510-31『和と差に関する問題』の単元から<つるかめ算>を解説します。 Sapix生の場合、上位生であっても<つるかめ算>は(意外なほど)要注意です。
デイリーサポートとデイリーサピックスの問題を<○○算>の分類で整理し、概要と共に、それに対する私の意見を書きました。
また、<○○算>の分類には見直しに使えるように、Sapixの前回のスパイラル(春期講習のH51-02)、市販本の「塾技100」、早稲田アカデミーのオリジナルテキスト「バックアップテキスト」の該当するページも記載しておきました。
Sapix生は、妙に<つるかめ算>が得意でない生徒が多いです。
アルファ在籍の生徒でも高い確率で、つるかめ算が「いまいち」です。 解けないのではなく、<濃度>や<旅人算>などとの複合問題を解く際に、つるかめ算を適用するステップで一瞬ひっかかる、という感じ。
6年生になって苦労しないために、複数ある<つるかめ算>の解法をしっかり見直しておきましょう。
<つるかめ算>・・・デイリーサピックス510-31のタイトルは「テストの点数」
ぱらぱらと問題を見ただけの段階では、510-31『和と差に関する問題』では取り扱いが無いのか?と思ったのですが・・・有りました。
デイリーサポート51-31Aの③ デイリーサピックスP.9の①★
正解4点ひらがな1点誤答0点のテストで問題数と点数から正解の数を求める。
ちょっと見ると<弁償算>に思えたのですが、実態は<前処理を要するつるかめ算>でした。 簡単な引き算で「得点した問題の数」を得た後、Sapixの解説では<つるかめ算>として「もし、正解できた問題すべてを ひらがなで書いたとすると、」という仮定から「漢字で答えを書くとひらがなで答えを描いたときより、1問につき・・・」という解き方を文章で説明しています。
<つるかめ算>の解き方はいくつか有りますので、代表的な4種類の解き方について整理してみました。 例題としてデイリーサピックスP.9の①を使います。
【問題】
太郎君は, 100問ある社会のテストを受けました。答えを漠字で書き
正解できると5点がもらえますが,漠字がわからず,ひらがなで書いて
しまうと,正解できても2点しかもらえません。また,間違った答えを
書いた問題は0点になリます。太郎君は, 100問中17問間違って,点数は
205点でした。太郎君が漠字で書いて正解できた問題は何問あリますか。
【解法】
<理想と現実(整理表)>
私は導入授業では<整理表>を書かせ、「もし、△△だったら」の仮定からスタートする<理想と現実>法を体験させます。
この解き方を「整理表をさっと書けるレベル」でしっかり身に付けておくと、<弁償算>を習得する際の負担が下がります。
<理想と現実(式のみ)>
今回のテキストの解説は、ほとんどの問題がこれです。 「何かを仮定するという、問題の抽象化」を受け入れられる生徒ならば、この方法で何の問題も無いと思います。
教える側としても色々と都合の良い解法です。 ①授業は喋りながら式を書いて行けば良い ②解説がワープロで作れる ③電話での質問にも口頭で対応できる 等々。
<面積図>
私は<つるかめ算>に対しては最終的に<面積図>を使う解き方が出来るようになるように指導しています。 たぶんそれは A × B = C の関係になる関係を<テントウ虫>で覚えさせる教え方と関連しているのかも知れません。
面積図を使った解き方をしっかり身に付けておくと、様々なシーンで応用できます。 たとえば、<割合のつるかめ算>の学習で習得の負担が軽くなります。
2018-07-05の記事 割合のつるかめ算 - 駒澤塾:中学受験の算数・理科
<二元一次方程式>
大人にとっては最も簡単に見える解き方です。
なぜ中学受験でこれを使わないのか? 受験算数の解法を使った方が 早いし、楽だし、ミスを減らせるからです。
以上4種類の解き方に関して、先生によっては特定の解法を強制する人も居るようですが、「これがベスト」というものは無いと私は考えています。
ただ、テキストや過去問集の解説が<理想と現実(式のみ)>や<二元一次方程式>を使っていて「わからない」という言葉が出た場合には、<理想と現実(整理表)>を自分の手で書かせてみると解決することが多いです。
また、<面積図>を使う解き方が出来るようになると、その後の応用が楽になります。
<つるかめ算>の習得に使えるテキスト
※春期テキストH51-02「和と差に関する問題」のP.5の①
※塾技100では塾技⑦「つるかめ算①」の例題1
※バックアップテキストでは③「つるかめ算」の問題1から問題4
<弁償算>
デイリーサポート51-31Bの③ デイリーサピックスP.9の②★
正解は5点もらえ、誤答は2点引かれるテストで点数から正解の数を求める。
<弁償算>の典型題ですね。 「もし、全問正解すれば、」という仮定からスタートする方法で解説しています。
<弁償算>の習得に使えるテキスト
※春期テキストH51-02「和と差に関する問題」のP.5の②と③
※塾技100では塾技⑦「つるかめ算①」の例題2
※バックアップテキストでは③「つるかめ算」の問題5と問題6
<つるかめ算>とペアで扱われることが多い<弁償算>は、今回の★★★問題の中にも、考え方を使うものがありました。
長くなりますので稿を分けます。