駒澤塾:中学受験の算数・理科

中学受験の算数・理科を中心に書いて行きます。駒澤が旧字体なのは検索をしやすくするためです。

ニュートン算:確定版の解法・たとえ話編

ニュートン算に関して<みかけの速さ>を使った解法を教えた後、続いて私が生徒にしている3分ほどのたとえ話を紹介します。 <みかけの速さ>を使って答えを出せるようにはなったけれど、なんとなく釈然としない顔だった生徒も、この話を聞くと「なんだ、簡単じゃん」と口にすることが多いです。 

 

さっそくたとえ話を紹介しましょう。 題材には昨日と同じ 東洋英和 平成27年(2015年)A日程 大問10番 を使います。 問題を再掲します。

【問題】

桜花工場では機械がビーズを作り、人がそのビーズを製品に仕上げます。 ビーズは始業前にいつも等しい数だけできていて始業後も一定の割合で作り続けられます。 2人で製品を作ると7時間でビーズがなくなり3人で作ると4時間でなくなります。 4人で作るとビーズは何時間何分でなくなりますか。ただしどの人も同じ速さで作るとします。

 

今日は、普段と違えて会話口調で書いてみました。

 

(1) は・し・みは・じ表で計算する方法って簡単でしょ?

(2) でも何をやっているか、わからない人もいるよね。

(3) それをわからせるよ。 ノートなんか取らなくて良いからホワイトボードに注目!

(4) 題して「食いしん坊の弟と怒りん坊の兄」のお話。

(5) あるところに食いしん坊の弟が居ました。 ある日、弟は兄のおやつを食べてしまい、逃げ出しました。

(6) 兄はしばらくして気付き、②の速さで弟を追いかけました。

(7) 弟は7時間後に兄につかまり、かなぁり悲惨な目に会いました。

(8) 翌日、弟はまた兄のおやつを食べてしまい、前の日と同じ速さで逃げ出しました。

(9) 兄は間抜けなことに前の日と同じ時間たってから気付いて弟を追いかけました。 つまり兄が追いかけ始めたとき、弟は前の日と同じ距離だけ逃げていました。

(10) 二日続けておやつを食べられて、さすがに兄は怒りました。 そこで③の速さで追いかけ、弟は4時間後に口に出来ないくらい悲惨な目に会いました。

(11) さて、ここからが問題です。

その翌日、まーたまたまた、弟は兄のおやつを盗み食いしたわけだ。

で、なぜか不思議なことに、弟はまーたまたまた同じ速さで逃げたわけだ。

で、兄はまーたまたまた同じ時間たってそれに気付いたわけだ。

さすがに兄は今度は④の速さで追いかけた。

弟は何時間何分後に人生を後悔することになる?

(12) 正解はさっき求めた2時間48分だよね。 状況図でどこに<クチビル>を作る?

(13) そう、その通り。 ここだよね。(赤い線分を書き足す)

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(14) 兄の②の距離を弟は3時間かけて進むわけだから、弟の速さは? そう、3分の2だ。

(15) では兄が追いかけ始めたときの、弟の家からの距離は? 9と3分の1だ。

(16) あとは普通の<旅人算・直線路・追いつき>だから、速さが④のときに追いつくまでの時間は? そう、初めの距離を速さの差で割れば求められるわけだ。 以上! これでおしまい。

 

どうでしょう、すぐに読み終わる分量ですよね。 でもこの中に<ニュートン算>とは<追いつきの旅人算>であるとか<差を調べる>といった解法の要素が全て入っています。 注目していただきたいのは、このたとえ話を<みかけの速さ>を使った解き方を教えた後にする所です。 もちろん<みかけの速さ>を使った解き方がすぐに理解できるなら望ましいですが、その時点では判らなくても「まず解き方を覚えてしまい、正解が出せるようになってから判るようになる。」という順番でも良いではないか、という提案の実例になっていると私は考えます。

先に解けるようになる、ということ

 

昨日と今日の解き方を教える場合、注意したいのは演習に用いる問題の順番です。 昨日も書きましたが従来の参考書で採用されている導入問題は無視して、最後の方にある「真のニュートン算」から解けるようになってしまい、今回の3分間のたとえ話を経由して、前の方の導入問題に手を付けたほうが理解しやすいはずです。 

 

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