<化学> <水溶液の性質> 情報の整理能力を要求する問題です。
【問題】
次のA群のア~カのグループには、それぞれ性質の面で他の3つとは異なる液体が1つずつ含まれていて、B群の中に異なる理由を説明した文があります。それぞれ性質の異なる液体の番号を解答らんのAに、その理由を解答らんのBに書きなさい。
[A群]
ア:1 塩酸 2 食酢 3 蒸留水 4 エタノール
イ:1 水酸化ナトリウム水溶液 2 食塩水 3 石灰水 4 石けん水
エ:1 塩酸 2 重そう水 3 炭酸水 4 アンモニア水
オ:1 リンゴ果汁 2 牛乳 3 食塩水 4 砂糖水
カ:1 食塩水 2 砂糖水 3 レモン果汁 4 食酢
[B群]
1 この液体以外はアルカリ性を示す
2 この液体だけは卵の殻を入れると泡が出る
3 この液体以外は水とよく混ざる
4 この液体以外は電流を通す
5 この液体だけは水に気体が溶けたものである
6 この液体だけは加熱したときに固体が残る
【解説】
高難度の問題ではありませんが、頭の中だけで考えようとすると無駄な時間がかかったりミスをしてしまう良い出題だと感じます。
A群の4種類の液体から仲間はずれを1つ探すというのは、他の3つの液体の共通点を探すという作業ですね。これだけならあまり混乱しないかも知れません。ところがB郡から理由を選ばせることで上を見て下を見ての動きが発生し、さらにB群の書き方として仲間はずれの理由と3種類が仲間になる理由を混ぜていることで、問題全体を頭の中のテーブルに並べて見渡す作業が不可能になっています。
人間が同時に取り扱える情報は最大で7個までだということは、マジック・ナンバー・オブ・セブンという呼び名で知られています。その点から見て設問の液体が6組だというのも絶妙ですね。もしも10組もあったら受験生は最初っから表を書いて整理しようとするかも知れませんが、6組ならなんとなく出来そうって思えてしまいそうです。
下記の画像は生徒の過去問演習ノートに書き込んだコメントです。生徒からあずかったノートに睡眠時間を削って書き込んだメモなので字が汚いのとアレッ?っていう点が混じっているのはご勘弁。
このように[B群]の要約を縦に並べて、[A群]のアからカについて条件を満たせない組み合わせに×印をつけたものです。 例えば最初の行について見れば「アルカリ性の液体が3つ有りますか」という条件になり、これを満たすのは[A群]のイだけだと判ります。 いっぽう2行目につては「卵の殻を入れて泡が出る液体が1つだけ有る」という条件ですが、この段階では厳密には考えずに一目見て明らかに違うという組み合わせ3つに×印を付けて消し込みをしています。
漏れが出るのを恐れずに「とりあえず」の形で×印を付けて行くとア、イ、ウ、エに関しては正解が判ってしまいます。 あとは残ったオとカについて「卵の殻を入れて泡が出る液体が1つだけ有る」のと「電気を通す液体が3つ有る」のはどれか考えれば良いわけです。 これなら簡単ですよね。
コンピュータ屋でない人には判りにくいたとえですが、レジスターが7個という脳の性能を超えた処理を、紙という外部記憶装置を使っておこなった、ということです。
【解答】
ア:A(仲間はずれ)=1 塩酸 B(理由)=5 ひとつだけ溶質が気体
イ:A(仲間はずれ)=2 食塩水 B(理由)=1 他は皆、アルカリ性
ウ:A(仲間はずれ)=4 サラダ油 B(理由)=3 他は皆、親水性
エ:A(仲間はずれ)=2 重そう水 B(理由)=6 ひとつだけ溶質が固体
オ:A(仲間はずれ)=1 リンゴ果汁 B(理由)=2 ひとつだけ卵で泡
カ:A(仲間はずれ)=2 砂糖水 B(理由)=4 他は皆、電解質