駒澤塾:中学受験の算数・理科

中学受験の算数・理科を中心に書いて行きます。駒澤が旧字体なのは検索をしやすくするためです。

売買損益は6つの名称と2つのもとにする量

売買損益を得意にするポイントは、関連する知識をしっかり覚えることと、登場する情報を上手に整理することです。 絶対必須の知識は、単価に関する呼び名が6個、および利益率と値引き率のそれぞれに対して「もとにする量」に何を使うか、という合計8個だけです。 

 

【単価に関する名称6個】

私は売買損益を教える場合に、6個の単価を必ず順番と共に覚えさせています。

1:原価、仕入れ値

2:予定の利益、見込みの利益、利益(予定)

3:定価

4:値引き、値引き額

5:売価、売り値

6:実際の利益、利益(実際)、損失

 

売買損益に登場する単価は、呼び方が統一されていないのが面倒です。 

呼び方に関しては参考書によって使われる名前が違いますが、どれを使って覚えても良いです。 

6個の単価をこの順番に、線が2本の線分図に書き込む練習をさせます。 

この線分図は、1分間以内に書けるようになるまで「書き取り」を繰り返させます。

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【驚いた体験】 

以前、教えていた生徒から「図が嫌い、売買損益でも線分図は書きたくない」と強く主張されたことがあります。 

説得しても、強要しても、懇願しても・・・「線分図は嫌」の繰り返し。 

そこで<売買損益>に登場する計算式を思いつく限り列挙して、「これを全部丸暗記するよりも線分図を書けるようになる方が楽だよ」と説得しました。 

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そしたら・・・

「これ、全部を覚えてしまえば、線分図を書かなくて良いですよね?」と言い出した。 

しょうがないので、いったん許諾し、一か月後にテストしてみた。 

びっくりした。 

なんと、列挙した式すべてに対して、ほぼ即答レベルで全問正解。 

 

【驚いて・・・学んだこと】

これは、良い体験でした。 

脳のはたらきについて、アナログ情報の処理とデジタル情報の処理が右脳と左脳で分担されていると言われます。 

(私も以前、記事にしました。)

漢字や単語は右に、図形は左に - 駒澤塾:中学受験の算数・理科

 

受験勉強での科目間の成績に関して、文系科目・理系科目に対する得手不得手が悩みになることがあります。 

その原因としては、単純な好き嫌いと並んで、デジタル情報とアナログ情報への対応能力に対する個人差を感じることが有ります。 

感じることは良くあるのですが、これまで一人一人の生徒の特性に十分に応えられて来たか、このデジタルデータ丸覚えの事例は、どきりとさせられた体験でした。 

このブログで繰り返し書いて来たことですが、生徒は私にとって最高の「教師」です。 

問題を解けない原因、教えられたことが分からない原因は、生徒によって驚くほど異なる場合があります。 

それまで、当たり前と思ってやって来た解き方の指導を見直す機会になりました。 

 

 

 【2つの、もとにする量】

☆ 利益は見込み利益も実際の利益も、もとにする量は「原価」です。 

☆ 値引きに関して、もとにする量は「定価」です。 

売買損益の問題で割合の計算をするのはこの二つで、絶対必須の暗記事項です。 

もうすこし詳しく表にすると、こうなります。 

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よって、この2つの「もとにする量」は、即答レベルで覚えなければいけません。 

 

【もとにする量に注意】

利益率と値引率に苦手感が残っている生徒に対して、「そもそも、もとにする量って、どういう物?」と質問すると、ちょっと考えないと答えられない者がいます。 

「もとにする量」というのは<割合>の単元の最初に登場する用語ですが、先生によってはサラッと軽く扱うだけの人がいますので注意が必要です。 

 

「もとにする量」なんて簡単じゃないの?と思った方、次のことを思い出してください。 

<割合>の単元で、「もとにする量」を求める問題(くらべる量 ÷ 割合 = もとにする量)に<相当算>という名前がついていることを。 

わざわざ<○○算>という名前がつくのは、それが難しいからです。 

「もとにする量」を軽視して先へ進んでしまうと、あちこちの単元でボディーブローのように細かい失点の原因になる危険性が生じます。 

 

 

【歩合や百分率】

○割◇分△厘 の歩合は、野球好きの子なら見慣れた数字ですが、それ以外の生徒には初めて見る表現の仕方です。 

○○パーセントという表示は、それこそ目にしない日はないくらい日常生活に登場しますが、教えていると意外なほど引っかかっている生徒の多い項目でもあります。 

百分率の教え方については、改めて書きます。 

2021-06-06追記:書きました。 

百分率とは百マスに分けること

 

【個数の登場する売買損益の問題】 

売買損益の問題は、個数をからめるといくらでも難しくできますから、中堅校以上を狙うなら、単価の計算を身に付けた後に、しっかり学習しておくべきです。  

 

主要な出題パターンは次の二つ。 

「いくつか壊れて売れなかった。」

「売れ残った分を値引きして販売した」

これに<つるかめ算>を組み合わせるのが王道パターンです。 

難関校になると、<整数の性質>や<場合分けして考える>などとの複合問題も登場します。

 

基本的な戦術としては「金額」「個数」「単価」を表の形で整理するのがおすすめです。 

整理表に情報を並べることで「マジック・ナンバー・オブ・セブン」のワナを逃れるわけです。 

個数の登場する問題に関しては、改めて実際の過去問を使って書くつもりです。  

 

 

売買損益の学習について、基本的な留意点などを書きました。 

 

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