駒澤塾:中学受験の算数・理科

中学受験の算数・理科を中心に書いて行きます。駒澤が旧字体なのは検索をしやすくするためです。

平面図形:解説を逆から読んでみる

算数が苦手な生徒が特に難しいと感じるものに「多段階の処理を要する問題」とか「トライ・アンド・エラーを要求する問題」があります。  今日はそのひとつである平面図形の問題に対しての勉強方法について書きます。 

 

平面図形の問題を解く時には、ゴールまでの見通しが取れないままで色々な試みをしなければなりません。 問題文で与えられた長さや角度を図形に書き込み、同じ長さに印をつけ、二等辺三角形や相似を見つけ、等々・・・ 無駄になる作業を繰り返して正解にいたる道筋を探して行きますが、算数が苦手な生徒の多くはこれが下手です。 って言うか、そもそも鉛筆も持たずに頬杖をついて考えている(考えているふりをしている?)だけ、という場合が多いです。

 

それでは何をすれば解けるのか、それを書いたのが次の記事でした。

komazawajuku.hatenablog.com

書き込みをして行くという作業のやり方を教えて、かならず本人にも書かせるという事を私は重視しています。 

 

解くことのできなかった問題の見直しで、苦手だと言う生徒が解答・解説を読んでいる様子を観察すると、その多くは鉛筆も持たずに解説を目で追うだけです。 目で追うだけで、わかったと感じたら解説を閉じてしまいます。

図形問題の苦手を脱する第一歩はここです。 図形問題の解説は、かならず紙に書きながら読ませましょう。 演習時の書き込みは消しゴムで消して書き直すのではなく、新しく図を書いて、そこに解説の流れに従った書き込みをして行くと、自分の試した書き込みとの差が良くわかって効果があります。

 

でも、問題集に掲載された解答・解説って、正解にいたる一本道だけが「AだからBでしょ、するとCがわかるから、・・・(省略)・・・、答えは35度」という感じで書かれていますよね。 

しかもそれが、クドクドと長い文章の形、で。

(文章による解説については、こんな記事を書きました。)

komazawajuku.hatenablog.com正解に至る一本道を文章の形で読むだけで解き方を習得できるのは、「すでに基本的な解き方は身に付けていて、その問題特有の『ひねり』を見つけられずに失点した生徒」だけだと思います。

 

では「基本的な解き方の習得にまだ穴が残っている生徒」はどのように解答・解説を読めば良いか? 

目で追うだけでなく、きちんと紙に書きながら読めば、それなりの知識は記憶に残ります。 ただし、それで解けるようになるのは「同じようなパターンの図形問題」と出会った時だけだと、生徒本人は感じてしまう可能性が高いです。 

なぜなら、

多段階の処理を要するちょっとひねった問題に取り組んでいるということは、平面図形の単元が相当に進んでいる段階ですから、そこに至るまでに「解けない、点が取れない、叱られる」という負のサイクルを体験して来ているはずです。

文章題、たとえば旅人算の場合<旅人算・円周路・追いつき>あたりまでの問題でしたら「解けない、解答・解説を読む、分かる、解ける」というサイクルで来れたのに、平面図形の問題などは無限のバリエーションが有るように見えて、心が折れかけているはずだからです。

 

そんな心が折れかけた子が、無限のパターンが有るように見える平面図形の問題で、一本道の解説だけを読んでパターンをコツコツと積み上げて行かなければ叱られるってのは、ずいぶんと酷な仕打ちに感じませんか?

(実は平面図形の解き方のパターンって多くないのですが、その話はいずれまた)

 

 もう気付かれた方も多いと思います。

そう、本日のタイトル「解説を逆から読んでみる」がひとつの対策です。

解説の文章は「AだからBでしょ、するとCがわかるから、・・・(省略)・・・、答えは35度」という流れです。

これを逆から読むというのは「正解は35度だ、それはEの角度から求めてる、EはDの比から正三角形を見つけた結果で、・・・(省略)・・・、それはCから見つけ、そのCはBから、BはAから出て来る長さだ。」という読み方です。

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平面図形を解くときに「わかった数値を書き込みなさい」という指導は良く見ますが、私は「知りたい所を目立たせる」という書き込みも重視しています。

「ここの角度を知りたい、そのためには・・・」と考えると、正解への一本道を発見する手間が大幅に減らせます。 知りたいこと、知っていることを書き込んで行って、その両者がどこかのポイントで握手を出来れば、正解にたどり着ける訳ですから。

 

 

本日の記事は、このブログ記事からインスパイアされて書きました。

テキストの解答・解説の記述が、正解という「目的」に寄っていて、それに至る「手段」の説明が不足しているということは、詳細に書いてあるように見える算数でも同じだと感じます。

ameblo.jp

 

 

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