苦手な生徒の多い、水槽におもりを入れた時の水の深さに関する問題の解説です。 一つの問題を、アルキメデスの原理を使う解き方と、水面の面積や底面の面積の反比例を使う解き方の両方で解説します。
前回の「その1」 では、昨年度まで使われた四谷大塚の予習シリーズ「5年生・算数・下巻」で、この問題がどのような例題の構成で説明されていたか、概要を紹介しました。
今日は「その2」として、予習シリーズでは別物のように扱われていた解法が、実はひとつながりの物だったという事を示したいと思います。
例題として 明治学院中学校 2016年第2回入試から大問5 を使います。
【問題】
1辺が30cmの立方体の水そうに,深さ15cmまで水が人っています。
この水そうに底面が正方形で高さが28cmの直方体のおもりを図のように垂直に立てると,水而が5cm上がりました。
次の問いに答えなさい。
(1)おもりの底面の1辺の長さは何cmですか。
(2)このおもりを横に倒して水の中に沈めると,水の深さは何cmになりましたか。
【解説】
(1)に関して、三種類の解き方で解説します。
まず、共通で使う数字を先にまとめてしまいましょう。
水槽の底面積: 30cm × 30cm = 900㎠
水深:おもりを入れる前: 15cm
水深:おもりを入れた後: 15cm + 5cm = 20cm
設問ではおもりの底面の1辺の長さを尋ねていますが、まず底面積までを求めます。
【解法1:水の面積変化を使う】
おもりを入れる前も入れた後も水の体積は一定ですから、水面の面積と深さが反比例の関係になる事を使います。
よって 900㎠ ÷ ④ × ③ = 675㎠ ・・・おもりを入れた後の水面の面積
900㎠ - 675㎠ = 225㎠ ・・・おもりの底面積
【解法2:押しのけた水の行き場で考える】
下の図の < ア = イ >を使う方法です。
予習シリーズの発展例題の(2)に相当します。
おもりを水槽に入れると、アの体積の水が押しのけられます。
おもりの底面積を □㎠ とすると、その体積は □㎠ × 15cm です。
その水は、どこへ行くのか?
おもりの場所には行けないから、イ だ。
イの体積は ( 900㎠ - □㎠ ) × 5cm
よって、 □ × 15 = ( 900 - □ ) × 5 = 4500 - □ × 5
□ = 4500 ÷ ( 15 + 5 ) = 225㎠ ・・・おもりの底面積
【解法3:< ア+ウ=ウ+イ>で解く】
さきほどの図で ア=イ ですから、当然 ア+ウ=ウ+イ です。
この解法は、予習シリーズの発展例題の(1)に相当します。
例の斜線部分が太線枠と同じになるのはなぜ? という解き方です。
よって、 □㎠ × 20cm = 900㎠ × 5cm
□ = 900 × 5 ÷ 20 = 225㎠ ・・・おもりの底面積
どの解き方でも、おもりの底面積は 225㎠ と求められました。
ここから「正方形の底面」の一辺の長さを求めるのは、素因数分解です。
225 = 3 × 3 × 5 × 5 = ( 3 × 5 ) × ( 3 × 5 )
よって、一辺は 15cm
(2)に関しては、水の体積とおもりの体積の和を水槽の底面積で割って、その商をおもりの一辺の長さと比べて水没の判定をするだけです。
計算は分数の形にして約分を使って欲しいので、途中式を画像で示します。
得られた答えは、おもりの一辺の長さより長いのでそのままで可ですね。
22cm
という訳で、
一つの問題を、アルキメデスの原理を使う解き方と、水面の面積や底面の面積の反比例を使う解き方の両方で解説しました。
今日の記事は学習済みの生徒に「実はつながった解き方だった」と示すために書きました。
導入授業で使うためには補足説明が必要だと思いますので、ご注意を。