平面図形の問題で、面積を尋ねられたら「直角」をさがしましょう。
もし直角が見当たらなければ、直角になる場所をさがしましょう。
底辺と高さは、かならず直角に交わりますから。
言っている事はあたりまえの事ですが、平面図形の問題を解こうとする時に「直角を探せ」と頭に浮かぶかどうかで、正答率がぐっと変わります。
実際の問題を使って解説します。
今日の例題はSapixの6年3月度復習テスト(2022年3月26日実施)の大問3(4)です。
正答率は36%でした。 6年生3月の段階で、Sapix生の正答率が40%を切っていることにちょっと驚きました。
【問題】
図の五角形ABCDEの角B, 角C, 角Eの大きさはそれぞれ90度で,辺AB,辺BC,辺CD, 辺DE, 辺EAの長さはそれぞれ,9cm,6cm,16cm,2cm,9cmです。頂点Aと,辺CD上の点Fを結んだ直線は,五角形ABCDEの面積を2等分しています。このとき,CFの長さは[ ]cmです。
上の図には、問題文で指定されている辺の長さを青字で書き込んであります。
また、面積が2等分されていることを○印で書き込んであります。
【解説】
図形問題で、問題文で指定された条件を漏れなく図に書き込むというのは大切な作業です。
これをきちんとすると、問題文を何度も読み直すという無駄な作業を防止でき、加えて見落としによるケアレスミスも減らせます。
2018-12-19:ミスを減らすためには:見落としの防止
「問題文で指定された条件を漏れなく図に書き込めたかな」という確認が、自動的にミス防止の見直しにもなっているわけです。
さて、
図への漏れの無い書き込みをしたら、その図を見ながら攻略法を考える作業です。
尋ねられている辺CFの長さは、左側の台形の下底の長さです。
左側の台形は全体のちょうど半分の面積ですから、右側の面積がわかれば解けます。
ここで3個の直角のうち、まだ使っていない頂点Eの直角に注目すれば・・・
三角形ADEを作る補助線ADがすぐに見つかります。
三角形ADEの面積は 2cm × 9cm ÷ 2 = 9㎠
台形ABCDの面積は (9cm + 16cm)× 6cm ÷ 2 = 75㎠
(考えてみたら、このABCDという頂点の名前がヒントになってますね)
図形全体の面積は 9㎠ + 75㎠ = 84㎠
台形ABCFの面積は 84㎠ ÷ 2 = 42㎠
よって求めるCFの長さは 42㎠×2÷6㎠ー9cm= 5 cm
【別解】
受験生の中には、求めるC Fの長さを①として立式し、式の変形で解く生徒も相当の割合で居ることと思います。
(9 + ①)× 6 ÷ 2 =(16ー ①)× 6 ÷ 2 + 2 × 9 ÷ 2
27+③ = 48 ー ③ + 9
27+③ = 57 ー ③
③ + ③ = 57 ー 27
⑥ = 30
① = 5
この解き方には分配則や交換則など、中学校に入って数学で習う知識を使っています。
公立の小学校で担任の先生に余裕が無い場合、計算の順序があやしい生徒への指導に影響が出ることを恐れて、交換則を使うとひどく叱られることがありますので注意が必要です。
また、等号をはさんだ左辺右辺間の移項は、正負の概念が身に付く前には難しい処理なので、私はこのような線分図を書いて説明しています。