駒澤塾:中学受験の算数・理科

中学受験の算数・理科を中心に書いて行きます。駒澤が旧字体なのは検索をしやすくするためです。

受験寸前:影の問題の確認を

ブログの更新をずいぶんと空けてしまいました。 ひさしぶりの更新です。

2月の受験まで、あと1か月となりました。

 「小6の諸君、受験前に一度確認してください。 影の問題、大丈夫ですか?」

と言う訳で、例題です。

田園調布学園の平成23年第1回入試から大問の4

けっこう上位クラスに在籍する生徒なのに、このレベルの問題で引っかかる例を何度か見て来たので、念のために今回の記事を載せます。

この問題を戸惑わずにサラっと解けるなら、解説は読まなくて大丈夫です。

 

【問題】

図のような5段の階段があります。各段はそれぞれ,高さ20cm,奥行き30cmとします。
はじめにAに2mの棒を立てたところ,日がさし,棒の影の先端がちょうどBにかかりました。棒を階段から遠ざけていくとき,次の問いに答えなさい。
ただし,棒は地面に対して垂直に立てるものとします。

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(1) 棒の影がちょうど階段にかからなくなりました。
  これはAから何cm遠ざけたときですか。

 

(2) 棒の影の先端がちょうどCにかかりました。
  これはAから何cm遠ざけたときですか。

 

影の問題は放射状の光線(街灯などの点光源)と平行光線(太陽の光)の2種類あります。 街灯の光で作られる影の方が問題の難易度を高くしやすいので、上位クラスの生徒はそれを中心に演習することが多いようです。 その結果、太陽光の影の問題は演習する機会が少なく、これが「ちょっと考えないと解けない状態」になっている原因かもしれません。

 

【解説】

太陽の光による影の問題で、ポイントは次の2つです。

<1>棒とその影の作る三角形を必ず書かせる。

<2>水平な補助線を引かせる。

 

まず最初に書き込むのは下の図の赤色の線と文字です。 棒と影の長さが5対6の比になることが明確に認識できます。

今回の問題では不要ですが、問題文の中で 『1mの棒の影の長さが1.2mの場合に』 といった指示が文章で示されている場合は、棒と影の直角三角形を必ず書かせています。 

これにより、縦と横の比を表す直角三角形を作る水平の補助線をどこに引くか見つけ易くなります。 また、この問題に多い誤答 「縦と横の比を間違える」 というミスを防止できます。

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 (1) 影が階段にかからなくなる棒の位置

図の緑色の直角三角形が書ければ容易に解けます。

棒の長さ2mは200cm、これが比の⑤に相当しますから、⑥に相当するのは  240cm  

 

(2) 影の先端がCになる棒の位置

図の青色の直角三角形が書ければ容易に解けます。

C点から左に向かって水平な補助線を書けば、5対6の直角三角形はすぐに見つかりますね。

 200cm - 20cm × 3 = 140cm ・・・ これが比の⑤に相当

 140cm ÷ 5 × 6 = 168cm

 168cm - 30cm × 2 =  108cm  

 

先ほど、 「縦と横の比を間違える」 というパターンが思いのほか多いと書きましたが、それに関連して気になっていること。

Sapixの解説を見ると、比の値を使って解いているものが有りました。 「比の値」 とは、6を5で割った 1.2 とか、その逆数の分数を使っているということ。 問題を解く際には、影の長さを求めるのか、棒の長さを求めるのかという場合に応じて、掛け算と割り算を使い分けさせている訳です。 

もちろん間違ってはいないのですが、比の値を使って乗除を使い分けるのと、直角三角形の図を書きながら比と長さを一対一の対応で書き込んで行くのと、どちらがミスが少なくなるでしょう?

 

入試では正誤ひとつが合否を分けます。

ミスを徹底的に減らすためには、 「ミスをした際に厳しく叱る」 のではなく 「そもそもミスをさせない解き方を指導する」 べきだと私は考えます。 

 

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