計算力は算数や理科の基礎です。
中学入試では「正しい答えが出せる」のはあたりまえで、いかに「早く、楽に、ミス無く」答えをだせるかがポイントです。
今年の過去問を使って「私ならこう解く」を書きました。
例題は品川女子学院の2023年(令和5年)第1回入試から大問1の計算問題4題です。
こんな工夫をしています。
・文字の大きさは大きすぎず小さすぎず。
・縦の位置をそろえながら、行全体を書き写して行く。
・分数は仮分数にして取り扱う。
・書き写しと書き込みを活用して、暗算を使う。
このあたりの工夫は、「ミスを減らすためには」の記事でも書きました。
ミスを減らすためには:サマリー版 - 駒澤塾:中学受験の算数・理科
<虫喰い算>ですね。
計算の順番を書き込む方法としては、上のような<トーナメント表>の他に<四角い枠で囲む>というのも有りますので、お好みで良いです。
<虫喰い算>が苦手という生徒には、<アイウ法>と名付けた解き方を教えます。
<トーナメント表>などで順番を整理するところまでは同じです。
その先の逆算を暗算でするのではなく、単純な式に分解して、そこからア、イ、ウを順番に求めて行く方法です。
<虫喰い算>が苦手という生徒も、これで解けるようになります。
ちなみに、
元の式を見ながら暗算で逆算をする時、私は今でも頭の中に「2 × 3 = 6」「2 + 3 = 5」という式を思い浮かべて、逆算式を組み立てています。
<結合則>を使えば瞬時に答えを出せる計算ですね。
通常この手の計算は、小数点の位置をずらして出されることが多いです。
最後の(4)は<筆算の虫喰い算>でした。
解くためのコツは、<一の位に注目する>です。
以前に書きましたように、人間が頭の中で同時に扱える情報は7個までです。
【参考】 慶應中等部2012年理科:大問4 - 駒澤塾:中学受験の算数・理科
<乗算の繰り上がりで生じる数字>を見やすく書き込む工夫をして、マジック・ナンバー・オブ・セブンを乗り越えましょう。
ここでa=6と求めるところも、3×5=15の繰り上がりで<一の位の数>が9になることから考えていますね。
a、b、cが埋まれば、あとは計算するだけ。
ア=0 イ=1 ウ=4
というわけで、いくつかの計算の工夫を書きました。
ところで、気付かれました?
私は一回も筆算をしていません。
途中式とは別の場所で筆算をするということは・・・
1)計算する部分を切り出して、脇に書き写す
2)計算をする
3)計算結果を元の式に書き戻す
という処理をするわけですから、書き写し間違い、項の見落としなどのミスの原因になるだけでなく、見直しがしづらいという大きな欠点が発生します。
生徒によっては、これまで指導されて来た「計算間違いをしないように、途中式を書く場所とは線で区切った場所に筆算をしっかりとやる」との食い違いで混乱することも有るかも知れません。
判断の分かれ道は「計算間違い」と「書き写し間違い」のどちらを優先すべきかです。
今回とり上げた例題のように項の数が多い場合には「書き写し間違い」の危険性が高まりますから、<式全体の書き写し+筆算減>のメリットが出ると考えます。