駒澤塾:中学受験の算数・理科

中学受験の算数・理科を中心に書いて行きます。駒澤が旧字体なのは検索をしやすくするためです。

樹形図の利用 四谷合不合20240407大問5

<場合の数>の単元で、意外に多くの生徒が樹形図を苦手としています。 

決して難しい解法では無いのですが、苦手に感じる理由を含め考えてみました。 

例題として取り上げたのは今年度の第1回四谷大塚合不合判定テストの大問5です。 

 

まずは例題です。 
大問5は枝番が(3)まであります。 
(1)はその導入問題という位置づけだと思うのですが、
正答率は男子、女子ともに約55%と、意外なほど低くなっていました。 

 

【問題】

ある回転寿司の店が,マグロの寿司30個,サーモンの寿司を30個,エビの寿司を30個作
りました。
そして,この90個の寿司を45枚の皿に2個ずつのせました。
このとき,皿にのっている2個の寿司の組み合わせは,同じ寿司が2個の場合も含め,すべての組み合わせがあります。
また,次のことがわかっています。
・マグロの寿司がのっている皿は,全部で21枚ある。
・マグロの寿司がのっていない皿のうち,サーモンの寿司がのっている皿は全部で10枚ある。
これについて,次の【 】にあてはまる数を答えなさい。
(1)皿にのっている2個の寿司の組み合わせは【 ア 】通りあります。

 

【解説】

樹形図が書ければ、容易に正解を得られる問題です。 
マグロ、サーモン、エビを記号化して樹形図を書き、数えるだけです。 

解答は   6通り  

<樹形図>は<場合の数>の初期に習う解法です。 
漏れなく、重複なく 組み合わせを数えるために使います。 
ポイントは、
「優先順位を決めて、自分より右には自分より上位の候補を書かない。」 
これだけです。 

 

<場合の数>の単元は四谷大塚のカリキュラムでは3段階で学びます。 
導入:漏れなく数え上げる演習で場合の数の概念を理解する 
発展:和の法則や積の法則を使って効率的に解を得る方法を学ぶ 
応用:応用的な「場合分け」や「分け方」などの展開を学ぶ 

 

実際の入試問題でも、この分類に近い傾向があります。 
ものすごく乱暴な分け方をすると、
偏差値40前後の学校では、根性で数え上げれば解ける問題。
偏差値50戦後の学校では、和の法則や積の法則を使って計算で解く問題。 
偏差値60前後の学校では、樹形図や場合分け等の本質理解を問う問題。
こんな感触を持っています。 

 

ですから6年生4月の段階で樹形図を使う問題の正答率が55%はまずいです。 
今後偏差値60を目指すのに、基本のキの樹形図を使えないのは要対策です。 

 

なぜ基本といえる樹形図の正答率が55%なのか?
教える側と生徒側の両方に原因があると考えます。 

★教える側の原因
学習が本格化する5年生のカリキュラムが、とにかく過密です。 
和の法則や積の法則をパターンとして覚えさせてしまえば、とりあえず週テストや組分けテストでそこそこの成績は取らせられます。 
厳しいスケジュールの中で、パターンの習得までしか教えられていないのが原因。 

 

★生徒側の原因
<場合の数>と共に<図形問題>を苦手とする生徒が多いです。 
それらの共通点は、解くときに試行錯誤が必要になることです。 
問題を読む→解法を思い出す→計算して答えを出す、が出来ないわけ。 
言われたことをきちっとやる真面目な正確な子に苦手が多いと感じます。 

 

これらのような原因への対策は何か? 
原因そのものを解消することは現実的でないと考えます。

やるべきことは、
今回のように苦手が見つかった時に、着実にその対策をすることです。

解法の抜けを、
偏差値60目標なら夏期講習の前までに、
偏差値50目標なら夏期講習の終了までに、
抜け無く見直ししておく事が肝要です。 

 

参考記事:2020-04-06:算数の見直しに使える教材 

ちなみに、下記の記事の中で取り上げた早稲田アカデミーの「バックアップテキスト」は内容が更新されて見直しに使いづらくなりました。折りがあれば記事にします。 

komazawajuku.hatenablog.com

 

 

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