自分で作ることで立方体の切断を学ぶ紙製の模型キット6種類のうち、すこし異色な模型です。 一枚の平面でスパっと切って行くのではなく、すっ、すっと刃を入れて行く切り方になりますが、ある切り方をするとひとつの立方体を完全に合同な形の3個の立体に分けることが出来ます。 さて、それはどのような形でしょう?
考えるヒントその1は「面の数」です。
立方体は6個の正方形から成り立っています。
合同な立体に三分割するということは、元の立方体の面6個は三等分されて、切り出された立体ひとつあたり2個分の面積を受け継ぐということです。
もちろん切り出された立体の表面積の合計には切断面も加わりますが、とりあえず元の立方体の面6個だけをどのように切るかだけを考えてみると考えやすいです。
さて、正方形2個分の面積はどのような形の組み合わせになるでしょう?
答えは、正方形1個と直角二等辺三角形2個です。
考えるヒントその2は「内部にすきまが無いこと」です。
正方形1個と直角二等辺三角形2個を組み合わせてみましょう。 正方形の土地の2辺に三角形の壁を直交させて立てた姿を想像してください。 2枚の壁のくっついている最も高い所からワイヤーを張ってテント地で屋根をかけます。 これが求める立体の形なのですが、それを3個組み合わせた物が立方体をぴったりと満たす訳ですから、3個の立体のワイヤーに相当する直線(辺)もぴったりと重なるはずです。
言葉で書くと判りにくいですね。
でも、模型を手にして色々な向きから眺めたり、透明ケースに入れたり出したりしてみると、上に書かれた説明がするっと判ります。
立方体を三等分する立体は底面が正方形の四角すいです。
それらを立方体の頂点同士を結ぶ直線の中で最も長い一本に重なるように組み合わせれば、隙間無くぴったりと立方体を満たします。
立方体 切断キット04
まったく同一の四角すいが3個です。
この四角すい、底面積は元の立方体の一つの面と同一の正方形です。 そして高さは立方体の一辺の長さと同じです。
つまり、この模型は
『四角すいの体積は 底面積と高さの積を3で割った値』で求められることの証明になっている訳です。
「判ったと感じなければ、解かない。」という子が居ます。
「解けない」 ではなく「解かない」です。
親の言うことを完璧に守って来た「良い子」の中にたまに居るのですが、逆に言えばそのタイプの生徒は「判ったような気分」にさえ出来れば次に進めます。
すい体の授業で、「体積を求めるとき、なんで3分の1を掛けるの?」という引っ掛かりが出た場合にはこの模型で解決して来ました。
立方体の切断を学ぶための紙製キットの話、模型の紹介は次で最終回です。