駒澤塾:中学受験の算数・理科

中学受験の算数・理科を中心に書いて行きます。駒澤が旧字体なのは検索をしやすくするためです。

時事問題:ラニーニャと台風

2020年は台風が1個も上陸しないという珍しい現象がおきました。 近年の気象災害も含めて中学入試の理科で台風は頻出問題です。 現象が起きた背景について受験生が知っておきたい知識をまとめました。

 

台風の上陸が無いというのは2008年以来の12年ぶりだそうです。

上陸数の平均は年間2.7個ですが、ここしばらく回数が多い年が続いたのでなおさら少なさが目立ちます。

参考:各年度の台風上陸数

 2019年:5個 2018年:5個 2017年:4個 2016年:6個

 

という訳で、今年の理科の時事問題対策として台風の話です。

現象の説明として、正確さよりも「受験に必要な知識」を重視してまとめましたので、一部の説明を省略しています。牽強付会な部分についてはご容赦を。 

 

台風に大きな影響を与えたのはラ・ニーニャ現象です。

ペルー沖の海水面温度が低下する現象です。

これによりインドネシア近海の海水面温度が相対的に高くなり、

高温による大気の上昇で気圧が下がり、

そこに太平洋東部から強い東風が吹き込むことにより(海風・陸風の発生原理ですね)

さらに海面近くの温かい海水が吹き寄せられました。

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台風とは熱帯低気圧が発達し風速が毎秒17.2メートル(暗記必須事項)を超えたもの。

温帯低気圧熱帯低気圧の違いを説明できるようになっておくこと)

 

台風シーズンを3期に分けて、何が起きていたかまとめました。

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【台風シーズン初期】

強い東風の影響などにより、高温の海水面つまり台風の発生場所が西にずれ、発生した台風は中国大陸に進みました。

 

【台風シーズン中期】

低気圧で上昇した大気は、どこかで降りて来なければなりません。

大気が居りてくる所、つまり風が吹き出すように見える場所を高気圧と呼びます。

2020年は「太平洋高気圧(この名前、暗記必須)」が平年よりも強く、そのふちに沿って動く台風は例年よりも南寄りに進みました。

 

【台風シーズン後期】

太平洋高気圧が弱くなる9月後半ごろから、例年なら日本列島に台風が来るようになりますが、2020年は偏西風が南寄りに移動して吹いた関係で、よもやよもやの上陸ゼロ個に。

 

【猛暑・厳冬】

ちなみに、南米沖でラ・ニーニャ現象が起きると、日本の夏は猛暑に、冬は厳冬になる傾向があります。

解説図のように太平洋の東側では海水面温度が上昇しますので、そこで蒸発する水の量も増加します。

激しい気象現象を引き起こすエネルギー源は水の蒸発・凝結・昇華のはたらきですから、これが盛んになると気象現象が激しく極端になる訳です。

komazawajuku.hatenablog.com

 

ということで、2020年に起きた気象現象の解説でした。

時事問題に関しては、昨年度の記事も見ておくことをお勧めします。

komazawajuku.hatenablog.com

 

 

 

 

 

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