筆記用具は何を使わせていますか? 2Bの鉛筆? シャープペンシル? 書いている字は濃すぎませんか? 薄すぎませんか? 大きすぎませんか? 小さすぎませんか? 今日はそれらに大きな影響のある筆記用具についてです。
このブログを始めて第2弾の投稿が、ミスを防止するための途中式の書き方の話でした。
①適切な大きさの字で
②途中式と筆算は場所を分ける
③式は水平に書く
④左上から始めて下に向かって項の縦の位置をそろえて式を書く
⑤スペースを下まで使ったら右半分の上から続きの式を書く
⑥得られた解答には下線を引いて目立たせる
これらを実現しようと思ったら、低学年の頃に小学校で指導された「濃くて」「大きくて」「はっきりした字」は、邪魔です。 はっきり言って、良い途中式を書くのを難しくしている要因だと感じます。
私が小学生のころ、低学年ではBや2Bを使っていても高学年になるとほとんどの生徒がHBに変わっていました。 最近の公立小学校では高学年になっても2Bの鉛筆をかたくなに使わせる教師が居ると聞いたのですが、ほんとう? そういう強制はやめて欲しいです。
鉛筆に関する思い出で今でもはっきりと覚えているのが受験を1ヵ月後に控えた小6の冬休みに買ってもらったハイユニの1ダース入りの箱です。 (画像は三菱鉛筆のサイトから)
嬉しかったなぁ、これ。 発売されて4年、文房具屋で姿を見てはいたけれど触ることすら無いあこがれの鉛筆でした。 それが1ダース! 書き味に慣れるために2本は買ってすぐに使い始めたけれど、いよいよ明日が本番の1月31日の夜、良い眠りにつけるように蛍光灯の明かりを消して食卓の上の白熱灯だけにしたちょっと薄暗い居間にぺたんと座って、石油ストーブの臭いを嗅ぎながら筆箱に入れる分を鉛筆削りで準備した。 削り味が気持ち良い。 鉛筆削りの中にある波状の歯が木と芯を削って行く様子が、何のひっかかりも無く削って行く様子が、ハンドルを通じて伝わって来る気持ち良さ! 今でもはっきりと思い出せます。
などと思い出を書くにあたり三菱鉛筆のサイトで鉛筆の解説を読んでいて、「あっ」と気付きました。 鉛筆の芯の硬さと、書かれた字の濃さは別のものであるということに。
uniの説明にこういう一節がありました。
『「Bの黒さでHの硬さ」という最高の品質と共に・・・』
★なんで子どもの文字が太すぎたり大きくなりすぎたりする? 芯が軟らかいからだ。
★なんで軟らかい芯を使わせる? 濃い字を書かせるためだ。
ならば丸くなりにくい硬い芯の鉛筆で、濃い字が書ければ問題は無い訳です。
高学年になれば、しっかりと筆圧をかけることも出来るようになる。 なのに2Bの鉛筆を強制する馬鹿馬鹿しさ! ようやく話題が戻りました。
筆記用具は生徒が問題に立ち向かう大切な道具です。 漢字のとめ・はねをしっかりと表現でき、途中式を適切なレイアウトで書け、そして消しやすい、そういった性能を出せるベストの一本を使わせてあげたいですね。 しかし、万人に向けて「これがベストだ」という一本は、ありません。 生徒本人の筆圧、握り方、体の姿勢、書く速度などとの相性が強く出ますので。 ただ、硬い芯で濃い字が書けるというのは基本になる性能だと思います。
相性が鉛筆以上に出るのがシャープペンシル。 シャープペンシルについて書き始めるとここから更に2000文字くらい費やしてしまいそうなのでやめますが、一点だけ大切なことを。 それはトラブルの少なさです。 勉強中にシャープペンシルを分解して時間を無駄にしている受験生のなんと多いことか!
あとひとつだけ。 それは消しゴムについて。
消しゴムにも硬さや消し滓の多い少ないなどでかなりの個性があります。 使っている鉛筆と相性が悪いときれいに消すのに無駄な手間がかかります。 一般的に軟らかい芯の鉛筆には軟らかくて消し滓が多めに出る消しゴム、紙面に筆跡の溝ができる硬い鉛筆には固めの消しゴムが向いています。 使っている鉛筆と相性の良い消しゴムは、問題への書き込みによる試行錯誤を助けてくれて、消し残しによる失点を防いでくれます。
弘法は筆を選ばす
されど我は弘法にあらず
よって我は筆を選び、筆に助けてもらうものなり