ブログへのアクセス数を見ると「ミスを減らすためには」シリーズが常に上位に入っています。 今日は途中式の書き方を改善するツールとして「集計用紙」を使うことのメリットを書きます。
私は「気をつけろ」で済ませるのは講師として負けだと思っています。 ところがミスをする原因は十人十色、新しい生徒と対峙するたびにその子に合わせた解決策(=具体的に何をするかの指示)を模索することになります。 ケアレスミスの削減は私にとって永遠のテーマです。
国語では原稿用紙を使って文章を書きますし、低学年では点線が十文字に印刷された枠を使って漢字の練習をします。
英語でも最初は4線ノートを使ってアルファベットを書かせます。
では、算数・数学は?
はてなでブログの投稿2弾目としてミス防止の話を書きました。
そこで提唱している途中式の書き方ですが、その前半部分がこれです。
① 字の大きさは、大きすぎず小さすぎず。
② 途中式と筆算は場所を分けること。
③ 途中式は水平な線に沿ってるつもりで書く。
④ スペースの左上から始めて下に向かって
縦の位置をそろえて適度に書き写して行く。
途中式の書き方を練習させるには、レポート用紙を常備しておくのが有効です。 問題を解く時には裏紙を使うのでなくレポート用紙を使わせましょう。 入試問題はB5サイズの冊子という形式が多いので、レポート用紙もA4ではなくB5が良いと思います。
行の高さが何種類かあるならば高さの小さい方の用紙を選び、これに一行おきに途中式を書かせます。 数字の高さを行の高さに合わさせると小さすぎる数字や大きすぎる数字を適切な大きさに矯正できます。
慣れてきたら、問題を解き始める時点で「一行に収まるように式を書く」という意識をさせるようにできると、途中式の書き方が格段に上手になるはずです。
途中式の書き方がまだまだ幼く、レポート用紙を使う前にもっと基礎的な練習をさせたい場合、集計用紙というものを使うと「縦の位置をそろえる」という習慣をつける役に立ちます。 いわば「算数用の原稿用紙」として使わせる訳です。
同様の用紙は100均でも売っていました。
☆ここから下は補足の詳細説明です。ご興味のある方はお読みください。☆
縦の位置をそろえるのが何の効果を生むのか、製造現場における安全管理の事例から説明します。
製造現場では「3S」という標語が厳しく言われます。 3Sとは整理・整頓・清掃の頭文字で、安全を保つための行動指針です。
清掃:最優先で何があっても実施すべき行動。 要らない物はすぐに片付けろということです。 通路に油がこぼれていれば滑って転びますし、足場の上にボルトが放置されいたら落下して下の作業員に怪我をさせます。
ミスの多い生徒の答案を見ると、不要な書き込みで真っ黒です。
整頓:ふつう「片付ける」というと清掃の次に整理が来てしまうのですが、「整理に手を付ける前に、とりあえず整頓をする。」という行動が安全性を大きく向上させます。 整頓とは何か? 単純に大きさや端の位置をそろえるだけの作業です。
たとえば長さが色々な骨材を横倒しにして積み上げる場合、作業員が歩く通路側は「つらいち」(=『面一』端を揃えて一つの面のようにすること)にしろと厳しく指導されました。
不規則に骨材が突き出していたら、そこに顔をぶつけて大怪我をしかねない事は容易に想像できると思います。
「揃える」ということが大切なのです。
管理のしっかりした現場では、通路や資材置き場の場所が床にはっきりとペイントされ、厳格に区分けが守られています。
ミスの多い生徒の答案を見ると整頓の意識が皆無です。
左端で筆算をし、右端に飛んで、続きを真ん中あたりで計算するという具合にビリヤードの玉なみに飛び回っています。
集計用紙は水平の線に加えて縦の線が入っていますので、これが現場におけるペイントの線に相当します。
意識させ、守らせるという誘導が改善を生みます。
整理:清掃が済み整頓もしたら、次のステップは整理です。
現場では整理を出来ているか否かを判定する基準のひとつが「利用が容易か否か」です。
整理が出来ていれば資材や道具が迷うことなく取り出せます。
迷わないということは、誰が見てもわかりやすいということですね。
答案に置き換えてみると「記述式の答案で採点官にアピール出来るか」とか「途中式が自分自身に正解への道筋を教えてくれるか」などだと思います。
今日のテーマは整頓までなので、整理の具体的な方法については折を見て書きます。
2021-03-23追記:整理表を使って解くいうこと