算数の<立体図形>単元で円錐(円すい)が苦手な場合の処方箋です。
「円すい嫌い。わからない。」と言っていた生徒が、色紙をハサミで切って作った模型を見るだけで、苦手意識を解消できた姿を何度も見ています。
具体的な寸法を示しますので、試してみていただきたいと思います。
学習塾の授業中に円すいの模型を見せる先生って少ないです。
円すいの見取り図を書いて、展開図を書いて、
「ほら、こことここの長さって同じだろぅ?」と口頭で説明して、おしまい。
そういう授業だけで納得できる生徒も居ますけれど、頭の上に?マークを浮かべて迷子の子犬の目になる子が必ず出ます。
そこで模型です。
画用紙で展開図を準備して、丸めて立体の円すいを作って見せるだけで、?マークを浮かべていた顔がパッと明るくなります。
たいした手間は掛かりませんから、ぜひ試してみてください。
【用意するもの】
画用紙 ・・・ 適量 (色画用紙がおすすめ)
定規 ・・・ 1本
コンパス・・・ 1本
はさみ ・・・ 1挺
テープ ・・・ 適量 (メンディングテープ、養生テープなど)
作り方・見せ方は生徒の状態に応じて3通り考えられます。
1:あらかじめ作った物を見せる、触らせる。
2:展開図を渡して、切り取りと組み立ては自分でさせる。
3:底面の半径と中心角の指示だけをして、あとは自分で。
既に円すいに関する公式を覚えているなら3番が良いですが、それが出来ないからと言って叱る必要は有りません。
「わからない」と口にしていた生徒も、模型を見て実感を得た後だとスルっと公式を覚えてしまう事が多いです。
1番の、あらかじめ作った物を見せるだけ、という対応でも明確な効果が有りました。
円すいの展開図と実際の立体のイメージが実物で結びつく効果は大きいです。
【作成する円すいのパターン】
中心角が90度、180度、270度の3パターンを作ることをお勧めします。
中心角= 90度 半径=4cm 母線長=16cm
中心角=180度 半径=5cm 母線長=10cm
中心角=270度 半径=6cm 母線長= 8cm
展開図を切り取ったら、紙に丸みをつけて、適度にテープでとめてやれば立体の円すいの完成です。
接着力の弱いテープを使えば、展開図に戻したり、立体の形にしたりをできます。
仮止めにはメンディングテープや荷造り養生テープなどがお勧めです。
この操作を自分の手で繰り返すことで、辺と辺の対応や母線のイメージを持つことができます。
【円すいに関する絶対必須の式】
半径 ÷ 母線長= 中心角 ÷ 360度
体積 = 半径 × 半径 × 円周率 × 高さ ÷ 3
側面積 = 半径 × 母線長 × 円周率
これらの式は、仕組みから組み上げることも出来ます。
予習シリーズでも式の変形や代入を使って説明していますし、学習塾の授業でも同様の解説をすることが多いと思います。
この解説が授業中に理解できなかったという理由で、円すいが苦手になる生徒も居ます。
低学年までの授業では、ていねいにゆっくりと「理解させること」を重視します。
「理解できる=問題に正解できる」という体験を繰り返すわけです。
気を付けたいのは、授業のスピードが格段に上がる受験勉強でも生徒本人がこのスキームにとらわれてしまうことです。
「理解して、解く」でなく「理解できるまで、解かない」になってしまうと学習が止まります。
これまで何人か、この落とし穴にはまってしまった生徒に出会いました。 どの子も真面目で一本気な良い子で、その真面目さゆえに苦しんでいました。
このパターンのつまづきに対する対応策は何度も書いて来ました。
暗記してしまうか、仕組みで覚えるか、どちらが先でも大丈夫、それを伝えられば落とし穴から救い出せます。
円すいに関する3つの式も、まず覚え、その後で理解する、それで良いと私は考えます。
《側面積 = 半径 × 母線長 × 円周率》
覚えるまで音読させましょう。
《半径 ÷ 母線長= 中心角 ÷ 360度》
「長さの分数と角度の分数、大きいのが分母」の音読で覚えられます。
《体積 = 半径 × 半径 × 円周率 × 高さ ÷ 3》
覚えられなかった生徒はこれまでに居ませんでしたが、「体積を求めるとき、なんで3分の1を掛けるの?」という疑問を持った生徒には、『立方体を合同な3個の立体に切り分けた模型』を見せると納得した顔になります。