今年の首都圏の中学受験も2月2日が終了し、出題内容を見られる学校が増えて来ました。
御三家を含むいわゆる難関校の出題内容についての感想第1弾です。
【物理分野 ふりこ】
ふりこに関して、等時性のくずれを考えさせた学校が複数ありました。
等時性というのは「長さが同じなら、周期は同じになる」という性質です。
現実には等時性が成立するのは振れの角度が小さい時(振幅が短い時)だけで、振れを大きくすると等時性はくずれます。
今年度、開成、駒場東邦、聖光学院が、この等時性のくずれを実験データから考察させました。
いっぽう、雙葉はふりこの問題文の中で「振幅が変わっても1往復の時間は変わらないから」と言い切って、「ふりこの長さ=重心までの長さ」を考えさせています。
等時性のくずれを織り込まないと点差を付けられる問題を作れないのでしょうか?
等時性を前提としても難しい問題って作ることができると思うのですが。
ふりこの等時性という、子供にとっては初めて学ぶ知識の習得の直後に、それを否定するようなことを教えなければいけないのって、なんか、嫌。
【化学 金属の溶解】
アルミニウムあるいはマグネシウムを塩酸で溶かして水素を発生させる問題は頻出です。
塩酸と水酸化ナトリウム水溶液の中和操作の後、アルミニウムを投入して気体の発生量を問うという出題も以前よりありましたが、今年度は桜蔭、早稲田実業などで出ました。
難度を上げるくふうとして、アルミニウムやマグネシウムを部分的に酸化させて、それを塩酸で溶かすという問題が、栄東の東大特待、本郷で出題。
金属に関連した出題としては、酸化物の炭素による還元が、豊島岡女子や聖光学院で出ています。
【生物 バイオーム】
前回のエントリー記事で注目したバイオームのグラフを使った問題は、まだ見つけていませんが、植物相や環境との関連を考えさせる問題はいくつか出されています。
本郷では光合成のグラフから森林の形成や樹木の種類に関する問題。
早稲田実業では西之島の噴火による生物系リセットからの極相林形成までの問題。
武蔵ではブナ、ドングリ、クマの関連から生物の関係性を考えさせています。
女子学院、雙葉、栄東、海城でタンポポやアメリカザリガニが扱われていました。
【地学 旧暦や不定時法】
桜蔭が、太陰太陽暦、元旦、春の七草、星座、金星の満ち欠けの問題。
聖光学院が、不定時法に関連して「おやつ」の語源や時そばの話まで6ページも使った問題にしています(楽しい)。
【地学 望遠鏡関連】
駒場東邦が小問で新しい宇宙望遠鏡の名前を選択肢問題で尋ねました。
武蔵が「すばる望遠鏡」が東京でなくハワイの山頂にある理由を記述式で。
渋谷学園渋谷が大問2をまるまる使って望遠鏡に関する総合問題を出しています。
今年度の理科の問題を流し読みして、目についたポイントを列挙しました。