駒澤塾:中学受験の算数・理科

中学受験の算数・理科を中心に書いて行きます。駒澤が旧字体なのは検索をしやすくするためです。

苦手克服へのQC手法適用

小6の夏期講習は受検前に弱点の補強、苦手を克服する最後のチャンスです。 

また小6に限らず、効率的な勉強をするというのは常に考えてあげたいことです。

 限られた資源で最大限の効果を得るというのは、ビジネスで求められることと同じです。

そこで、QC活動などの問題点解決手法を使って「苦手克服」というテーマを考えてみました。 

 

受験勉強は以下の4ステップの形に整理できます。  

 

ステップ1:対象範囲の限定

まず何が苦手なのか、一覧表の形で可視化して自覚させます。範囲を限定して可視化することにより、生徒は「これなら克服できる」という希望を持てます。  

一覧表は粗すぎても細かすぎても効果を発揮しづらくなります。 お手持ちのテキストや参考書の目次をご覧ください。 章だての数はあまり関係なく、その下に並ぶ項目の数として数十から百程度が科目全体をカバーしているというのが良いです。 

 

ステップ2:真の原因の抽出

小分けにしたそれぞれの苦手範囲に対して、何が原因なのかを調べます。例えば「比」の活用が不十分な場合にそもそも小4で学んだはずの分数の習得が不完全だった、といったことが良くあります。  

具体的には各項目の「基本問題」をスピード優先で解かせてみてその様子を見るのですが、ここで不正解に対して「こんな簡単な問題も解けないの(怒)」と口にしたり、あるいは表情に出すだけで、生徒は「だって分からないんだもん。」の壁に逃げ込んで鉛筆が動かなくなります。 不正解の途中式は欠点克服のヒントが満載の宝の山です。 不正解を叱らずに「解こうとした努力」を褒めてください。 

 

ステップ3:具体的行動列挙

苦手な範囲が明確になり、その原因も分析されていれば、対策としてやるべき事は具体的になります。具体的な行動をリストにして可視化します。  

テキストや参考書の目次ページをコピーして、そこに○×を書き込むだけで苦手の可視化ができます。 おそらく小6の夏前の段階ではびっくりするぐらい×だらけになるはずです。 最終的に難関校に合格した生徒で立体図形の問題に○がひとつも無いなんていう生徒もざらに見て来ました。 これも落胆や怒りの表情を見せただけで大きな悪影響を後に及ぼします。 「まだ半年以上残っている時期に課題が見つかって良かったね。これで他の子に勝てるよ。」と喜んで見せてください。 

《追記》 私自身が算数の講師になった最初の7月に基礎レベルのテストと63単元の星取表を自作して、クラスの生徒全員の○×表を作ってみたのですが・・・腰を抜かしました。 もう悲惨なんてレベルを超えて壊滅的。 でも全員、半年後にはきちんと志望校に合格しました。 そういった知見が無いと星取表を見た時にたいへんな誤解をしかねないので、くどいですけど追記しました。 

 

ステップ4:成果の達成褒賞

範囲が限定され、やれば効果が明らかにでる、そんなリストが目の前にあれば後は行動あるのみですが、更に気持ちを奮い立たせるために「トークン」を準備してあげられると生徒は夢中になって取り組みます。  

苦手のリストが可視化されれば、たとえ半分の項目に×しか無くても(ざらに居ます)、その半分を勉強すればよいのです。 漠然と「算数」の勉強をするのではなく、「旅人算」、その中の「流水算」を解けるようになれば自分の弱点が一つ減る、そう実感を持って勉強にあたれます。 

トークン」に関してはいろいろ書きたいので改めて記事にします。 

 

さて、受験勉強を問題解決手法で具体的な施策にブレイクダウンしてみました。

上の手順は小6の夏前を想定して書いていますが、他学年でも範囲を縮小して(たとえば月例テスト対策として4単元を20項目ぐらいに分割して対応するなど)適用は可能です。 

要点は各ステップを高い実効性でおこなえるかどうかです。 

 1)不正解を叱らずに褒められますか? 

 2)×の多さにびっくりしないためのレベル感は持っていますか?

 3)不正解の原因を途中式から分析できますか?

 4)目標から逆算しての優先順位とゴールラインを明示できますか?

これらがご家庭でできるなら、塾も家庭教師も不要です。 

難しいと感じるなら、ぜひプロを頼っていただきたいです。

 

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