今年の四谷大塚の合不合判定テストが変則実施になったことを受けて、点数と偏差値の対応表が過去と比べてどうであるか、かなりの手間をかけて対応表にして、昨日の記事として公開しました。
なぜそのようなことをしたかと言えば、せっかくの模擬試験、来年の入試に向けて頑張っている生徒が本気モードになるための材料に使って欲しいからです。
模擬試験の結果の活かし方については何度か書いて来ました。 今回は過去の記事へのリンクを入れながら、なるべくシンプルに書きたいと思います。
【模擬試験の偏差値から何を知るか】
自分が具体的な志望校に受かるか、落ちるか、本人が実感として感じる。
6年生になって、どの塾でもどの先生でも「さぁ、いよいよ受験の一年だ!」とギアを切り替えるはずですが、ほとんどの生徒で本人の気持ちが本格的に切り替わるはずっと後です。
例年では夏期講習の前までに切り換えさせるのが一つの目安ですが、今年は小学校の夏休みがどうなるか不明ですから、天王山は「今」です。
例年ならば4月と7月の合不合判定テストで、次のように志望校を書くようにお願いしています。
4月の合判に対しては
『志望校は実際に受けるかどうかとか、通えるかどうかとかは無視をして、偏差値で5ずつ間隔を空けてとりあえず知っている学校名を書いてしまってください。』
7月の合判に対しては
『4月の合判で大きな網を投げてポジションが把握できた人は一段階絞り込んでください。 目的は夏期講習に向けてのモチベーション形成です。』
今年はこの2つを、出来る限りの範囲で「今」の時点でやってしまいたい。
そのためには「得点から得られる本人の偏差値」と「学校の偏差値」、そこから得られる「合格率」の関係がある程度信用できないと困ってしまう。 それで手間をかけて対比表を14枚も作った訳です。
私の感触として、今年の得点・偏差値換算表は「使える」と思いました。
もちろん受験した母集団の違いや自宅受験&郵送組の影響などからの誤差は入っているはずですが、私の感触では誤差は上下1から2でないかと思います。
そもそも生徒が取る偏差値がちょっとした事で2や3は変動しますから、今回の数値から志望校に対する合格率を推定しても、まぁ大丈夫だと思う次第です。
さて、その偏差値を使って本人の本気モードにどうやって刺激を与えるか。
それなりの誤差は避けられませんから「厳密に見えてしまう数字の表」を使うのは避けて、「それなりにアナログな偏差値チャート」を使いましょう。
こんな感じです。
【使用するチャート】
四谷大塚からは80%合格率のチャートと50%合格率の2種類が提供されます。 私は四谷大塚の場合は80%チャートを使うのが好きです。(この辺は塾によって差を色々と感じる事が有るのですが、いずれ機会があれば)
【チャートに線を引きましょう】
本人の取った偏差値の位置に水平な線をマーカーで引きましょう。
上の例では男子80%の2/2~の偏差値=50の位置にピンク色の線を引いてあります。
【偏差値で5上下の位置に線を引きましょう】
上の例では45と55の位置に水色のマーカーを引いてあります。
これで本人と話しをする準備が出来ました。(緑色の線については後でふれます。)
【生徒との対話例】
ピンクの線上の学校が、現時点での君の本命校だ。
線上の学校を見ると桐蔭学園、もう一息頑張って高輪。
80%偏差値というのは過去の受験生が5人にひとりはその学校に落ちたということ。
これから皆が本気になるから、それについて行けなかったらこれらも難しくなるぞ。
偏差値で5、上の水色の線を見てみよう。
そこに並ぶ学校が現時点で50%前後の合格率になるはず。
学習院や暁星の名前が見えるね。
現時点ではまだあこがれ校だけど十分に届く範囲だ。
逆に偏差値で5、下にある学校をおさえ校と思いなさい。
偏差値の高い低いと学校の良し悪しは関係ない。
おさえ校に関しては君にベストな学校を大人が決めるので、そのつもりで。
さてここで、あと5上を見てみよう。
(ここで60のラインに緑色の線を書き足す)
50%、二人に一人は合格するラインに全然違う学校名が見えて来ない?
じゃ、実際に偏差値を5上げるのってどんな感じなのか見てみよう。
たとえば算数では・・・
【対話例の補足】
最後の段、偏差値を5上げるために必要な得点を対比表から逆算して、問題番号毎の正答率を参考にどこで得点していれば取れたかチェックしてみると、意外なほど簡単に取れそうに「見えます」。
まぁ実際に偏差値を5上げるというのは大変なことなのですが、本人に「頑張ればやれそうだ」という感覚を持たせるというのが上の対話例の主旨です。
偏差値で何を知るか
本人の得点力で志望する学校に合格できるかどうかです。
ただし、それは最終的な「目的」であって、現時点では合格率という情報を「手段」として最大限活用して、最終的な「目的」達成のために役立てるべきです。
模試の分析帳票を見て、「受かりそう」「駄目そう」だけで終えていませんか?
ちなみに
偏差値チャートに上下5の幅で線を引く話は「受験スコープ」という名で書いています。