開成中学2008年(平成20年)の大問2を使って、直方体のビルが、点光源からの光で作る影の問題を解説します。 成績上位の生徒でも初めて見るととまどう出題ですが、あるコツを教えると簡単に解けるようになります。
【問題】
下の図のように、水平な地面に直方体のコンクリートブロックと地点Aから垂直に立つ街灯があります。 街灯に明かりがついたときに、地表上にできる影の部分(コンクリートブロックの置いてある地面をのぞく)を真上から見た様子を、解答欄に斜線を付けて示し、その面積を求めなさい。 ただし下の図の数字の単位はすべてmとします。
【解説】
そもそも、放射光線(点光源)の作る影の問題が即座に解ける必要があります。
問題を見た瞬間にふたつのポイントが頭に浮かばなければなりません。
<相似比は常に一定>
<差を考える問題>・・・この種の問題では「差」を見せられていること
今日の解説でも、このふたつのポイントに関しては説明を省きます。
今回の問題に、私は図を書きながらアドバイスをひとつします。
そのアドバイスとは
「このコンクリートのビル、
かたまりで考えるから難しいんだ。
四隅の柱だけ残して、
壁と屋上の屋根を全部とっぱらってご覧。」です。
これだけで上位生なら、「あっ!」と言って自分で解いてしまいます。
「あっ!」と言わない生徒には、追加のアドバイスをします。
「理科で光の直進性を勉強したときに、
点光源でできる影は、元の図形の相似になる。
だから影絵遊びができるんだ、って勉強したよね」
そう言いながら下の図を見せます。
4本の足の上にビルの屋上だけをテーブルのように乗せた形を想像させます。
テーブルの天板と、地上に落ちた影が相似形になることを再確認します。
見取り図上の直線を指さしながら、どれとどれが平行になるか示します。
そこから先は自力で解かせます。
ここまでの説明で解けなかった場合には、原因をさかのぼって行きます。
・放射光線(点光源)の作る影がわかってないのか
・立体図形の感覚(見取り図と投影図の関係)が不足なのか
・平面図形の相似がまだ怪しいのか
など、生徒ひとりひとりで原因は異なります。
地面に出来た影の形が分かれば、解くのは簡単です。
という訳で、途中の計算は省略して解答だけ載せます。