2本の直線で作ったV字形をジグザグに切った図形の問題を、私は「タケノコ」と呼んでいます。 出題パターンのひとつがジグザグの直線で同じ面積に分けた時に、長さの比を尋ねる問題です。
「タケノコ」の「長さの比を求める問題」で使う解法は次の二つです。
・等高三角形(面積の比=底辺の長さの比)
・比の合成
これに考えるコツをひとつ加えれば、容易に正解にたどりつけるはずです。
・知りたい長さの反対側で、線が集まっている頂点に注目する。
過去問で説明します。
例題は、明大中野 平成26年度第1回 大問2の(5) です。
【問題】
下の図で三角形ADF,三角形DEF,三角形CEF,三角形BCEの面積が
等しいとき, ADの長さを求めなさい。
【解説】
まず最初に図形問題での大原則 <知りたい所を目立たせる>をします。
今回の場合、知りたい長さがADですから、そこに白い四角を書き込みます。
(私はこの白い四角を「おとうふ」と呼んでいます。)
そして次が、今回の記事で提案する考えるコツです。
<知りたい長さの反対側で、線が集まっている頂点に注目する。>
今回の場合、点Aと点Dから伸びている線が交わっている点Fです。
三角形ADF、三角形DEFの面積は同じですので<等高三角形>から、AD=DEです。
つまりAEの長さが求められれば良いと分かりますので、今度は点Aと点Eに注目すると、先ほどの点F以外に点Cが見つかります。
このように点Cを目立たせて、AEに「おとうふ」を書き込めば・・・
AE : EB = ③ : ①
とすぐにわかるはず。 すると、③ + ① = ④ が8cmに相当しますから、
③ = 6cm
ADは 6cm ÷ 2 = 3cm
この問題、問題集の解説ではいきなり
「三角形CAEと三角形CEBの面積の比が3:1だから」
という説明から入っている場合が多いです。
「解説を読んでも解けるようになれる気がしない」と生徒が思うのは、これが原因です。
算数の図形問題は、与えられた情報から正解までのルートが何本もあります。
多くの解説は、何本もあるルートの中から正しい物を1本だけ紹介しているのです。
解説が教えてくれるのは正しいルートだけ、でもテストでは試行錯誤が要求される。
完全主義の「まじめな」生徒が図形問題を嫌いになる原因です。
試行錯誤を要求する図形問題で、どうやったら得点力を上げられるか。
この記事で書きました。
2020-03-10 平面図形:解説を逆から読んでみる
今回とり上げた例題では<比の合成>は使いませんでした。
それを必要とする過去問が見つかりましたら、いつか記事にします。
<平面図形のタケノコ>を使った問題では、今回の長さの比を求めるほかに、角度を求めさせるというパターンもあります。
角度のの問題は、またいつか別の記事で紹介します。