光合成が二酸化炭素と水を原料にしてデンプンと酸素を作るはたらきであることは全員が覚える知識ですが、どうせ覚えるなら付帯した知識も覚えて行く方が効率的です。
理科の問題を計算問題と知識問題に分けた場合、
★ 計算問題が苦手な子は暗記が足りません。
★ 知識問題が苦手な子は丸覚えをしようとしています。
計算問題に関しては、こんな記事を書きました。
知識の暗記に関しては、テキストに書かれたことを取捨選択せずに覚えようとして苦労している生徒に、必須知識の抽出方法を指示した経験を書きました。
今日のテーマは、知識問題に対して必須の項目や単語を学んだ後に得点力を上げて行くための工夫です。 やみくもに範囲を広げて丸暗記して行くよりも、幹となる知識に紐付ける形で知識を増やして行く方が関連知識を効率良く覚えられますし、忘れにくくもなります。
事例として光合成を取り上げてみました。 この図は左右の物質名を矢印で結んだだけのものを良く見ますが、それではもったいないです。
関連知識を書き足した図はこうなります。
ご覧のように
付帯する知識といってもたいしたものではありません。
【書き足す項目:光合成で使うエネルギー、呼吸で作られるエネルギー】
どのようなエネルギーが関連するのか。 更に、日光のエネルギーだから昼間だけ、生活活動のエネルギーだから一日中(昼も夜も)という時間帯の知識を関連させておきたいです。
また、植物が特に激しく呼吸をするタイミングが2つ有る。 それは発芽と開花であり、発芽はともかくとしても、なぜそんなにエネルギーを消費して開花という活動をするのかという事にも触れておきたいです。 多大なエネルギーを消費して「虫媒花」が何をするか、派手な色の花弁、虫を呼び寄せる香り、そして蜜を作る「みつせん」など、花のつくりの知識も確認する機会です。
【デンプン+ブドウ糖】
光合成で作られるのはデンプンですが、呼吸というはたらきに関連してブドウ糖も書き込んでおきたいです。 水に溶けないデンプンを水に溶けるブドウ糖に変えるという話は、維管束の師管とは何かという茎のつくりの知識に連携します。
また、余裕が有ればデンプンからブドウ糖に分解するはたらきは、ヒトも唾液アミラーゼによる消化としてやっている。 デンプンを水に溶けるように分解することで小腸の柔突起から血液の血漿に溶け込ませ、門脈を通じて肝臓に運ばれる、という関連知識に触れるチャンスでもあります。
【光合成には水を使う】
光合成は二酸化炭素だけではできない。 葉に水が届かないと光合成は出来ないという事から、根から水を運ぶつくりとしての道管、そしてなぜ道管が水を吸い上げるかという仕組みの話で維管束の内側と外側のどちらに有るかという確認もできます。(前出)
更に加えて、葉で水が使われるのは他に何があるかという質問から蒸散の確認につなげられ、蒸散が盛んになる状況の質問から飽和水蒸気量と湿度の確認につなげられ・・・
知識は、互いに結びついたネット構造になると急激に覚えることが楽になります。 ただし気を付けなくてはいけない事が2つあります。 ひとつはそのような学習法を「いつ」やるか、もうひとつは「誰が」やるかです。
「いつ」に関しては、学習塾のカリキュラムで全ての単元が終了した後が良いと考えます。 導入の学習、つまり初めて知識に触れる段階では関連知識に触れすぎると情報過多になります。 また、時期が早すぎると必須知識の抽出が中途半端ですから、関連知識として必須かどうかという判断ができず学習の効率が落ちる危険性が有ります。
「誰が」に関しては、師事する塾の先生が出来るのがベストですが・・・ ご家庭内で実施する場合は生徒本人にやらせてみるのも一つの方法です。
※ 学習中の単元に関連した知識を思いつかないか尋ねてみる。
※ それに関連したテキストのページを開かせてみる。
※ ページを開けたら褒める。 それが必須項目だったら全力で褒める。
(必須項目はテキストに下線が引かれているはず)
保護者様に理科の基礎が無いとすこしきびしいかも知れませんが、あきらかな間違いを主張していないかとか、脱線していないかなどは判断できると思います。
実利的な学習だけでなく、家族が「わぁ、すごぉい!」と驚いてくれる、褒めてくれるという状況はモチベーションを高めますので、毎回でなく機会を見つけて一回やるだけでも効果が出る可能性が高いです。
今回のように関連知識をガンガン紐つけた記事が、生徒本人にやらせてみるきっかけになれば嬉しいです。 (まぁ、ほぼ私の趣味で書いたような記事ですが・・・)