植物をどこまで暗記するか、受験生にとって頭の痛い課題だと思います。 2月の受験寸前のこの時期に再確認すべき絶対必須の陽樹は「クヌギ」と「コナラ」のふたつ、絶対必須の陰樹は「シイ」と「カシ」のふたつです。
国連で採択されたキーワード『SDGs』は、入試でも要チェックのホットな話題ですね。 SDGs=持続可能な開発目標。 私がこの言葉を聞いて連想するのは、『明治神宮の森』です。 ブラタモリでも紹介されたこの森、人の手により造られ、永遠の命を持つべくデザインされたこの森のキーワードは、陽樹と陰樹と極相林、です。
明治神宮の森は、100パーセント人工の森です。
そしてこの森は、最初の植樹と、その後の最低限の手入れだけで永遠の命を持つことを目標としてデザインされた森です。
この発想、好きだなぁ。
西洋の庭園のシンメトリーな姿や、京都の庭園の落ち葉一枚ですら計算し尽くされた美も良いけれど、自然のうつろいにまかせ、その行き着く姿に美を感じるというのは心に響きます。
荒地に草が生え、木が育ち、数十年、数百年の時を経て安定した姿になった森を『極相林』と言います。
今は中学受験で必須となった用語ですが、私が現役の受験生だった頃には登場していなかったと思います。 国家の根幹を作る植林と林業!の時代でしたから。
樹木に関して、このブログには関連記事が2本あります。
一つは光の強さとデンプン生成量のグラフ問題の解き方。
水平な補助線を一本引くだけで正答率を格段に上げる方法を解説しました。
背景にあるのは「小学生はマイナスの概念(と絶対値の計算)を習っていない」という当たり前のことです。 一般的な解説に有るような、プラスマイナスゼロの水平軸をまたいで足し算をするという計算は「絶対値」のことですよね。 おとなにとっては簡単に見える概念ですが、小学生はまだ習っていません。
もう一つの記事は光合成の話で、『水+二酸化炭素』と『デンプン+酸素』の式を幹として関連知識をガンガン紐つけることで、発芽と開花、維管束の構造、ヒトの消化と吸収、蒸散の役目などの知識とネット化してしまおうという記事です。
今日は、陽性植物である陽樹、陰性植物である陰樹、それぞれに登場する樹木の名前の話です。
まず、広く使われている語呂合わせを紹介します。
【陽樹】
イメージとして、明るい公園に生えている木を思い浮かべましょう。
語呂合わせ 『サクラまつなら栗ごはん』
樹木の名前 桜 松 ナラ 栗 ハンノキ
他には、コナラ、クヌギなども陽樹に含まれます。
【陰樹】
語呂合わせ 『たぶんあぶなかしい過ぎる』
樹木の名前 タブノキ ブナ カシ シイ 杉
他にはクス(クスノキ)も有りますので、
『たぶんあぶなかしい過ぎる、クスクス』でも良いかも。
これだけでも結構な数です。
そこで主要な参考書(Sapixのコアプラス、四谷大塚の四科のまとめ、早稲田アカデミーのマスターテキスト知識編、市販本の「中学受験 論述で覚える最強の理科」)から陽樹と陰樹の扱いを調べてみました。
今日の記事では知識を広げるのではなく、「絶対必須」だけへの絞り込みをしたかったので、具体的にどれが出題されているか、過去問データも検索してみました。
2019年と2020年の「有名中学入試問題集」に載っている範囲でのざっくりとした抽出ですが、面白い傾向が見えました。
絶対必須の陽樹は「クヌギ」と「コナラ」のふたつです。
絶対必須の陰樹は「シイ」と「カシ」のふたつです。
以下、抽出された出題例です。
「クヌギ」と「コナラ」
陽樹陰樹というよりも「落葉樹」の属性からの選択肢問題が見つかりました。
2020年の桜蔭中では「落葉樹」「植林常緑樹」「天然常緑樹」への分類で、「落葉樹」に入るのがクヌギ・コナラです。
また2019年の市川中、2019年の駒場東邦でも「落葉樹」として登場しています。
おもしろいのは、食物連鎖のスタートとなる植物として、2020年の共立女子ではクヌギが、2020年の東邦大東邦ではコナラが登場していることです。
「シイ」と「カシ」
2020年の共立女子で「大きくて重い実をつける」という取り上げられ方をしています。
「真下に落ちても発芽・成長できる」という陰樹の特性を使った良問です。
おもしろいのは、先ほどの「落葉樹」との仕分けをする問題で、「常緑樹」側の選択肢としては、一歩ひねった名前を並べていることでした。
「シイ」と「カシ」では簡単すぎる、という判断でしょうか。 実際「シイ」と「カシ」に関しては上に挙げた4冊の参考書すべてでしっかりと扱われていましたので、確実に『絶対必須』です。
逆に陽樹として私が必須と感じた「クヌギ」と「コナラ」は、広く使われている語呂合わせには入っていないですね。
2019年と2020年の「有名中学入試問題集」という限られた範囲ですが、以下の樹木名も順番に全て検索してみましたが登場していませんでした。 よって、そこそこの信頼性は有ると思います。
検索した名称:マツ、シラカバ、ケヤキ、サクラ、クリ、ハンノキ、モミ、スギ、ブナ、タブノキ
ちなみに、参考書での取り扱われ方についても興味深いポイントが有ったのですが、それについては別記事として書きます。
2022-01-17追記:書きました。
今日は、ここまで。
これ、描かれている樹が針葉樹だけなんだよなぁ・・・