駒澤塾:中学受験の算数・理科

中学受験の算数・理科を中心に書いて行きます。駒澤が旧字体なのは検索をしやすくするためです。

図形問題は自分で図を描いて考えよう

図形問題を苦手な単元と感じる生徒は多いです。

苦手と感じる理由はいくつも有り、このブログでも何度か記事にしています。

対策は理由ごとに違いますから万能の対策というものはありませんが、その一つが「自分で図を描いて考える」ことです。

 

演習中の様子を見ると、腕を組んで問題を睨みながら考えている生徒が多いです。
鉛筆を手に何かを書いていても、図の線を何度もなぞっているだけだったりします。

 

図形問題を解く時に「分かっている長さや角度を図に書き込め」というのは、おそらく全ての先生がしている指導だと思います。
問題の図に書き込むだけでなく、解けない時には自分で図を描いてみるという指導をすると解けなかった問題が解けるようになります。

 

問題の図をあらためて書き写すというのは時間も手間もかかります。
それでも書き写しをするというのはメリットが有るからです。

 

【メリット:親の意見と茄子の花 対策】
「親の意見と茄子の花 千に一つの無駄も無し」
  若い頃は親の言うことを下らないと感じるかも知れないが、
  歳をとって振り返ってみれば、千に一つの無駄も無いものです。
  花を咲かせれば必ず実る茄子のように。

 

算数の入試問題でもこれが成り立ちます。
問題文に示された情報は全て使い切ります。
最後まで使わない情報が有る入試問題は今までに一回しか見たことがありません。
そういう正答率を下げるための「迷彩」は好きじゃ無いので校名は書きませんけど。

使わない情報が混じった問題は入試以外では見ることがあります。
それは小学校と中高が接続した学校での内部進学試験です。
洗足学園の内部進学試験について生徒から質問を受けた時に見ました。
それはおそらく中学入試の問題から難度の高い(3)を省略したものでした。
そのため、問題文に含まれた情報の中に使わないものが出来てしまっていました。
解きながら、なんて言うか、凄い違和感を感じた記憶があります。
「問題文に登場した情報は全て使い切る」という感覚が染み込んでいるからです。

 

と言うわけで、問題に示された情報を全部使い切るという感覚は解答能力を向上させます。
問題の図を書き写すということは、そこに書かれた情報を何度も見比べながら写して行く作業ですから、必然的に情報を漏れなく確認することが出来るわけです。

 

 

【メリット:マジック・ナンバー・オブ・セブン対策】
どんな天才でも人間が頭の中で一度に扱える情報は7個以内です。

komazawajuku.hatenablog.com

この記事でも書きましたがその制限を超える対策は、紙に書いて整理することです。
脳細胞というメモリ容量の制限を、紙という外部記憶装置で補うわけです。

 

難関校が正答率を下げるためにする「いぢわる」の一つが情報量を多くすることです。
図の書き写しはその「いぢわる」を打ち破る有力な武器になり得ます。

 

 

【メリット:たった一本の解法の道筋を見つける】
出題者がする「いぢわる」には、こういうものも有ります。
正解に至るたった一本の道筋の発見に必要な情報をギリギリまで削ってしまうのです。

komazawajuku.hatenablog.com

中堅校までは正解に至る道筋が複数あることが多いです。
難関校では唯一の正しい道筋をたどらないと解答にたどり着けないような問題が出ます。
上の記事の中の【3:たった一本の道をさがさせる】でそのことを書きました。
それへの対抗手段として「解説を逆から読んでみる」を提唱しています。

 

問題の図を書き写すという作業は、これへの効果も有ると思います。
図を書き写していると、問題を作った先生の思考をたどっている感覚が生まれることがあります。
「あっ、ここでいぢわるをしてる!」と気付けると快感です。

 

 

という訳で、図の書き写しにはさまざまなメリットがあります。
書き写しの演習をさせる時の注意点です。

★定規は使わない
小学校では表やずを書くときに定規を使わないと叱られることがあります。
そのためか、フリーハンドでまっすぐな線を書けない生徒が意外に多いです。
ところが、入学試験では定規の持ち込みを禁止する学校がけっこう有ります。
練習をしておく価値があります。
たとえば、長い線をまっすぐに書くコツです。
紙を回転させて鉛筆を遠くから自分に向かって動かすとまっすぐな線が描けます。
直線を書くのって「線を引く」って言いますよね。

 

★コンパスも使わない
円や扇形を最初から上手に描ける生徒はほとんど居ません。
これも練習をしておくべきです。
その練習は試験の時に考えるための図を描くだけでなく、半径や円弧の接線などの持つ性質を学ぶこともできます。

komazawajuku.hatenablog.com

 

 

という訳で、図形問題は自分で図を描いて考えると得点力が向上するという話でした。

私も図形問題で答えを出す糸口が見つからない場合、設問の図形そのものを書き写しながら考えます。

 

 

 

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