<倍数算>と<倍数変化算>の解き方もいろいろ有ります。 今回はこれを何回かに分けて紹介します。 予定しているのは<倍数算>を特定のフォームで解く方法、<倍数変化算>を比例式で解く方法、どちらも線分図で解く方法、どちらも式の差をとって消し込みをする方法などです。
今日は<倍数算>を一定の項目の比を揃えて解くという現在の四谷大塚で採用している方法です。 私は「算数が苦手な生徒でも解ける事」を目的として、導入の授業ではまず次のようなフォームを書かせて数字を埋めさせることで解答を出させています。
例題として光塩女子の2012年(平成24年)第1回入試から大問2の(1)を使います。
【問題】
6年前、母親の年齢はむすめの年齢の3倍でした。 また8年後には、むすめの年齢の2倍になります。 現在のむすめの年齢を答えなさい。
【解説】
問題を読み合わせしながら、登場する情報をフォームに数字を埋めて行きます。 (今回は青い字で書き込みました。)
手順1: まず最初に登場人物。「母」と「娘」
手順2: 母は娘の3倍だった。→数字の「3」と「1」を書く
手順3: それが2倍になる。→数字の「2」と「1」を書く
手順4: 「6年前」と「8年後」→二人の両方に「+6」と「+8」を書く
これで問題文に登場した情報は全てフォームに書き込まれました。
書き込まれた情報を元に問題を解いて行きます。 (赤い字)
手順5: 何が一定か?→「差」と書き加えて楕円で囲みます
手順6: 比の数字の差を計算して数字を書き込みます
手順7: 楕円の中の数字を同じにするには?→倍率を書き込みます
(最小公倍数を作らせる作業です)
手順8: 「母」「娘」「差」の項目名を右にも書き写させます
手順9: 倍率を掛けた比の数字を書き込みます
手順10: 何が起きて比の値が変わったか、実態の数字を書き込みます
ここまでフォームに数字が埋まれば問題は解けたも同然です。
今回の問題では比の値=1に相当するのが「14年」です。
よって6年前の娘は比の値が「1」ですから、14歳でした。
従って問題で尋ねられている現在の娘の年令は
14 + 6 = 20(歳)
四谷大塚のテキストを使って授業を進める場合、私は<倍数変化算>の導入でも、あえて一度はこのフォームに数字を入れさせることで「一定の値が無いこと」を見せています。
次回は<倍数変化算>を<比例式>を用いて解く方法です。