駒澤塾:中学受験の算数・理科

中学受験の算数・理科を中心に書いて行きます。駒澤が旧字体なのは検索をしやすくするためです。

続:場合の数:和の法則なのに掛け算している

昨日の記事に頂いたコメントがとても詳しいものでしたので、独立した記事の形で返信させて頂きました。 

 

お二方のコメントについては、あらためて全文をこちらに貼り付けます。 要素を見やすくするために改行と行の番号を入れさせて頂きました。

 

sugakublogさん 2020-03-06 11:48:29 のコメント

☆ ☆ ☆ 頂戴したコメント、ここから ☆ ☆ ☆

【S01】点A,B,Cから2個選ぶという事柄をP,点D,E,Fから1個選ぶという事柄をQとすると、Pの起こり方が3通りあり、そのおのおのの場合について、Qの起こり方が3通りある。

【S02】PとQがともに起こる場合は,3×3=9通りある。・・・積の法則

【S03】点A,B,Cから2個,点D,E,Fから1個選んで直角三角形をつくるという事柄をR、点A,B,Cの中から1個,点D,E,Fの中から2個を選んで直角三角形をつくるという事柄をRとすると、2つのR,Sは同時には起こらない。

【S04】Rの起こり方が7通りあり,Sの起こり方も7通りある。

【S05】すると、RまたはSの起こる場合は、7+7=14通りある。・・・和の法則

【S06】積の法則は、1つ目の事柄の起こり方、「そのおのおのの場合について」2つ目の事柄が起こるときに使う。

【S07】和の法則は、「2つの事柄が同時には起こらない」ときに使う。

【S08】このような理解で良いと思います。

【S09】以上は、高校生に対する説明になります。

【S10】高校の教科書では、和の法則、積の法則の前に、和集合、積集合(積集合という言葉は使いませんが、)を学習します。

【S11】和や積を単に足し算、掛け算という意味で使ってはいません。

【S12】小学生はいろいろな経験をして、感覚を身につける。観念的に理解することが大切だと思います。

【S13】和の法則、積の法則という言葉を使うと、その言葉に引っ張られる危険があると思います。

【S14】引用の解説は、どちらの法則も前面に出さず、上手に数え上げていると思います。

【S15】7+7の計算を,「繰り返しの数だけ掛ければ楽を出来る」ということで7×2とやっている思います。

【S16】釈迦に説法的なことで申しわけありません。

☆ ☆ ☆ 頂戴したコメント、ここまで ☆ ☆ ☆

 

『和』と加法、『積』と乗法の関係?

sugakublogさんの

【S11】和や積を単に足し算、掛け算という意味で使ってはいません。

 という部分、数学から離れて40年以上たっており、中学受験の算数ばかり見直しているためか判らなかったので、ひとつ前の 

【S10】高校の教科書では、和の法則、積の法則の前に、和集合、積集合(積集合という言葉は使いませんが、)を学習します。 

から、用語を検索しながら記憶を掘り起こしてみました。

 

和集合 (合併、ユニオン)  A ∪B (A または B)

積集合 (共通部分、インターセクション、交叉)  A ∩ B (A かつ B)

 

和集合と積集合についてはおぼろげに思い出しました。 なるほど、「和」と「積」という用語は足し算・掛け算とは別物ですね。 

しかし、<場合の数>で和の法則と積の法則を扱う際に、足し算、掛け算という意味で使っていけない理由がいまひとつ納得できなかったので、もうすこし考えてみました。

 

四谷大塚の予習シリーズ(小5上)では次のように説明しています。

☆ ☆ ☆ テキストからの引用、ここから ☆ ☆ ☆

<和の法則>

A,B 2つのことがらが同時に起こらないとき, Aの起こリ方がp通リ, Bの起こリ方がq通リあるとき, AまたはBが起こる場合の数はp+q通リあリます。これを和の法則といいます。

<積の法則>

Aの起こリ方がp通リ,それぞれについてBの起こリ方がq通リあるとき,AとBが起こる場合の数はp X q通リあリます。これを積の法則といいます。

☆ ☆ ☆ テキストからの引用、ここまで ☆ ☆ ☆

 

場合の数で、和の法則を適用するときには足し算を使っています。

積の法則を適用するときに掛け算を使っています。

場合の数を教える中で、それぞれを足し算、掛け算と紐付けた場合に何か弊害が出ないのなら、私はシンプルに教えてしまいたいのですが、まずいかな?

