駒澤塾:中学受験の算数・理科

中学受験の算数・理科を中心に書いて行きます。駒澤が旧字体なのは検索をしやすくするためです。

ニュートン算:確定版の解法

サピックスではそろそろニュートン算が登場する時期ですね。 ニュートン算の解法に関しては2018年の6月末に3日連続でいくつかの解法を紹介しました。 その時には数種類の解き方を列挙しただけでしたが、今日は「これがお勧め」という解法をシンプルにご紹介します。 例題は東洋英和 平成27年(2015年)A日程から大問の10番です。

はじめに謝罪します。 6月末に紹介したいくつかの解法は、ブログの更新に追われて、手元のノートからパパっと書き写ししたものでした。 このノートは何年か前に「ニュートン算の教え方は何がベストの方法だろう?」と考え始めて、それ以来機会を見つけては解き方を書きとめて来たものです。 そこから書き写しただけのブログの記事は単なる解法の列挙になり、じゃぁどれが良いの?と読んだ人は混乱したかもしれません。 ごめんなさい。

今日はサピックスや、「現在の」四谷大塚も採用している「見掛けの速さ」を使った解き方を確定版として改めてまとめました。 (ちなみに、昨年6月の3日間の記事は削除せず、今日の記事へのリンクを書き足すだけでそのまま残します。 自戒を込めて。)

2019/1/25 訂正:サピックスの「510-36」の解説では今回の解法は使っていません。訂正します。

 

という訳で、今日ご紹介する解き方ですが、四谷大塚に「現在の」と付けたのは解き方が昔とは変わっているからです。 四谷大塚が以前に採用していた解法については今日の最後に触れます。

 

東洋英和 平成27年(2015年)A日程 大問10番

【問題】

桜花工場では機械がビーズを作り、人がそのビーズを製品に仕上げます。 ビーズは始業前にいつも等しい数だけできていて始業後も一定の割合で作り続けられます。 2人で製品を作ると7時間でビーズがなくなり3人で作ると4時間でなくなります。 4人で作るとビーズは何時間何分でなくなりますか。ただしどの人も同じ速さで作るとします。

 

 

【解説】 <見掛けの速さの利用>

実はこの解き方は、6月末に紹介した2日目のものと基本的には同じです。

ニュートン算:上級者向け解法

生徒が以下の2点を習得しているなら、早くてシンプルな解き方だと思います。

(1)仕事算の基本になる計算式  【(仕事の)速さ】 × 【時間】 = 【(仕事を終えるまでの)時間】

(2)【 A 】 × 【 B 】 = 【 C 】において【 C 】が一定の時、【 A 】と【 B 】は反比例

 

それでは解き方の手書き解説です。

左上が問題に登場する数字を整理するために初めに書く表です。

そこから時間の逆比を作ります。 この比は何でしょう? 始業前に準備されたビーズが無くなるまでの時間の逆比ですから、つまりビーズが減る「はやさ」ですね。 ただし人がビーズを使って製品を作る速さと、その間も機械がビーズを作る速さの差ですから「みかけの速さ」ということになります。

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2人のときの、みかけの速さは④

3人のときの、みかけの速さは⑦

1人増えたことで、みかけの速さは ⑦ - ④ = ③ 増えています。

では4人になったら、どうなるか?

3人のときと比べて1人増えるわけですから、みかけの速さも③増えて⑩になります。

3人のときと4人のときの時間は、みかけの早さの逆比の ⑩ : ⑦ になりますので、あとは比例配分の簡単な計算をするだけで答えが得られます。

  4(時間) ÷ ⑩ × ⑦ =  2.8(時間)  =  2(時間) 48(分)  

 

右下の表は<別解>として、 【時間】 × 【みかけの速さ】 = 【仕事の量】 を使った解き方です。 こちらもサラっと数字を埋められるようになっておくことが望ましいです。

 

この解法を教える場合の注意事項

今回ご紹介している解き方は、本来のニュートン算、すなわち【はじめの量】と【牧草の生える速さ】が不明という最も難しい出題に対して瞬時に答えを出せる方法です。

しかし、多くの参考書でニュートン算の導入問題として解かせている<追いつきの旅人算>に対しては一工夫しないと使えず、また、<仕事算>での【速さ】と【時間】の逆比が瞬時に出て来る生徒でないと戸惑うかも知れません。

また、本来のニュートン算に対しても少し前まで四谷大塚も採用していた2本の線分図で整理する解き方は、今も多くの参考書に載っています。 特に6年生の秋から手がける志望校の過去問題集などでは、旧い年度の解説を書き換えるようなことはされませんので、解説の多くが2本の線分図で整理する方法で書かれています。 つまり、これも読み解けるように成っておかないと戸惑ってしまいかねない訳です。

 

ご安心ください。 「みかけの速さ」を使った解き方を教えた後、3分間だけ使って「食いしん坊の弟と怒りん坊の兄」のたとえ話をするだけで、「わからない」と言っていた生徒も「なんだ、簡単じゃん」と口にし、<追いつきの旅人算>式の導入問題や2本の線分図を使った解き方も判るようになります。

 

長くなりますので、そのたとえ話は稿を改めて、明日の朝8時にタイマー公開します。 

 

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