今年の女子学院の大問1は天体に関する出題でした。
冒頭の水星や金星の公転と自転を考えさせる問題について、解き方を解説します。
【問題】
Ⅰ 太陽系には8個の惑星があり、それぞれが自転しながら太陽を中心とした円を描いて公転している。
1 水星は、自転周期59日、公転周期88日で、それぞれ図の矢印の向きに運動している。
以下の問いには、自転周期が60日、公転周期が90日であるとして答えること。
(1) 水星が図中のAにあるときから45日後の水星の位置を解答欄の○から選び、
太陽光が当たっていないところをぬりつぶしなさい。さらに、このときの
Aので示した地点の位置を●で示しなさい。
(2) (1) で●で示した地点における太陽の見え方を次のア~エから選びなさい。
ア 地平線から昇ってくるところ
イ 最も高く昇っているところ
ウ 地平線に沈むところ
工 沈んでいて見えない
(3) 水星の1日(日の出から次の日の出まで)の間に、水星は公転を何回しますか。
【解説】
(1) 45日後の水星の位置
まず、指示された45日間で公転と自転がそれぞれ何回転するか計算します。
公転:45日 ÷ 90日 = 2分の1回転
自転」45日 ÷ 60日 = 4分の3回転
そして、それぞれ指定された向きで問題分の図を利用して15日ごとにどのような状況になるか図に書き込むと、こうなります。
(2) その時の太陽の見え方
今回の出題では(1)で影をぬりつぶすよう指示されていますが、たとえ指示が無くても回転の向きを矢印で書くのと、太陽の反対側に影を書き込むのは基本のテクニックです。
●で示した地点は、昼から夜になるところですから、
答えは ウ 地平線に沈むところ ですね。
(3) 水星の1日の間に公転は何回するか。
これも問題の図に誘導のヒントがあります。
90日で公転ですから、途中に書かれた6か所は15日間隔で移動します。
それぞれの場所に●の地点と影を書き込むと・・・
図のようにAからスタートして(1)の45日目にやっと日が沈んで夜になります。
公転を1周してAに戻ったときに●の地点は、まだ真夜中です。
つまり、●の地点がお昼になるまでに公転は 2回 です。
大問1の後半は金星についての同様な質問でした。
【問題】
2 金星は、自転周期243日、公転周期225日で、それぞれ図の矢印の向きに運動している。
以下の問いには、自転周期と公転周期がともに230日であるとして答えること。
(1) 金星の1日の長さ(日の出から次の日の出まで)は何日ですか。
(2) 仮に金星の自転の向きが実際と逆向きだったとすると、図中ので示した地点では、
どのようなことが起こると考えられるか。次のア~オから選びなさい。
ア 1日の長さが実際より短くなる。
イ 1日の長さは実際と変わらないが、太陽が見えている時間が実際より長くなる。
ウ 1日の長さは実際と変わらないが、太陽が見えている時間が実際より短くなる。
工 太陽が沈まなくなる。
オ 太陽が一度沈むと、昇ってこなくなる。
【解説】
これ、前半の水星の問題が解ければ、とても簡単な問題でした。
230日という半端な数字を使おうとすると苦労しますが、日にちを無視して一周の4分の1ずつ●の地点と影を書き込めば、解けます。
(1) 一周のちょうど半分の 230 ÷ 2 = 115日 です。
(2) 自転の向きと公転の向きが同じで周期も同じなら、地球と月の関係と同じ。
よって 工 太陽が沈まなくなる。 です。