 

集合の例から「和」と「積」が足し算、掛け算の意味ではないという事は判りましたけれど、それを学ぶ時点で正しい定義に修正するという事では大きな弊害が生じるかしら?

 

私の望みは<場合の数>の問題で失点の多い生徒に対して、早く<和の法則>と<積の法則>が使えるようにしてやりたいという事です。

その目的のために、対応関係を出来る限りシンプルにする事で生徒が戸惑わずに解けるようにしたいというのが今回の主旨です。 

 

 

kiihantoさん 2020-03-06 18:27:39 のコメント

☆ ☆ ☆ 頂戴したコメント、ここから ☆ ☆ ☆

【K01】積の法則で使うかけ算じゃなくて、同じ考え方を2回繰り返せば良いという意味のかけ算じゃないでしょうか?

【K02】数字の並べ替えの場合の数でも同じ考え方でできるから掛けるというのはよくやりますし。

【K03】中学受験の解き方として正しくないもしれませんが、私だったらこの問題は、

【K04】Aを頂点、DFの並びを辺として作れる直角三角形は2個、

【K05】(Aの対称の関係にある)C、D、Fを頂点としても同じことかできるから×4

【K06】Bを頂点を頂点、DFの並びを辺として作れる直角三角形は3個、

【K07】Eでも同じことができるから×2

【K08】したがって、2×4+3×2=14としちゃいます。

☆ ☆ ☆ 頂戴したコメント、ここまで ☆ ☆ ☆

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【K01】「同じ考え方を2回繰り返せば良いという意味のかけ算」だということ(sugakublogさんの【S15】も同じ)については私も納得しています。

 

ただ、<場合分け>して得た場合の個数から最後に全体の個数を得るためには足し算を使う状況であり、ここで「楽をするための工夫」を使った式を見せるのは好きじゃないって事です。

 

計算の工夫そのものは重視しています。 しかし、この状況で足し算の一部を掛け算の形で見せることで生徒に何を学ばせたいのか? むしろ、それによって戸惑ってしまう生徒が居るのが嫌なのです。 実際、この部分に関する質問をたくさん受けて来ました。

 

別件

【K03】中学受験の解き方として正しくないもしれませんが

について。

正しい解き方というのは生徒の数だけ存在すると思っています。

学習塾の講師の中には「(その講師としての)正しい解き方」を生徒に押し付ける人が居ますが、困ったものです。 解き方は「対象とする問題」「生徒のレベル」「生徒の特性」などの組み合わせによって変わります、変えるべきだと思っています。

学習塾の先生になってすぐの頃、同僚から「先生は、ニュートン算をどの方法で教えていますか?」という質問を受けて、「あれ?」って思ったことが有ります。 それをきっかけに解き方を色々と考え続けておりまして、現在では8種類の解き方が手元にあります。

さすがに8種類の解き方というのはほぼ趣味の世界ですが、ずっと考え続けている原動力は「生徒の特性に即応して最適の解き方を示したい」ということです。

問題を解けない原因は、極論を言えば生徒ひとりひとりで異なります。 それを見極めて適切な授業が出来て、生徒の顔が笑顔になる瞬間、もっのすごく気持ちが良いです。

 

 

今回の場合の数の教え方に関して詳しいコメントを頂けたことはとても嬉しく、励みになります。 今後とも宜しくお願い致します。 

 

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