CanonのA3インクジェットプリンタを、有名な「B200エラー」から復旧させる事が出来たので、その経緯を書きます。
B200エラーというのは、これが出たらユーザは何も出来ない、電源コードを抜いて修理に出すしかない、致命的なエラー・・・と、されています。
B200エラーからの脱出(修理とは書きません)に成功したA3インクジェットプリンタ の型番はiX6530 で、2012年から8年以上も使って来た機種です。
エラーが出た原因に心当たりは・・・有ります。
仕事柄、多量の印刷をしますので、コスト削減目的でインクタンクの詰め替えをしているのですが、エラーが出る寸前にかなりの量のインク漏れをプリンタの内部にしてしまっており、これが原因かなと疑っています。
【インクの詰め替え】
今は大容量インクタンク付きの機種が登場していますし、詰め替えにはかなりのコツがいるので、下記のような詰め替えキットの姿は家電店の棚から姿を消しつつあります。
と言うわけで詰め替え手順の詳細は書きませんが、インクタンクに付いているボール状の栓を上手に打ち抜く工夫をしたり、インクタンクを真っ黒にしてインク残量を見えないようにするというCanonさんの嫌がらせに対抗するために、台所用の電子秤を使って投入インク量を把握したりしつつ、私は今も続けています。
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【インク漏れの原因推定】
まだインクタンクが半透明だった頃には内部の構造が透けて見えていました。
インクタンクは2個の部屋に分かれています。 ひとつは中に何も無いインクを貯める部屋で、詰め替えインクはそこに投入します。 もうひとつはスポンジの詰まった部屋で、インクは投入した部屋から小さな穴を通っていったんスポンジに吸収され、そこから毛細管現象でプリントヘッドにインクが供給されます。
このスポンジの詰まった部屋が、インクの流量をコントロールする役目をしているようです。 そして何回もインクの継ぎ足しを繰り返していると、スポンジの流量コントロール能力が大幅に低下するようです。
詰め替えが5回を超えるあたりから、挙動が大きく変わるのを経験して来ました。
その1:完全にカラの状態からタンクに投入できるインクの量が大幅に減る。
その2:5回を超えるあたりから、初期には発生しないインク出口からのボタ落ちが激しく起きるようになる。
【今回のトラブル】
これまでは、詰め替え直後のインクのボタ落ちが激しくなったら、新品の純正タンクを買って世代交代させるという使い方をして来ました。
今回は、受験直前期の忙しさにかまけて、ボタ落ちが始まったタンクを無理して使い続け、しかも詰め替え作業の回数も減らしたくて、無理な量のインクを詰め込んでいました。
おそらく、これが原因でプリンタの内部に多量のインク漏れが起きたと推測します。 そしてその漏れたインクがプリントヘッドの電子回路に染み込み、回路の異常動作を起こしたのでしょう。
【脱出までにしたこと】
B200エラーへの対処事例は検索で山ほど出て来ます。
なにしろ表示されるメッセージは、印刷を中止し、電源コードを抜いて、サービスセンターに修理に出せ、だけですから、ダメ元で修理にチャレンジした人が多い訳です。
報告されている対処方法は、プリントヘッドを取り出してぬるま湯で丸洗いする、というのが最も多いです。
その次に目立つのは、プリントヘッド後ろ側の接触端子の内いくつかをテープでカバーして導通を無くす、というものでした。 こちらの方法は、黒色印刷以外が出来なくなるという弊害があるようです。
その他の修理(?)事例もいくつか読み込んでから、私の場合でエラー状態脱出までにした事は以下のようなことです。
対応1:電源を抜き、プリントヘッドを指で動かしてホームポジションのプリンタ右端からどけ、懐中電灯で照らしながらピンセットでティッシュペーパーの切れ端を突っ込んで、プリンタ右端の廃インク受けの余分なインクを吸い取り、その近辺も掃除した。
対応2:プリントヘッドを取り外して(難しくありません)、ノズル周りの余分なインクをティッシュに吸収させ、ヘッド全体の汚れも掃除した。
丸洗いはしていません。 掃除にはコロナ禍対策で常備することになった高濃度アルコールのスプレーとティッシュを使いました。
対応3:プリントヘッドを指で動かして、中央とか、左端に動かしてから電源を投入するという事を何度か繰り返して、制御ソフトを騙そうとした。
★★★ここまでの対応でB200エラーは消えませんでした★★★
対応4:プリントヘッドの後ろに並んだ電気的な接触をさせる端子、および本体側の対応する接触ピンを、ノートの切れ端の紙でこすった。
よもや、よもやの解決です。 これでB200エラーは表示されなくなりました。
最後にやったのは単純な端子磨きによる接触不良対策ですが、対応1から対応4のどれが有効な対処だったのかは、わかりません。
対策を始めてから数時間でエラーからの脱出はできた訳ですが、作業しながらいろいろな思いが頭に浮かびました。 長くなったので、それについては稿を分けます。