割合のつるかめ算は苦手な生徒が多い問題ですが、理科の<金属粉の酸化>でも使う解法ですので中堅校以上の受験生には必須です。 例題は明大明治2012年(平成24年)の第2回入試から大問1の(5)です。
【問題】
ある中学校の今年の入学者数は、男子が昨年より20%減り、女子が昨年より10%増えました。 また、今年の入学者数の合計は昨年の92%でした。 昨年の男子と女子の入学者数の比を、最も簡単な整数の比で表すと、 (ア) : (イ) です。
【解説:一般的な解法】
昨年の男女合計の入学者数を1とします。
もしも男子も女子と同様に10%増えたとすると、今年の入学者数は1.1になるはずです。
ところが実際の今年の入学者数は0.92ですから、1.1 - 0.92 = 0.18 少ない。
この0.18の差は、男子の入学者数が1.1倍ではなく0.8倍になったからです。
つまり昨年の男子の0.3倍が男女合計を1とした時の0.18に相当することになります。
<相当算>の式 【くらべる量】 ÷ 【割合】 = 【元にする量】 から
0.18 ÷ 0.3 = 0.6 となり、昨年の男子の人数は全体を1とした時の0.6です。
よって、女子の人数は 1 - 0.6 = 0.4 ですから
0.6 : 0.4 = 3 : 2
割合を割合で割るという操作が入ります。 小学生にとっては(大人にとっても?)納得感の得にくい抽象度の高い解法だと思います。
【解説:面積図を使った解法】
横軸が昨年の男女の人数、縦軸が昨年と比べた今年の人数の比の値です。
すると面積が男子と女子の今年の入学者数を示すことになります。
男女全体の合計は<平均算の面積図>と同様に面積が ア = イ になります。
面積が一定ということは、横幅(昨年の人数)と高さ(比の値の差)は反比例です。
よって、(女子の比の差):(男子の比の差) の順番にして比を簡単にすれば答えです。
( 1.1 - 0.92 ) : ( 0.92 - 0.8 ) = 0.18 : 0.12 = 3 : 2
ちなみに、反比例の関係になる問題は<てんびん法>が使えます。
<面積図>もしくは<てんびん法>を使えば、正解を得るのに1分かからないはず。
方程式で解くより、速いし、楽だし、見直しもやりやすい解き方だと思います。
面積図について「横軸が人数、面積も人数・・・???」という部分にひっかかって受け入れようとしない生徒がいました。 原因は「割合」とは何かについて理解ができてないことにあるのは明らかでしたが、苦労しました。
結局この生徒(納得するまで動けない真面目すぎる生徒でした)に対しては、一般的な解法を改造して、昨年の男女合計の入学者数を1とせずに600という割り切りやすい数で計算させて解かせました。 こうすると問題の抽象度が格段に下がりますので分かった気持ちになれたようです。 ただしそれをやると理科の金属粉の部分酸化の問題が解けなくなりますから、その生徒が受験する学校の理科の出題実績を調べておそらく出ないだろうと割り切っての緊急避難措置でした。