立体図形の問題から点光源の作る影の問題を解説します。 例題は東京農大第一の2014年度(平成26年度)第3回入試の大問4番です。 点光源からの光で壁が作る影の面積の計算と、その発展で円筒が作る影の作図をさせる出題です。
【問題】
図1のように窃さ10mの電灯から5m離れたところに、たて5m、横5mの正方形の板が地面に垂直に立っています。 この電灯から板に光を当てます。 図2はその様子を真上から見た図です。 次の各問いに答えなさい。
(1)このとき、地面にできる影の面稜を求めなさい。
(2)この正方形の板をおおうように、直径5m、高さ5mの円柱を図3のように立てます。 図4はその様子を真上から見た図です。 このとき、地面にできる影を解答欄の図にかきこみなさい。
【解説】
(1)地面にできる影の面積
これの解き方は開成の問題と同じですね。
壁の両側に垂直に立った柱があると考えて、その2本の柱が作る影を考えます。
影の形は台形ですから、
( 5 + 10 )× 5 ÷ 2 = 37.5㎡
(2)円柱の作る影の作図
「放射光線(点光源)の作る影は相似形になる。」という知識と、
前の(1)での成果を組み合わせれば作図できます。
(1)で求めた台形の長い方の底辺が、円筒が作る影の円の直径になります。
中学入試の作図問題では、よく「作図に使用した補助線は消さずに残しておくこと」という指示がされます。
補助線を残させる目的は、受験生が正しく書こうとしたかどうか、採点者が確認しやすいからです。
今回は単純に「地上にできる影を図に書きこみなさい。」という指示でしたが、私の解答例ではあえて影の円の中心と上下と左端に黒点を残しました。
作図で重要なのは電灯から左下にのびる接線を正しく書く事ですね。
円筒の中心から接点に垂線を下ろして、そこに直角のマークを書くのはやりすぎかな?
私が採点官ならニヤリと笑って正解にしますけれど。
この大問の4番、実際の入試では低い正答率でした。
(1)の面積は合格者が27.5% 不合格者が11.0%
(2)の作図は合格者が 3.9% 不合格者が 0.0%
問題を解くコツ
・柱だけ残して考える
・点光源の影は相似形
を使えれば、それほど難しい問題ではないと感じるのですが・・・