上位生(御三家、難関校)に特化した構成は明確であり、設計に合った生徒にとっては理想的なカリキュラムだと思います。
そのことを、繰り返しブログの中で書いて来ました。
この記事の最後の10行でも書いています。
2020-06-19:Sapixの教材管理:要点は所要時間
新傾向の入試問題を次々に取り込み、カリキュラムの構成を大幅に前倒しにする、その結果として中堅層の受験生に過剰な負担がかかっていると感じています。
学習塾の発行するテキストは、本質的に肥大する性質を持っています。
その結果、ほとんど出題されない知識まで無駄に記載されています。
その方が、塾側としては安全だからです。
「秋の七草」について調べてみたのがこの記事です。
2023-09-18:秋の七草の出題頻度
最近「中学入試の問題難化に対応し・・・」を理由として、学習塾のテキストに「記載量の増大」と「カリキュラムの前倒し」がなされています。
これは最上位生にとっては問題の少ない改編かもしれませんが、大多数の生徒にとっては無駄にまどわす弊害を起こしています。
では、中堅層は肥大したテキストの中からどのようにして覚えるべき知識を絞るか?
このブログをキーワード「絶対必須の」で検索すると関連記事が出て来ます。
要点を言えば、単純です。
・テキスト全部を覚えようとせず
・宿題に登場する知識をしっかり覚える
なぜならば、テキストの肥大に対しては苦情は来ないが、過剰な宿題を課せば即座に苦情が来るからです。
どの塾も、宿題に関しては生徒のレベルに応じた難易度で出しているはずです。
たとえば「天体」に関して具体例を書いたのがこの記事です。
2023-02-20:理科の勉強方法:予習シリーズ小5上第4回「天体」
提供側の事情で履修範囲をどんどんふくらませて来る学習塾の「プロダクト・アウト」な動きにまどわされず、自己防衛をしましょう。
志望校の合格を勝ち取るために。
from:いらすとや