試験の監督をしていて教室の巡回中に気付いた。 国語の記述問題で、時間配分のへたな生徒の多くが、半分くらいまで書いた記述問題を何度も消しながら答案を作成している。 よく見ると、机の上には消しカスの山。 こんな受験生が教室の中に一人や二人は必ず居ます。
消しゴムを握りしめて消しカスの山を作る生徒は、書き始める前に何を書くか構想せずに、思い付きで書き始めるのでしょうね。
私は算数と理科を専門に指導していますので国語に関しては詳しくないのですが、それでも「記述式の答案を作る場合には、事前に『採点者がチェックするキーワード』をリストアップして、それらを織り込んだ文章を書く。」ぐらいの解答技術は知っています。
国語の得点が伸びなくて悩んでいる場合、解答欄に書いては消し書いては消しをした痕跡が残っていないか、問題冊子に構想を整理したメモが残っているか、確認してみてはいかがでしょう? 改善のヒントが見つかるかも知れません。
そもそも試験科目を問わず、消しゴムを使うってのは「異常事態」だという感覚を育てておきたいと考えます。
一度は書いた解答を直すということは間違いを発見したということですから、本来なら精神的なプレッシャーを感じるような事態のはず。
それを書いては消しを繰り返して解いているということは、解答欄をコンピュータでいう外部記憶装置のワーキングメモリとして使っている訳です。
かなり効率の悪い処理方法です。
ましてや、使っている鉛筆の芯の濃さと使っている消しゴムの硬度が合っていなくて、「消す」という作業に負担を感じるような状況だったりすると、効率を低下させる悪影響は無視できない大きさになってしまっている可能性すら有ると考えます。
本番の試験で無駄な消しゴム使用を減らさせるために、演習や模試で消しゴムを使わずに解くという訓練をさせてみるのは有効だと考えます。
消しゴム禁止と言うと、初めはものすごく反発すると思います。
「そんなことをしたら、時間が足りなくなる。」って。
その反発を単純に押し切るのではなく、具体的な行動の指示や、目的の明確化とともに命令することが肝要です。
・もちろん本番では消しゴムを使って良い。
・あくまで得点力向上のための練習である。
・選択肢問題は二重線で消して訂正しなさい。
・記述式問題は訂正禁止。一気に書くこと。
・事前に構想メモを作りなさい。
・構想メモの作り方は具体的には・・・
という感じです。
ちなみに演習時間の延長もしてはいけません。 所定の時間が経ったら無常に打ち切らせます。 ただし、解答欄には一文字も書けていなくても、構想メモがそれなりの形で出来ていたら、これを大げさに褒めるべきです。
はじめは時間不足になって得点が落ちるかも知れません。
しかし演習を繰り返す中で、事前に構想するという作業がむしろ時間の有効活用につながり、得点力も向上するという体験につながれば、しめたものです。
構想メモは、慣れて来たら書くのを略して頭の中で作らせても良いと考えます。
これが出来る生徒は、演習の後に自分が考えた『採点者がチェックするキーワード』を即答できるはずです。
つまり模範答案との差異を定量的に把握できるようになる訳で、自己採点の精度も上がります。
選択肢問題で二重線で消して訂正するという行為は、会計処理でもする訂正方法で、「訂正したという行為」がしっかり記録に残ります。
以前から書いていますが、教師にとって生徒のミスや間違いの記録は最高の参考情報です。
『ミスしたこと自体を叱らない 叱るのは具体的に指示した対策をしなかった時』を実施するためにも、訂正の跡を意識的に残させた演習をさせる効果は高いです。
今回は守備範囲外の国語について書きましたが、国語に限らず試験中の消しゴムを禁止して解かせたい状況は、算数や理科でも有ります。
たとえば、豆電球のスイッチ回路
たとえば、平面図形の問題
これらについては、また別の機会に書きます。
画像はトンボ鉛筆のサイトから。