各ページごとのアクセス記録を見ると、ミスを減らさせる方法への関心の高さが感じられます。 今日は計算問題でのミスを減らすために、できるだけ筆算をさせないという工夫の話です。
ミスの防止は生徒の数だけ対策があると思っています。 ですから生徒が解いている様子を横に座って観察したり、せめて解いた跡を分析してみないことには、真に効果のある対策は指導できないと考えています。
少なくとも、もっと注意しろとミスを叱るだけの指導はやりたくないし、繰り返し演習で計算に習熟することが解決策だという意見には賛同できません。
と言う訳で、新しい生徒と会うたびに試行錯誤が発生しますので、効果の有った対策をこのブログで公開しています。 「ミスを減らす」で検索してみて下さい。
さて、今日のテーマは「できるだけ筆算をさせない」という工夫です。
小学校の算数の時間には「計算が必要になったら、必ずきちんと書いて筆算をしなさい。」という指導がされていると思います。 その通りですね、正しいことです。 でもそれが邪魔になることが有るのです。
☆ ☆ ☆ 2020/3/11 8:30 追記 ここから ☆ ☆ ☆
本日の投稿内容は小6の9月以降の段階で所要時間を短縮させるための工夫です。中途半端な書き方で誤解を招いてしまったので、この追記をします。
過剰な筆算をさせない工夫をするのは小6の9月以降で、小6前期までの段階では時間よりもミスの防止を重視して、無駄に見えるような書き写しなどもさせています。 具体的には以下の記事の中の箇条書き①から⑥のような内容です。
☆ ☆ ☆ 2020/3/11 8:30 追記 ここまで ☆ ☆ ☆
生徒の中には全ての計算をかたくなに筆算でやる子が居ます。 試しに口頭で尋ねてみると暗算が出来ない訳ではなくサッと正解を答えます。 でも紙に筆算を書かないと次へ行かないのです。 そうしろと言われて来たから。
筆算の書き過ぎは得点を下げます。 筆算のたびに数字の書き写しが発生し、問題用紙の余白を消費し、処理の流れがあちらへ飛びこちらへ飛びすることで見通しを悪くし見直しをやりづらくします。
ところが真面目な子ほど筆算の省略に抵抗します。 言われて来た指示に反する行為ですし、間違えるのが怖いから。
山本五十六長官の有名なことばが有ります。
やってみせ、言って聞かせて、
させてみせ、ほめてやらねば、
人は動かじ。
話し合い、耳を傾け、承認し、
任せてやらねば、人は育たず。
やっている、姿を感謝で見守って、
信頼せねば、人は実らず。
筆算を減らせる計算の工夫を何度か実例で見せるだけで説得できる生徒は良いのですが、小6の9月になってもやっている生徒だと苦労します。 その時期になってしまうと、とにかくもう時間が足りないですから。
そんな状況で使えるように準備したのが次の教材です。
四谷大塚の「予習シリーズ 計算」というのは計算問題と一行問題を毎日やるための問題集です。 これの6年生下巻は、計算問題が3問、一行問題が3問、チャレンジ問題が2問という基本構成ですが、3問の計算問題は解答・解説のページに正解しか印刷して無く、計算方法の解説がありません。
ところが、計算問題の中には<キセル算>や<空欄が2つの虫食い算>などのように解き方を知らないと解けないものが有ります。 それらの解説は小4からの「予習シリーズ 計算」の中に散発的に登場しているので、途中から入塾した生徒は解き方がわからないのです。
そんな生徒からの質問に対応しながら考えました。
9月1日から翌年の1月31日までは
30 + 31 + 30 + 31 + 31 = 153 (日)
つまり 3 (問/日) × 153 (日) = 459 (問)
1問に1分かかるとして・・・ 8時間弱か。
と言う訳で、一日使って全459問の手書き解説を作ってしまいました。
この手書き解説で全459問中、筆算を脇でしているのは23題だけです。
この教材を使って、小6の9月になってもかたくなに筆算を書きたがる生徒に対して次のような指導をしています。
1: まず、丁寧な筆算を書いて来たことを褒めます。
2: しかし、そろそろ卒業して暗算を活用するよう勧めます。
3: 具体的なやり方を見なさいと手書き冊子を渡します。
4: 演習で本人が間違えた問題について書き写しをさせます。
5: これを153回繰り返して筆算省略のメリットを体験させます。
筆算を省略させるという手順の変更は、いわばプログラムの上書き修正です。 これが正しのだと習ってきた事を引っくり返すわけですから、真面目な性格の子ほど意識的・無意識的な抵抗を示します。 その抵抗への「北風と太陽」での太陽方式としての対応が上の手順です。