四谷大塚の合不合判定テストの分析資料が今年度から変わりました。
昨年度まで男女別に集計されていた得点・偏差値・正答率などが一本化されました。
これにより何が変わるか、気を付けることは、などを考えてみました。
合不合判定テストは、問題そのものが男女で分けられていた時代があります。
たとえば2014年(平成26年)の例で見ると算数の問題は全問が男女で別であり、
理科は難易度の高い設問が別問題になっていました。
その後、テスト問題は男女共通になりましたが、解答用紙には男子、女子の印刷がずっと残っていました。
これは集めた解答用紙を手早く仕分けして男女別に集計するのが目的だったと思います。
平均点や偏差値、正答率などが分けて分析されてきました。
算数・理科などの理系科目は男子の得点が高く、文系科目は逆になります。
四科目の総合偏差値に関してはわずかに男子の平均点の方が高くなります。
生徒を見ていると全般的に女子の方が真面目なのですけれど、平均点を見ると男子の方がわずかですが高いのですね。
これは中学受験に対するご家庭の意気込みの差に原因があると考えます。
さて、今年度から成績データが改定されました。
男女の別が無くなってどのような影響が出るでしょうか。
すごく単純に言えば、
女子の場合、理系科目の偏差値は少し下がり、文系科目は少し上がると思います。
男子ならば逆に、理系は少し上がり、文系は少し下がると思います。
四科目の総合偏差値に関しては科目別よりかなり影響が少なくなります。
両者の平均点の差はそれほど大きくないですから。
わずかに女子の偏差値は下がり、男子は上がるはずです。
このあたりを説明するために、正規分布のピークが二つあるグラフを画像検索で探していたら、はてなブログの購読リストに登録して新着連絡を受け取っているサイトが偶然ヒットしました。
ここ、お勧めです。
peter-lws.netリンクを貼ったページで合格可能性の説明に使われているグラフがとても良く出来ていたので引用させて頂きます。
元のグラフは不合格者と合格者の分布を表したものですが、
たとえば、オレンジの線を女子だけの算数での分布、青色の線を男女をいっしょにした分布(平均点が上がります)として見れば、同じ得点を取った場合でも男女混合での偏差値は女子だけの時のそれよりも下がる、ということがわかると思います。
ここから本日のメインテーマです。
成績データで男女別の集計が廃止され、一本化された影響を考えてみます。
【解き直し指示への影響】
まず私の頭に浮かんだのが「解き直しの指示」への影響でした。
模試の解き直しについては、次の記事を書いています。
この記事にあるように、その生徒のレベルに応じて正答率の値で解き直しの「必須・推奨・捨て問」を分類して指示を出しています。
正答率の値が一本化されると、「男子ならここまで、女子ならここまで」というイメージがややあいまいになりそうです。
まぁ「男子は20%以上、女子は25%以上の問題を見直しておきなさい。」
という指示をすれば良いので、あまり困らないかも。
2018-07-11:模試の解き直しは正答率を見てから
【合否判定への影響】
保護者様からは合否判定への影響が心配になるかも知れません。
模試の合否判定とは、過去のデータから来年度の入試を予測するものです。
すなわち受験生の偏差値と各校への合格実績を突き合わせて統計処理した結果です。
となると、過去の男女別に出していた四科目総合の偏差値と、
今年度からの男女をいっしょにした偏差値で数値に整合性は取れるのか、
合否判定は変化をしっかり補正されるのか、気になるところかも知れません。
合否判定の元になる四科目総合の偏差値の変化に対しては、
私はあまり心配していません。
昨年度と今年度、同じ点数を取った場合に、わずかに女子の偏差値は下がり、男子は上がるはずです。
先に書いたように統計解析的に若干の変動は出るはずですが、ほとんど誤差の範囲内でしょう。
偏差値に関しては、この表現を私はよく口にします。
「たかが偏差値、されど偏差値」
これを使って説明します。
【たかが偏差値】
模試の偏差値は2や3くらいは平気で変動します。 特に1科目だけの偏差値だけを見ると、苦手の単元が出たというだけで5以上も変わってしまいます。
四科目総合について四科目で偏差値が50になる得点データで見てみると、
2017年の女子は265~259点 これは同年の男子だと偏差値49に相当します。
2018年の女子は260~255点 これは同年の男子だと偏差値48に相当します。
つまり女子だけから男女合同になっての偏差値の変動はせいぜい1くらいです。
得点と偏差値の関係についてはコロナ禍の時に記事を書きました。
2020-04-23:四谷合判 点数と偏差値の対比表
偏差値の細かな差異にこだわるのは無駄ですが、
偏差値そのものは受験校を決める際にたいせつな情報です。
それが【されど偏差値】
【されど偏差値】
その1:上がり下がりの傾向は重要な情報で、同レベルの受験生から置いて行かれているというサインです。
その2:回ごとの変動があまりに激しい場合、極端に苦手な単元が残っているサインです。
その3:偏差値の値をまるで無視して受験スケジュールを組んだら?
「たかが偏差値、されど偏差値」について詳しい記事はこちらを参照ください。
2019-02-22:偏差値について:2
【まとめ】
合不合判定テストの男女別分析廃止に関して思い付くことを書いてみました。
まだ、これに関連した情報は見当たりません。
四谷大塚からの説明がないか探してみたのですが、特には無いようです。
合不合判定テストの説明ページに載っている写真には、本日現在では男女別の冊子が載っています・・・まだそんな状態でした。
今後、状況が見えて来たら続報を書きたいと思います。