駒澤塾:中学受験の算数・理科

中学受験の算数・理科を中心に書いて行きます。駒澤が旧字体なのは検索をしやすくするためです。

立体感覚育成には激落ちくん

サイコロ形(立方体)の山積みについて立体感覚を養うために、激おちくんの利用をおすすめします。 要は「実際に積み上げて体験しちゃえ」ってことです。昨日のサレジオ学院中の問題の残りも解説します。

 

私が教材として使っているのは、これです。

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ずいぶん前に100円ショップのダイソーで買ったものの袋なのでシワシワです。 

正確には「激落ちくん」ではなく「落ち落ちVキング」という類似商品ですが、メラミンスポンジの3cm角の立方体がたくさん入っています。 

※多少の寸法の狂いはあっても、ほぼ立方体

※100円+税で数十個を買える

※適度にくっつくので崩さずに積める

※勉強が終わったら家事に転用できる

という特徴があり、サイコロ山積み問題の演習にピッタリです。 

欠点は3cm角の立方体タイプが店に置いてない場合が多いことです。

 

問題を解くために積んでみるときには、真上、正面、横からという具合に色々な向きから眺める必要がありますが、表面のガサガサで適度にくっつきますので具合が良いです。 板の上に積み上げて、板ごと持ち上げて向きを変えて眺めるときに山が崩れません。 

 

立体図形が苦手な生徒の場合、激落ちくんで山を積ませてみると手間取ることが多いです。 そんな時に「ほら、こうでしょ。」と大人が手を出して完成形をいきなり見せてしまいがちですが、イラつかずに試行錯誤させましょう。 生徒本人の頭の中にハテナマークが浮かんだ瞬間に正しい形を見せると、すっと記憶に取り込まれます。(以前に某テレビ番組でよく耳にした「アハ!体験」ってやつです。)

 

【山積みの手順】

1: 問題文の「上から見た図」だけに注目させ、その形にブロックを置かせます。

   いわば建物の基礎造りです。 ここは大人が手を出してかまいません。

2: 板ごと持ち上げて向きを変えて眺めさせながら、正面と側面からの形を再現させます。必ず本人だけにやらせます。

3: 本人が「できた」と思うまで自由にやらせたら、正しく出来たか一緒に確認します。

 

今回の手順1は前回の「真上からの図を使って考える」ということを準備させています。 ここは考えるステップではなく、「真上からの図を使って考える」という正しい手順を覚えてしまうだけのステップですから大人が手伝って良い訳です。 

 

次の「板ごと持ち上げて向きを変えて眺めさせる」というのは、正面から見た段数や側面から見た段数を真上からの図に矢印付きで書き込ませ、それを見ながら有り得る段数を推理するという作業の手順を体験させる意味があります。 

ここでは本人に納得いくまで試行錯誤させましょう。 真正面から見る、側面から見る、ということを一度にやろうとせずにバラバラに実行して、それを平面図の番地ごとに考えて行くという大切な訓練です。 

 

受験問題で理科や算数の応用問題を解くときに、複雑にからみあった要素を整理するスキルが要求されるシーンってすごく多いです。 このサイコロ山積み問題でも同じです。 

 

サイコロ山積み問題が苦手な生徒の考えている様子を見ると、一度に全部を考えようとしてしまい狙いを絞れていないことが、その視線や鉛筆の先のピクピクした動きから判ります。

一連の手順は、一度に考えることを減らしてくれます。 つまりマジック・ナンバー・オブ・セブン対策です。 

マジック・ナンバー・オブ・セブンについて触れている記事

慶應中等部2012年理科:大問4 - 駒澤塾:中学受験の算数・理科

 

 

前回の(2)について解説

2020-03-02: 立体図形:サイコロ山積み

【問題】 (2) (1)のうち体積が大きいほうの立体の表面積は何cm2ですか。

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【解説】

「谷間」になって見えない面を正しく数え上げることがポイントです。

激落ちくんを実際に積んで眺めてみれば一目瞭然なので簡単に書きます。

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☆真上(=真下)から見た面の数

 図1から 7 × 2 = 14 (個)

 隠れた谷間は無し。

☆正面(=裏側)から見た面の数

 図1から 11 × 2 = 22 (個)

 隠れた谷間は左端の列に 2個

☆右側面(=左側面)から見た面の数

 図1から 10 × 2 = 20 (個)

 隠れた谷間は奥寄りの行に 4個、真ん中の行に 4個

 

以上を合計すると、この立体の面の数は

14 + 22 + 2 + 20 + 4 + 4 = 66 (個)

 

 一辺が3cmだから、この立体の表面積は

3 × 3 × 66 =  594 (cm2)  

 

 

2020/06/27追記:

今回の例題のように谷間の出来る積み方での表面積は、「隠れた谷間」を考えられるかがポイントです。 サイコロ形(立方体)の山積みそのものでなくても、隠れた部分の面積を問う問題は入試で良く出題されますので、感覚を育成しておきたいです。

次の記事の下の方にある【立体にトンネル状の穴が有る】という問題が相当します。

komazawajuku.hatenablog.com

 

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